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第一章・リーファ視点
1-23・残された甥っ子と僕①
しおりを挟む怒っているんだと思う。でも多分それは、僕に対してではないとも同時に思った。
兄様はその笑顔のまま、今度は僕を宥めたりせずに。
「じゃあ、リーファ、僕は少しペーリュとお話ししないといけなくなったから、ペーリュの所に行ってくるね。……――ヴィーフェ」
「はい」
僕にそう告げてから、ヴィーフェを呼んだ。
「少しの間、リーファについててあげて。すぐに戻るから」
「わかりました」
「うん。頼んだよ。じゃあ、行ってくるね」
そんなほんの少しのやり取りの後、兄様はあの笑顔のまま部屋を出ていく。
僕は辛うじて頷いて、その後はぼやっとそれを見送った。
あ、いってらっしゃいって言い忘れた!
気付いたけど、多分もう遅い。残されたのはヴィーフェと僕。
別に気まずい間柄とかいうわけでもないんだけど……なんで僕についててあげてなんて言ったのだろう。それに関しては少し不思議に思う。
ちらとヴィーフェを見たら、相変わらず何を考えているのかよくわからない顔をしていた。いつも通りだ。
僕は小さく溜め息を吐いた。続けてさっきまで座っていた応接スペースのソファへと座り直す。
「ヴィーフェも座りなよ。お茶でも飲む? 淹れてもらうよ」
促すと頷いて、ヴィーフェは躊躇いなく向かい側のソファに座った。
多分今の頷きはお茶もかなと判断して、控えていた侍従……――僕はこれでも王族だし、ここは王宮の僕の部屋。全くの一人きりになることなんてなくて、何人かの侍従とか侍女とかが常に傍にいるんだよ。
それこそ、義兄上と一緒に寝る時以外はずっと。
とにかく、その侍従にちらと視線をやったら、心得たもので、よく出来た彼は手早くお茶の用意をしてくれた。
僕の分も淹れ直してくれて、テーブルの上には二人分の新しいお茶。
他の侍従が、さっきまで僕が読んでいた本に栞を挟んで閉じ、さっと片付けてくれている。
改めてちらとヴィーフェを見ると、彼は何かを考えているみたいだった。
大きくなったなと、しみじみ思う。僕より5つも下なのにもうすっかり大人だ。当たり前か。だって去年、成人したんだもの。
僕もとっくに成人してるんだけど、どうしてか僕は小さいままだから、今ではヴィーフェの方がずっと大きい。
見た目だけなら、僕は14か15ぐらいにしか見えないらしい。
と、言うか、僕ってこれ以上大きくなるんだろうか。わからない。どうでもいいと言えばどうでもいいけど。でも、年相応に見られないっていうのは、なんだか少しだけもやっとはする。
誰も僕を25歳として扱わないから余計に、だ。
義兄上も兄様も、多分いまだに子ども扱い。もっとも、これに関しては僕自身が、まだまだ子供っぽいみたいだから仕方がないのかもしれない。
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