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第一章・リーファ視点
1-29・視察②
しおりを挟むそんなの出来るわけないだろうって。離れられるわけがない、心配できっと視察どころじゃなくなってしまうっていうのが義兄上の言い分。
途中で一度帰ってくればいいって兄様が言って、で、最終的に、僕はどうしたいのかって聞かれて、だから僕は行きたいって言ったんだ。
だって楽しみにしていたし、僕ももうじきお母さんになる。父親が誰だろうと、僕のお腹の子供だって王族だ。なら、そういう意味も含めてちゃんと、王族としての仕事も今後は知っていかなければいけないって思っていたから。
子供は産まれてからも義兄上が一緒に育ててくれるって言っていて、
「だって私の魔力で育ったんだよ? だったら私の子供じゃないか」
って! 生まれる時に取り上げてくれるのも、義兄上がしてくれる予定だよ!
そうなるとこの子は、実際はどうあれ、義兄上の第一子ということになる可能性が高い。もしかしたら次の皇帝になるかもしれない。
元々の核が、たとえ誰の種であっても、そんな風に義兄上だけの魔力で育って、義兄上の魔力で生まれてくる子供は、半分以上義兄上の子供ってことになるから、当たり前の話だった。
そもそも、血筋だけ見ても、僕の子供っていうだけで王位継承権は発生しちゃうんだよね。だって僕、兄様の実弟だし、王族の血っていうだけなら、義兄上より濃いんだ。というより代を経てないから薄まってないっていうのかな?
義兄上は兄様の曾孫で、そこに辿り着くまで、片親にほとんど王族の血が入っていない人が続いている。
特に兄様の伴侶さんは異世界から転移してきた、この世界の人ですらない男の人。その時点で半分だもの。義兄上のお母さんのお父さんは兄様の義理の兄弟、つまり僕自身の義理の兄弟でもあるんだけど、血は繋がっていなくて、やっぱり王族としての血自体は薄くなっているんだって聞いてる。
その辺り、僕の父様は皇帝だったし、母様も、父様よりも王族の血が濃い公爵家出身の人で、おまけに母様譲りの魔力に髪と目の色の僕。
そんな僕と、義兄上の魔力で生まれてくる子供。
僕の生む子供がどれぐらい重要かはそれだけでもわかるっていうものだ。
だったら余計に、僕もいろいろと頑張らないとって思っている。今までは魔術師塔で魔法や魔術の研究をしているばっかりでほとんど何もしていなかったけれど、それじゃダメだって。視察はその第一歩だと思った。
実は代わりに兄様やヴィーフェが行くっていう話も出たんだけど、先方から出来れば義兄上本人にいらして頂きたいっていう指名があって、あんまり無下にも出来なかったみたい。
他にも何か意図があるのかもしれないけれど、それについては僕は知らされていない。
とにかく、そんな事情で僕は義兄上と視察に行くことになったんだ。
属国とは言え、一応は国の外。ドゥナラル公国へと。
※義兄上のお母さんのお父さん=グローディ。義兄上のお母さん(?)がグローディとレシアの子供です。
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