【完結】身に覚えがないのに身ごもりました。この子の父親は誰ですか?

愛早さくら

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幕間

x2-5・兄の葛藤⑤

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 とは言え、流石に生まれたばかりの赤ん坊を皇后になど、立てられるはずがない。
 せめて長じてのち、本人が拒絶しなければという話で落ち着いた。むしろそれは当たり前の話だっただろう。
 ただし、ペーリュがリーファに行うアプローチを、基本的には妨げないとだけは言い含めて、リーファが育つまで待たせることとなったのである。
 自分が死んだ後に、リーファをペーリュに託すと決めたのは母だった。
 アーディや、リーファのすぐ上の姉たち、つまりアーディからすると妹たちも勿論、引き取るつもりがあった。
 ペーリュが自分こそがと名乗りを上げるのもまた当然の流れで、では誰にという話になった時、決定権を委ねられた母が選んだのがペーリュだったのだ。
 それにはおそらく、ペーリュの関心がリーファにしか向かっていないという部分も考慮されたのではないかと思う。
 何故なら、リーファを、というよりはペーリュの方をこそ気遣った選択にアーディには思えたからだ。
 実際にアーディも、そうするより他はなかっただろうとは思っている。そうでなければペーリュはいったいどうなっていたことか。
 勿論、リーファが生まれてから、母が死ぬまでの2年間で、ペーリュがみせたリーファへの執着と誠意も、母の判断基準の中には含まれてはいたのだけれどれも。
 リーファはペーリュへと捧げられたようなものだ。
 特にリーファが身ごもってから以降、アーディは強くそれを意識している。
 と、言うよりは、身ごもったことを知った時には、むしろペーリュに託したことを後悔したほどで。
 ペーリュがリーファに寄せる想いにきっと偽りはない。ペーリュがこれまでリーファを、大切に慈しんで育ててきたのもまた、間違いようもない事実なのだ。
 その育て方がいささか、自分色に染めるだとか、自分好みになるよう仕向けるだとかいうように見えたとしても。
 ペーリュはリーファを大切にしていた。そのはずだった。

「まさか思わないだろう、ペーリュがリーファの意識の外、寝ている間に手を出していただなんて……」

 アーディは溜め息を吐く。
 まさかそんなことまでしているとは、思ってもみなかったのだ。
 リーファは幼い。
 早くに両親と死ぬ別れた所為だろうか。それとも、ペーリュの教育の賜物か。
 リーファは見た目さえもなかなか成長せず、特に6歳を過ぎた頃からは、その幼さは年を追うごとにより顕著になっていって、成人である19歳を迎えてなお、10を少し超えたぐらいにしか見えない有様だった。
 勿論、そうは言っても、非常にゆっくりながら育ちはしていて、今、リーファは25になるのだが、ようやく10代中頃ぐらいには見えるようになっている。
 しかし、見た目以上に情緒は幼く、話している内容も話し方も、ともすれば幼い子供を相手にしているような気分になることがしばしばだった。
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