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第一章・リーファ視点

1-30・ポータル①

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 そういえばドゥナラル公国と言えば、あの日・・・義兄上あにうえと並んでいらした公女様が、その国出身だったな、なんて思い出したのは、実際にドゥナラル公国について、当の公女様ご本人とお会いした時だった。
 ナウラティスの属国となる各公国には、必ず1国に1つ以上、ポータルが設置されている。
 ポータルというのは、国家間で、人や物の転移に使用されている施設だ。だいたい、1台か2台の馬車単位での転移までが可能となる。
 ただし、物質量が増えれば増えるほど、距離が遠ければ遠いほど、転移に必要となる魔力は多くなり、大部分のポータルでは、別途使用料等が発生しない代わりに、動力源とも言える魔力に関しては、自分で調達しなければならないことになっていた。
 逆に言うと、魔力さえあれば誰でも使える物なんだ。
 本来、転移魔法は人単体であっても、膨大な魔力と、緻密な魔力調整が必要となる。必然、魔法士なら誰でも使える、というような魔法ではなく、自在に操れる存在なんて、それこそ大陸中探してもほんの一握り。それぐらい難しくて、とってもたくさんの魔力が必要になるんだ。そんな難しい魔法馬車単位とまでなると、本当なら、それに必要な魔力や魔力調整は想像もできないぐらいのものとなる。
 ちなみに僕は転移魔法が使えるよ。どちらかというと得意なんだ。僕一人だけだったら、行ったことのある場所なら何処でも一瞬で行き来できるぐらいには。でも流石に、誰かを連れてとなると、精々人一人ぐらいが限界で、兄様も、僕に近いぐらいには使えるし、義兄上は短距離なら可能なのだそうだ。距離的に、ドゥナラル公国とナウラティスの王宮だと微妙なのだとか。出来なくはないけど……だって!
 そもそも僕が魔術師塔で研究しているのは主にこの転移魔法を空間転移等の魔法についてで、実は母様も同じ魔法を研究していたらしい。母様のおかげで、ポータルも随分改良されたのだとか。兄様が、血は争えないねって言ってた。
 それを更に改良して、今度は座標位置の固定を省いた、座標さえ指定すれば何処へでも転移可能な魔道具、なんてものも研究していたりするのだけれど、今の所、成果は上がていない。
 ポータルは、そんな転移魔法を可能な限り簡略化し、座標位置を固定することによって、少ない魔力でも行使可能なように作られた施設だった。
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