【完結】身に覚えがないのに身ごもりました。この子の父親は誰ですか?

愛早さくら

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幕間

x2-9・兄の葛藤⑨

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 アーディがようやくリーファの元へ戻ったのは思っていたよりもずっと時間が経ってからのことだった。
 ペーリュとは随分と長く話をしたのだが一切の成果なく、それでもリーファが望むのなら、必ずペーリュの元から助けてやらなくてはとそれだけを思って戻ってきたアーディに、待っていたのはしかし、ペーリュとほとんど変わらないような思考と認識であるらしいリーファだったのである。
 それを、アーディがいない間に聞いていたらしいヴィーフェが教えてくれる。

「リーファ、そのお腹の子供の父親、ペーリュだったら嬉しいんでしょう?」

 そんな風にリーファに質問することによって。
 リーファはこくりと躊躇いなく頷いた。

「うん、嬉しいよ?」

 どうしてそんなことを聞くの? とでも言いたげに。まるで当たり前のことだと頷く。

「え」

 驚いたアーディにこそ、リーファが驚く。そんなに驚くようなことが、今の発言のどこにあったのかと。
 アーディは躊躇いがちにおそるおそる確かめた。

「リーファ、子供の父親がペーリュだったら嬉しいの?」
「そうですけど……なんでそんなこと聞くんです?」

 リーファは本当にわからないと言った顔をしていた。アーディは嫌な予感と既視感を覚える。先程まで相手にしていたペーリュと対峙した時と同じような印象。これは、つまり。

「だって、それってつまり、ペーリュが、リーファを……」

 リーファの、知らない間に、ペーリュが。つまり、そういった接触をリーファに行っていたということなのだけれど。

「義兄上以外だったら嫌だけど、義兄上だったら嬉しいです」
「うん?」

 リーファは言い切った。
 それを聞いたアーディは、どんな顔をしていいのかわからないまま、ぴしりと固まることしかできなかった。
 嬉しい。嬉しいのか。
 先程、ペーリュも同じことを言っていた。これはつまり、リーファも。
 更に続けて確認を続けたのだけれども、それどころかリーファは、

「僕、義兄上が魔力を注いでくれる時のことは、全部知ってたい・・・・・です。だから、もし知らない間の僕が、僕の知らないことを知ってるのは、ずるいなって思います」

 とまで言い出して。
 つまり、自分自身にさえ嫉妬すると?
 流石にそこまでは自分で自分を確かには出来ていないらしく、少々曖昧な返事を寄越したリーファは、しかし、ペーリュ以外は想像もしたくないと、非常に嫌そうな顔をして見せた。
 アーディは焦って、そんな想像など止めさせる。

「ああ、うん、いいよいいよ、想像しないでおこう!」

 そもそも、リーファは子を身ごもったばかり。そういう時期はどうしても不安定になりがちなのだ。あまり負担をかけるのはよろしくない。
 一応、確認にと、子供を育てる為の魔力は、ペーリュから受け取ることに抵抗はないのか確かめようとして、出したたとえは、予想以上の拒絶でもって返されて。
 アーディは悟らざるを得なかった。これはつまりリーファもまた。ペーリュをすでに選んでいたのだな、と。
 そうである以上アーディに、出来ることなど何もなかったのである。
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