105 / 148
第二章・ペーリュ視点
2-18・ぎこちない誘い
しおりを挟むああ、本当に。可愛らしくて堪らない。
私はリーファを慰めた。
「大丈夫。大丈夫だよ、リーファ。大丈夫」
呪文のようにそう唱えると、リーファはすりすりと私の胸へとすり寄ってくる。
「義兄上」
今だ、涙の気配が残る、どこか舌ったらずな口調で私を呼んでくるのが、本当に愛おしい。
「ああ、リーファ。落ち着いたかい?」
「うん……」
優しく尋ねると、リーファはこくりと小さく頷いた。
「よかった」
私は微笑む。リーファを安心させるように。
そうしてぎゅっと腕の中、抱きしめ続けているとリーファは、もぞもぞと腰を控えめに揺らし始め。
ちらちらと、潤んだ瞳で私を躊躇いがちにうかがいだしたのである。
私は内心の歓喜を、やはり表情には表さず、ただ、リーファへと微笑みかけるだけ。慈しみをこめて。
そんな私に焦れたのか、リーファは、
「えっと、ぁの……義兄上……」
などと、何か言いたそうに私を呼ぶ。求められていることがなんなのかなんてこと、勿論、私にはわかっていた。だからこそ私は焦らさずに、リーファが望む通りのものをいつだって差し出し続けるのである。
この場合は、リーファへと直接注ぎ込む魔力という形で。
「どうしたんだい、リーファ。大丈夫、大丈夫だよ。もしかして魔力が足りなかったのかな。すぐに注いであげるからね。安心するといい。リーファ」
抱きしめたまま唇を寄せて。リーファの顔中にくちづけを降らせながらそう告げる私にリーファは曖昧に頷いた。
「ぅ……ぅん……」
ほんの少し躊躇いがちに。だけど明確に求めるように私を引き寄せる。
本当に、なんて可愛らしい。
今のリーファに、魔力が足りないはずなんてなかった。だってほんの数時間前まで、これでもかとばかりに、リーファの腹へと注ぎ続けていたのだ。
たった数時間眠っただけで、足りなくなるはずなんてない。
リーファもそれは自覚があったのだろう。だから煮え切らない同意となる。
わかっていながら私はそらとぼけて、リーファへと触れる口実に乗っていった。
はじめは少しばかり緊張していた様子のリーファも、いつも通りに触れ続けると、次第にとろりと蕩け始める。
勿論、触れるところ全てには魔力を乗せておいた。
リーファのお腹に成っている子供の養分だ。きっとどれだけ注いだとして、過剰ということになんてならない。
「ぁっ、ぅんっ……義兄上ぇ……」
甘えた声で私を呼ぶのに、応えるように色々な場所へとくちづけを落としていった。
そもそも寝る前に行っていた行為ゆえ、今であっても、リーファも私も裸のまま。元より遮るものなど何もない。
私は今、リーファの体の、何処にでも触れることが出来るのである。
「ぁんっ」
上がるリーファの声は、やはりどこまでも可愛らしかった。
30
あなたにおすすめの小説
BLゲームの展開を無視した結果、悪役令息は主人公に溺愛される。
佐倉海斗
BL
この世界が前世の世界で存在したBLゲームに酷似していることをレイド・アクロイドだけが知っている。レイドは主人公の恋を邪魔する敵役であり、通称悪役令息と呼ばれていた。そして破滅する運命にある。……運命のとおりに生きるつもりはなく、主人公や主人公の恋人候補を避けて学園生活を生き抜き、無事に卒業を迎えた。これで、自由な日々が手に入ると思っていたのに。突然、主人公に告白をされてしまう。
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
陰キャな俺、人気者の幼馴染に溺愛されてます。
陽七 葵
BL
主人公である佐倉 晴翔(さくら はると)は、顔がコンプレックスで、何をやらせてもダメダメな高校二年生。前髪で顔を隠し、目立たず平穏な高校ライフを望んでいる。
しかし、そんな晴翔の平穏な生活を脅かすのはこの男。幼馴染の葉山 蓮(はやま れん)。
蓮は、イケメンな上に人当たりも良く、勉強、スポーツ何でも出来る学校一の人気者。蓮と一緒にいれば、自ずと目立つ。
だから、晴翔は学校では極力蓮に近付きたくないのだが、避けているはずの蓮が晴翔にベッタリ構ってくる。
そして、ひょんなことから『恋人のフリ』を始める二人。
そこから物語は始まるのだが——。
実はこの二人、最初から両想いだったのにそれを拗らせまくり。蓮に新たな恋敵も現れ、蓮の執着心は過剰なモノへと変わっていく。
素直になれない主人公と人気者な幼馴染の恋の物語。どうぞお楽しみ下さい♪
美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜
飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。
でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。
しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。
秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。
美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。
秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。
美少年に転生したらヤンデレ婚約者が出来ました
SEKISUI
BL
ブラック企業に勤めていたOLが寝てそのまま永眠したら美少年に転生していた
見た目は勝ち組
中身は社畜
斜めな思考の持ち主
なのでもう働くのは嫌なので怠惰に生きようと思う
そんな主人公はやばい公爵令息に目を付けられて翻弄される
【完結】国に売られた僕は変態皇帝に育てられ寵妃になった
cyan
BL
陛下が町娘に手を出して生まれたのが僕。後宮で虐げられて生活していた僕は、とうとう他国に売られることになった。
一途なシオンと、皇帝のお話。
※どんどん変態度が増すので苦手な方はお気を付けください。
【完結】悪役令息の伴侶(予定)に転生しました
* ゆるゆ
BL
攻略対象しか見えてない悪役令息の伴侶(予定)なんか、こっちからお断りだ! って思ったのに……! 前世の記憶がよみがえり、反省しました。
BLゲームの世界で、推しに逢うために頑張りはじめた、名前も顔も身長もないモブの快進撃が始まる──! といいな!(笑)
本編完結しました!
おまけのお話を時々更新しています。
きーちゃんと皆の動画をつくりました!
もしよかったら、お話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです。
インスタ @yuruyu0 絵もあがります
Youtube @BL小説動画
プロフのwebサイトから両方に飛べるので、もしよかったら!
本編以降のお話、恋愛ルートも、おまけのお話の更新も、アルファポリスさまだけですー!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる