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第二章・ペーリュ視点
2-30・元凶の者たち
しおりを挟むいったい何が起こったのか。これはいったいどういう状況なのか。
私には勿論、わからないし、どうやらラーヴィも事態を正確に把握しているわけではないようにしか見えなかった。
「いったい何が……」
「わかりません。急に何かが飛来してきて……」
それはおそらく私も感じた、変わった気配のことだろう。有体に言うと、魔力なのだとは思う。だが、通常のそれとは違って、あれは……。
首を振るラーヴィを顔を見合わせ、そう思考を巡らせ始めた矢先、ぱたぱたと慌てたように、こちらへと駆けてくる幾人かの気配があった。
「へ、陛下っ?! それに殿下方もっ……これはっ……!」
「ああ、申し訳ございません、こちらにおかしな魔力が飛んできたのではないかとっ……!」
そちらへと顔を向ければ、見覚えのある者たちが数人。
どの者も確か、魔術師塔に所属している者たちだ。
「お前たちは……」
「ああ、殿下、いったいどうして……」
「申し訳ございませんっ、申し訳ございませんっ」
彼らを誰何する前に、それぞれが混乱や謝罪を口にする。
そんな様子から見ても、リーファに起こった異変に、彼らが関わっているのだろうことはあまりにも明白だった。
私は厳しく彼らを睨み据えた。
「ひぃっ!」
目の前でガタガタと震えられるが、知ったことではない。
今自分がとんでもなく冷たい眼差しで彼らを見ているだろうことがわかる。
続けて口から滑り出た声もやはり冷たく。
「……詳しく話を聞かせてもらおう」
凍える気配を纏わせ、そう言い放った私はすくと、リーファを横抱きに抱え上げて立ち上がった。
腕の中、ぐったりとしたリーファに意識はなく、だが、その顔は苦しげに歪められ、きゅっと眉間にもしわが寄っている。
ああ、リーファ、なんて哀れな。
何があったのかはわからない。でも、リーファをあれほどまでにひどく混乱させた。それだけでも充分な罪だ。
勿論、私が促すまま、びくびくと怯えながらついてくる彼らに、悪意や害意がないことなんてわかっている。
もし何かがあったとしても、それは間違いなく事故なのだろう。
そんなことはわかっている。わかっているのだ。それでも。許せないことはあり、私が今、怒り狂っているのは本当で。
それがわかるからこそ、彼らも縮こまって気まずそうにしているのだろうと思われた。
いずれにせよ、ここではなく、多少なり落ち着いて話を聞こうと歩き出した私の後ろで、竦んで動けなくなっているのだろう魔術師塔所属の者たちを、ラーヴィが促しているのを感じたが、私は彼らなど気遣わず、決して緩めない足取りで先へと進んだのだった。
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