【完結】身に覚えがないのに身ごもりました。この子の父親は誰ですか?

愛早さくら

文字の大きさ
117 / 148
第二章・ペーリュ視点

2-30・元凶の者たち

しおりを挟む

 いったい何が起こったのか。これはいったいどういう状況なのか。
 私には勿論、わからないし、どうやらラーヴィも事態を正確に把握しているわけではないようにしか見えなかった。

「いったい何が……」
「わかりません。急に何かが飛来してきて……」

 それはおそらく私も感じた、変わった気配のことだろう。有体に言うと、魔力なのだとは思う。だが、通常のそれとは違って、あれは……。
 首を振るラーヴィを顔を見合わせ、そう思考を巡らせ始めた矢先、ぱたぱたと慌てたように、こちらへと駆けてくる幾人かの気配があった。

「へ、陛下っ?! それに殿下方もっ……これはっ……!」
「ああ、申し訳ございません、こちらにおかしな魔力が飛んできたのではないかとっ……!」

 そちらへと顔を向ければ、見覚えのある者たちが数人。
 どの者も確か、魔術師塔に所属している者たちだ。

「お前たちは……」
「ああ、殿下、いったいどうして……」
「申し訳ございませんっ、申し訳ございませんっ」

 彼らを誰何する前に、それぞれが混乱や謝罪を口にする。
 そんな様子から見ても、リーファに起こった異変・・・・・・に、彼らが関わっているのだろうことはあまりにも明白だった。
 私は厳しく彼らを睨み据えた。

「ひぃっ!」

 目の前でガタガタと震えられるが、知ったことではない。
 今自分がとんでもなく冷たい眼差しで彼らを見ているだろうことがわかる。
 続けて口から滑り出た声もやはり冷たく。

「……詳しく話を聞かせてもらおう」

 凍える気配を纏わせ、そう言い放った私はすくと、リーファを横抱きに抱え上げて立ち上がった。
 腕の中、ぐったりとしたリーファに意識はなく、だが、その顔は苦しげに歪められ、きゅっと眉間にもしわが寄っている。
 ああ、リーファ、なんて哀れな。
 何があったのかはわからない。でも、リーファをあれほどまでにひどく混乱させた。それだけでも充分な罪だ。
 勿論、私が促すまま、びくびくと怯えながらついてくる彼らに、悪意・・害意・・がないことなんてわかっている。
 もし何かがあったとしても、それは間違いなく事故なのだろう。
 そんなことはわかっている。わかっているのだ。それでも。許せないことはあり、私が今、怒り狂っているのは本当で。
 それがわかるからこそ、彼らも縮こまって気まずそうにしているのだろうと思われた。
 いずれにせよ、ここではなく、多少なり落ち着いて話を聞こうと歩き出した私の後ろで、竦んで動けなくなっているのだろう魔術師塔所属の者たちを、ラーヴィが促しているのを感じたが、私は彼らなど気遣わず、決して緩めない足取りで先へと進んだのだった。
しおりを挟む
感想 14

あなたにおすすめの小説

巣ごもりオメガは後宮にひそむ【続編完結】

晦リリ@9/10『死に戻りの神子~』発売
BL
後宮で幼馴染でもあるラナ姫の護衛をしているミシュアルは、つがいがいないのに、すでに契約がすんでいる体であるという判定を受けたオメガ。 発情期はあるものの、つがいが誰なのか、いつつがいの契約がなされたのかは本人もわからない。 そんななか、気になる匂いの落とし物を後宮で拾うようになる。 第9回BL小説大賞にて奨励賞受賞→書籍化しました。ありがとうございます。

悪役神官の俺が騎士団長に囚われるまで

二三@冷酷公爵発売中
BL
国教会の主教であるイヴォンは、ここが前世のBLゲームの世界だと気づいた。ゲームの内容は、浄化の力を持つ主人公が騎士団と共に国を旅し、魔物討伐をしながら攻略対象者と愛を深めていくというもの。自分は悪役神官であり、主人公が誰とも結ばれないノーマルルートを辿る場合に限り、破滅の道を逃れられる。そのためイヴォンは旅に同行し、主人公の恋路の邪魔を画策をする。以前からイヴォンを嫌っている団長も攻略対象者であり、気が進まないものの団長とも関わっていくうちに…。

美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜

飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。 でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。 しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。 秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。 美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。 秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。

【完結】冷酷騎士団長を助けたら口移しでしか薬を飲まなくなりました

ざっしゅ
BL
異世界に転移してから一年、透(トオル)は、ゲームの知識を活かし、薬師としてのんびり暮らしていた。ある日、突然現れた洞窟を覗いてみると、そこにいたのは冷酷と噂される騎士団長・グレイド。毒に侵された彼を透は助けたが、その毒は、キスをしたり体を重ねないと完全に解毒できないらしい。 タイトルに※印がついている話はR描写が含まれています。

冤罪で追放された王子は最果ての地で美貌の公爵に愛し尽くされる 凍てついた薔薇は恋に溶かされる

尾高志咲/しさ
BL
旧題:凍てついた薔薇は恋に溶かされる 🌟第10回BL小説大賞(2022年)奨励賞。2025年11月アンダルシュノベルズより刊行🌟 ロサーナ王国の病弱な第二王子アルベルトは、突然、無実の罪状を突きつけられて北の果ての離宮に追放された。王子を裏切ったのは幼い頃から大切に想う宮中伯筆頭ヴァンテル公爵だった。兄の王太子が亡くなり、世継ぎの身となってからは日々努力を重ねてきたのに。信頼していたものを全て失くし向かった先で待っていたのは……。 ――どうしてそんなに優しく名を呼ぶのだろう。 お前に裏切られ廃嫡されて最北の離宮に閉じ込められた。 目に映るものは雪と氷と絶望だけ。もう二度と、誰も信じないと誓ったのに。 ただ一人、お前だけが私の心を凍らせ溶かしていく。 執着攻め×不憫受け 美形公爵×病弱王子 不憫展開からの溺愛ハピエン物語。 ◎書籍掲載は、本編と本編後の四季の番外編:春『春の来訪者』です。 四季の番外編:夏以降及び小話は本サイトでお読みいただけます。 なお、※表示のある回はR18描写を含みます。 🌟第10回BL小説大賞での応援ありがとうございました! 🌟本作は旧Twitterの「フォロワーをイメージして同人誌のタイトルつける」タグで貴宮あすかさんがくださったタイトル『凍てついた薔薇は恋に溶かされる』から思いついて書いた物語です。ありがとうございました。

BLゲームの展開を無視した結果、悪役令息は主人公に溺愛される。

佐倉海斗
BL
この世界が前世の世界で存在したBLゲームに酷似していることをレイド・アクロイドだけが知っている。レイドは主人公の恋を邪魔する敵役であり、通称悪役令息と呼ばれていた。そして破滅する運命にある。……運命のとおりに生きるつもりはなく、主人公や主人公の恋人候補を避けて学園生活を生き抜き、無事に卒業を迎えた。これで、自由な日々が手に入ると思っていたのに。突然、主人公に告白をされてしまう。

ギルド職員は高ランク冒険者の執愛に気づかない

Ayari(橋本彩里)
BL
王都東支部の冒険者ギルド職員として働いているノアは、本部ギルドの嫌がらせに腹を立て飲みすぎ、酔った勢いで見知らぬ男性と夜をともにしてしまう。 かなり戸惑ったが、一夜限りだし相手もそう望んでいるだろうと挨拶もせずその場を後にした。 後日、一夜の相手が有名な高ランク冒険者パーティの一人、美貌の魔剣士ブラムウェルだと知る。 群れることを嫌い他者を寄せ付けないと噂されるブラムウェルだがノアには態度が違って…… 冷淡冒険者(ノア限定で世話焼き甘えた)とマイペースギルド職員、周囲の思惑や過去が交差する。 表紙は友人絵師kouma.作です♪

平凡な俺は魔法学校で、冷徹第二王子と秘密の恋をする

ゆなな
BL
旧題:平凡な俺が魔法学校で冷たい王子様と秘密の恋を始めました 5月13日に書籍化されます。応援してくださり、ありがとうございました! 貧しい村から魔法学校に奨学生として入学した平民出身の魔法使いであるユノは成績優秀であったので生徒会に入ることになった。しかし、生徒会のメンバーは貴族や王族の者ばかりでみなユノに冷たかった。 とりわけ生徒会長も務める美しい王族のエリートであるキリヤ・シュトレインに冷たくされたことにひどく傷付いたユノ。 だが冷たくされたその夜、学園の仮面舞踏会で危険な目にあったユノを助けてくれて甘いひと時を過ごした身分が高そうな男はどことなくキリヤ・シュトレインに似ていた。 あの冷たい男がユノにこんなに甘く優しく口づけるなんてありえない。 そしてその翌日学園で顔を合わせたキリヤは昨夜の優しい男とはやはり似ても似つかないほど冷たかった。 仮面舞踏会で出会った優しくも謎に包まれた男は冷たい王子であるキリヤだったのか、それとも別の男なのか。 全寮制の魔法学園で平民出身の平凡に見えるが努力家で健気なユノが、貧しい故郷のために努力しながらも身分違いの恋に身を焦がすお話。

処理中です...