【完結】身に覚えがないのに身ごもりました。この子の父親は誰ですか?

愛早さくら

文字の大きさ
68 / 148
第一章・リーファ視点

1-67・本当のお話⑤

しおりを挟む

 だけど義兄上あにうえはうっとりしたそのままのお顔を今の僕・・・にも向けてくれて、その上でやんわりと、それはもう、愛しいと、眼差しで語るように僕へと微笑みかけてくれたので、僕の下がってしまった気分はすぐにもふわふわと浮き上がった。
 結局、僕は義兄上の意識が僕に向かっていたらいいのだから、とてもお手軽な・・・・存在なのかもしれない。
 ただ、義兄上のお話の中で、僕は疑問に思ったことがあった。

「でも義兄上、僕に魔力を注いでくださっていたとおっしゃいますけど、僕、子供が出来るまで、義兄上の魔力をお腹の中に感じたことなんてなかったんですけど」

 僕の問いかけに、どうしてか公女様が、何か希望を持ったかのように顔を輝かせる。

「あ、あら、でしたら先程のお話は狂言だとか、思い込みだとかいうことなのかしら?」

 自分以外から魔力を注がれたらわかる。
 それは当たり前の話だった。特に僕は魔力量が多く、感知だとかそう言うのも別に苦手ではない。
 子供が出来た時だってすぐに理解した。
 自分以外の誰かが自分に魔力を注いできて、それに気付かないわけなんてないのだ。
 だけど、義兄上はふわと首を傾げて。

「何を言っているの? 思い込みも狂言もあり得ないよ。それにね、リーファ。お前はいつも私の魔力で満ち続けているんだから、気付くも気付かないもないだろう? お前のお腹の中に私の魔力があることが普通・・なんだからね。今は子供がいるから、いつもよりたくさん魔力を注いでいるから、以前よりわかりやすくなっているかもしれないけれど、お前のお腹の中が私の魔力で満ちていなかったことなんて、ここ数年だと1日足りとて存在しないよ」

 などと、にっこり笑って言い切った。
 どうも僕は義兄上の魔力を注がれた状態こそが常だったようなので、それは確かに、いつも通りなら何も気づくはずはないなと僕は思う。
 そもそも、僕と義兄上の魔力は似ている・・・・のだ。否、本当に似ているのだろうか。
 ちろと義兄上を見る。義兄上はにこにことしている。

「僕はてっきり、義兄上の魔力と僕の魔力はそっくりなのだと思っていました」

 だから魔力を注がれていても気付かなかったのかもしれない。それが、自分なりに出した先程の質問への答えだったのだけれど、この分では違っていたみたいだ。

「うん? 私とリーファの魔力がよく似ているのはもともとだよ。ただ、それでも始めはちゃんと、別人の魔力だとわかる程度だったとは思うけど……はは。面白いよね。毎晩毎晩ずっと魔力を注ぎ続けると、次第に馴染んで、注がれた状態が常となるから、魔力も似て見えてくるみたいだよ? 元々、魔力が似ていたから余計に、違いが分からなくなっているんじゃないかな? ふふ。すっかり私の魔力と同じになっているね。私のリーファだ」

 似ていた、のは間違いないらしい。でも、違いがわからないほどになったのは、常に僕の中には、注がれた義兄上の魔力があり続けたから。文字通り、義兄上の魔力に僕が染まり切っているという話なのだろう。
 義兄上の僕を見る目はとっても優しかった。
しおりを挟む
感想 14

あなたにおすすめの小説

冤罪で追放された王子は最果ての地で美貌の公爵に愛し尽くされる 凍てついた薔薇は恋に溶かされる

尾高志咲/しさ
BL
旧題:凍てついた薔薇は恋に溶かされる 🌟第10回BL小説大賞(2022年)奨励賞。2025年11月アンダルシュノベルズより刊行🌟 ロサーナ王国の病弱な第二王子アルベルトは、突然、無実の罪状を突きつけられて北の果ての離宮に追放された。王子を裏切ったのは幼い頃から大切に想う宮中伯筆頭ヴァンテル公爵だった。兄の王太子が亡くなり、世継ぎの身となってからは日々努力を重ねてきたのに。信頼していたものを全て失くし向かった先で待っていたのは……。 ――どうしてそんなに優しく名を呼ぶのだろう。 お前に裏切られ廃嫡されて最北の離宮に閉じ込められた。 目に映るものは雪と氷と絶望だけ。もう二度と、誰も信じないと誓ったのに。 ただ一人、お前だけが私の心を凍らせ溶かしていく。 執着攻め×不憫受け 美形公爵×病弱王子 不憫展開からの溺愛ハピエン物語。 ◎書籍掲載は、本編と本編後の四季の番外編:春『春の来訪者』です。 四季の番外編:夏以降及び小話は本サイトでお読みいただけます。 なお、※表示のある回はR18描写を含みます。 🌟第10回BL小説大賞での応援ありがとうございました! 🌟本作は旧Twitterの「フォロワーをイメージして同人誌のタイトルつける」タグで貴宮あすかさんがくださったタイトル『凍てついた薔薇は恋に溶かされる』から思いついて書いた物語です。ありがとうございました。

巣ごもりオメガは後宮にひそむ【続編完結】

晦リリ@9/10『死に戻りの神子~』発売
BL
後宮で幼馴染でもあるラナ姫の護衛をしているミシュアルは、つがいがいないのに、すでに契約がすんでいる体であるという判定を受けたオメガ。 発情期はあるものの、つがいが誰なのか、いつつがいの契約がなされたのかは本人もわからない。 そんななか、気になる匂いの落とし物を後宮で拾うようになる。 第9回BL小説大賞にて奨励賞受賞→書籍化しました。ありがとうございます。

平凡な俺は魔法学校で、冷徹第二王子と秘密の恋をする

ゆなな
BL
旧題:平凡な俺が魔法学校で冷たい王子様と秘密の恋を始めました 5月13日に書籍化されます。応援してくださり、ありがとうございました! 貧しい村から魔法学校に奨学生として入学した平民出身の魔法使いであるユノは成績優秀であったので生徒会に入ることになった。しかし、生徒会のメンバーは貴族や王族の者ばかりでみなユノに冷たかった。 とりわけ生徒会長も務める美しい王族のエリートであるキリヤ・シュトレインに冷たくされたことにひどく傷付いたユノ。 だが冷たくされたその夜、学園の仮面舞踏会で危険な目にあったユノを助けてくれて甘いひと時を過ごした身分が高そうな男はどことなくキリヤ・シュトレインに似ていた。 あの冷たい男がユノにこんなに甘く優しく口づけるなんてありえない。 そしてその翌日学園で顔を合わせたキリヤは昨夜の優しい男とはやはり似ても似つかないほど冷たかった。 仮面舞踏会で出会った優しくも謎に包まれた男は冷たい王子であるキリヤだったのか、それとも別の男なのか。 全寮制の魔法学園で平民出身の平凡に見えるが努力家で健気なユノが、貧しい故郷のために努力しながらも身分違いの恋に身を焦がすお話。

美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜

飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。 でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。 しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。 秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。 美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。 秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。

BLゲームの展開を無視した結果、悪役令息は主人公に溺愛される。

佐倉海斗
BL
この世界が前世の世界で存在したBLゲームに酷似していることをレイド・アクロイドだけが知っている。レイドは主人公の恋を邪魔する敵役であり、通称悪役令息と呼ばれていた。そして破滅する運命にある。……運命のとおりに生きるつもりはなく、主人公や主人公の恋人候補を避けて学園生活を生き抜き、無事に卒業を迎えた。これで、自由な日々が手に入ると思っていたのに。突然、主人公に告白をされてしまう。

完結|ひそかに片想いしていた公爵がテンセイとやらで突然甘くなった上、私が12回死んでいる隠しきゃらとは初耳ですが?

七角@書籍化進行中!
BL
第12回BL大賞奨励賞をいただきました♡第二王子のユーリィは、美しい兄と違って国を統べる使命もなく、兄の婚約者・エドゥアルド公爵に十年間叶わぬ片想いをしている。 その公爵が今日、亡くなった。と思いきや、禁忌の蘇生魔法で悪魔的な美貌を復活させた上、ユーリィを抱き締め、「君は一年以内に死ぬが、私が守る」と囁いてー? 十二個もあるユーリィの「死亡ふらぐ」を壊していく中で、この世界が「びいえるげえむ」の舞台であり、公爵は「テンセイシャ」だと判明していく。 転生者と登場人物ゆえのすれ違い、ゲームで割り振られた役割と人格のギャップ、世界の強制力に知らず翻弄されるうち、ユーリィは知る。自分が最悪の「カクシきゃら」だと。そして公爵の中の"創真"が、ユーリィを救うため十二回死んでまでやり直していることを。 どんでん返しからの甘々ハピエンです。

愛していた王に捨てられて愛人になった少年は騎士に娶られる

彩月野生
BL
湖に落ちた十六歳の少年文斗は異世界にやって来てしまった。 国王と愛し合うようになった筈なのに、王は突然妃を迎え、文斗は愛人として扱われるようになり、さらには騎士と結婚して子供を産めと強要されてしまう。 王を愛する気持ちを捨てられないまま、文斗は騎士との結婚生活を送るのだが、騎士への感情の変化に戸惑うようになる。 (誤字脱字報告は不要)

【完結】冷酷騎士団長を助けたら口移しでしか薬を飲まなくなりました

ざっしゅ
BL
異世界に転移してから一年、透(トオル)は、ゲームの知識を活かし、薬師としてのんびり暮らしていた。ある日、突然現れた洞窟を覗いてみると、そこにいたのは冷酷と噂される騎士団長・グレイド。毒に侵された彼を透は助けたが、その毒は、キスをしたり体を重ねないと完全に解毒できないらしい。 タイトルに※印がついている話はR描写が含まれています。

処理中です...