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第二章・ペーリュ視点
2-34・他と義兄上①
リーファにとって他となった私が、しかし、リーファの記憶の中ではリーファへと触れているのである。
そんなこと、どう考えてもリーファに堪え切れるはずがなかった。
他者の認識に魔術でもって変化を起こさせる。
そういった魔術そのものは、私でも行使することが出来た。
だが、それは対象がリーファでなかった場合のみだ。
なにせリーファは私よりも魔力量が多く、どうしてもそういった認識や記憶に作用する魔術は、自分より魔力に長けた者に対しては、ほとんど作用させることが出来ないものだった。
それはおそらく、そういった魔術を得意とする曽祖父であっても同じだろう。
今回のように、何故か作用してしまったことこそが考えづらいほどで。
久しぶりの外出に、もしかしたらリーファは余程、気を緩めていたのかもしれない。あるいは他者の意思が介在し得ない、単純な魔力の一種であったからこそ作用してしまったのか。
いずれにせよ、今、私の腕の中で、リーファが苦し気にしている事実に変わりはなかった。
ラーヴィは何も言わない。否、何も言うべき言葉が見つからないのかもしれない。私が、そうであるように。
気まずい沈黙は、しかし、予想通り慌てた様子で駆け込んできた曽祖父によって霧散した。
「ペーリュ! リーファが事故にあったんだって?!」
らしくなく焦った様子の曽祖父に私はきゅっと眉間のしわを寄せた。
なんと伝えればいいのか。否、ありのままを伝えるしかない。言葉を紡ぐのを躊躇う私をしり目に、ラーヴィは一つ苦笑して。
「お久しぶりです、曽祖父様。宜しければ私から説明いたします」
そう、申し出てきて、どうやら私の代わりに説明を請け負ってくれるつもりであるようだった。
自身が言った通り、先程まで魔術師塔の者たちがいた対面のソファへと腰かけた曽祖父へ、ラーヴィが説明し始めたのを尻目に、私はぎゅっとリーファを抱きしめる。
苦しげな様子のままであるのが、痛々しくて堪らなかった。
ああ。
「リーファ」
どうしてこんなことになったのか。本当に全くの事故であるようだからこそ、憤りの持っていき場所がない。
だってきっと誰が悪いというわけでもないのである。
見下ろしたリーファの表情は緩まず、苦し気に顔をしかめたまま。
つまり、今、確かなことはリーファの意識を、この状況で取り戻させるのは得策ではないだろうということ。同時にそれは、いくらリーファが苦し気にしていても。出来ることが何もないというのと、ほとんど同じ意味だった。
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