【完結】身に覚えがないのに身ごもりました。この子の父親は誰ですか?

愛早さくら

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幕間

x2-2・兄の葛藤②

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 なんとも面白みのない問題だったのだなというのがアーディの感想。
 だが、実際に視察に赴いた当事者であったリーファとペーリュにとっては、そんなに軽い問題とは受け取れなかったことだろう。
 特に今回は実質、リーファが王族として初めて従事する視察となるはずだった。
 何故ならリーファは初めから、いずれは・・・・皇后になることが内定していたのだから。
 それを踏まえての視察だったのだけれども。そこでまさか連れ去られまでするだなんて。全く、いったい何のための・・・・・結界なのか。
 否、アーディだってわかっている。今回のことは、こちらは勿論、犯人側だって、想定していなかっただろう展開であったことぐらい。
 そもそも本来なら、連れ去られることなど、あり得るはずがなかったのだ。
 そこに油断があったのは、おそらく間違いないことだろう。
 あり得ない、はずだった。なのに起こってしまった。
 それは結局、リーファの行使していた結界が、ナウラティスでよく使われている守護結界であったが故の出来事だった。
 ナウラティスの守護結界は、悪意・・害意・・を弾く。逆に言うと、悪意や害意がない状態で行使される何事かについては、全く妨げることが出来ない物なのである。
 実際に今回のことについても、リーファの連れ去りに成功したのは、実行犯であった不審者たちから、恐怖によって脅されて、それだけで思考が満ち、悪意・・害意・・の差し挟まらない状態であった者なのだと聞いている。
 誰に対してであっても、悪意や害意など微塵も抱いておらず、また、自らの行動が誰かの害になる可能性さえ、恐怖により思い至ることが出来ず。そうして、偶然にもたまたま転寝をしていたリーファを連れ去ることに成功したらしかった。
 多分、リーファがその時、たまたま転寝さえしていいなければ、成功することはなかっただろう。
 そもそも、リーファには護衛が付いていたはずなのだけれど、何故その時に限って、リーファから離れていたのか。
 なんでも、それには件の公女が絡んでいるらしく、リーファの休んでいた部屋にも、また、リーファ自身にも結界が施されていたが故、ほんの数分、持ち場を離れても大丈夫だろうと判断してしまったのだそうだ。
 これまでもそういったことは度々起こっていて、だから今度も特に問題など起こらないだろうと考えてしまった。
 その時、リーファの護衛を担当していたのは、何でもナウラティスから連れて行った者たちではなく、ドゥナラル側が用意した人員であったということなので、余計にそういった事態となることも、あり得たのだろうと思われた。
 勿論、気付いてすぐさま捜索を開始したのだが、運良く犯人は逃げおおせた後で、結果リーファは連れ去られた先で、目を覚ましてから後、自分を連れ去った人物・・・・・・・が暴力を振るわれている現場を見、ショックを受け、件の人物ごと、ペーリュの元へと自らで転移し事なきを得たのだとか。
 この話を聞いてアーディは、リーファらしいとつい、噴き出してしまったものだった。
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