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幕間
x2-7・兄の葛藤⑦
しおりを挟むそこで分かったのは、リーファが引き取った当初から、ペーリュがリーファへと触れていた事実。
それも、リーファが寝ている間に、毎晩のように行っているのだとペーリュは悪びれもせず、すぐにアーディへと教えてくれた。
悪びれるはずがなかった。
なぜならばペーリュは、その行動の異常性を全く認識していなかったのだから。
「ペーリュ! あれはどういうことだ!」
ペーリュの元へと向かってすぐ、明確に激昂して問い詰めたアーディに、ペーリュはしかし不思議そうに首を傾げた。
「あれ、とは? 何のお話です、おじい様」
「何の話、だと?! お前、それはわかっていて言っているのか?! リーファの話だっ!」
「ああ! リーファにお会いになられたのですか? ならお分かりになられたのですね」
常では考えられないぐらいに声を荒げるアーディに、納得がいった、としながらも、何故か嬉しそうに顔を綻ばせるペーリュに、アーディは頭を掻きむしりたいような気持ちに襲われた。
アーディがなぜこれほどまでに憤っているのかを、ペーリュは全く理解していないように見えたからだった。
しかも、話を続ければ続けるほど、ペーリュが、自らの行動を、何ら問題がない物だと認識していることが浮き彫りになっていく。
「おわかりに、じゃないだろう?! 何故リーファが身ごもっているんだ! 今のあの子はお前の義弟だぞ! まだ妻にはなっていないっ!」
「そうは申しましても、おじい様……リーファが望んでくれたのですよ? これほど喜ばしいことはないではありませんか。順番は少しおかしくなってしまいましたけれど、そんなこと、この慶事の前では大きな問題とはならないでしょう」
確かに、子供が出来たこと自体は慶事である。それに間違いはない。
そもそもリーファは、はじめからペーリュが自分の伴侶へと望んでいて、ペーリュがそう望んでいることは、言うならば周知の事実となっていた。なにせペーリュはリーファへの寵愛を隠さなかったのだから、悟らないはずがなかったことだろう。
リーファがペーリュの子供を身ごもった、それ自体はおそらく問題にはならない。
むしろやっと、と思う者さえきっと少なくはないのだろうとも思われた。
ならば、何が問題なのか。
リーファが、自分の相手を、認識していないだろう所である。
加えてペーリュがリーファに手を出し始めたのが、どう控えめに考えても年単位は前だろうことが明白である部分。
「確かに慶事だ、だが、そうじゃないっ、どうしてリーファは、お前の子供だと認識していないんだっ!」
問題はそこだろう?!
問い詰めるアーディに、しかしペーリュは不思議そうな顔をするばかりだった。
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