【完結】身に覚えがないのに身ごもりました。この子の父親は誰ですか?

愛早さくら

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第二章・ペーリュ視点

2-48・私の意味①

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 大丈夫。曽祖父が言うのなら、本当に大丈夫なのだろうと僅かばかり安堵する。それはまるで魔法のようで。ああ、幾つになっても、何処まで行っても。自分はきっと、この人には敵わないんだろうな。そんなことを実感した。
 あまりにも大きな人なのだ。
 この人の後を引き継いで、いくら私が皇帝となったって、何年その椅子を温め続けたって、敵う時など一生来ない。

「魔術師塔の方も頑張ってるよ。ラーヴィもよくやっている。解析はすでに終わっていて、今はそれを元に、新しい魔術式を組み立てている最中なのだそうだ。相手がリーファだからね。自分よりよほど強い魔力を持つ相手にまで作用する魔術式となると、やはり簡単にはいかないようで。だけど、あの様子だとそれほど日数もかからないだろう。だから本当にお前がそこまで不安に思うことはないんだ」

 その上、こんな風に。私の知りたかったことまで不足なく伝えてくれまでするのである。
 心配しなくていい、大丈夫だ。曽祖父は何度も私にそう言った。

「仕事の方も、僕が出来る分は僕がやっておく。そもそも、今のお前じゃ使い物にならないしね。しばらくはリーファにつきっきりでいいよ」

 なんとも心強くありがたい限りだ。本当につくづく曽祖父には頭が上がらない。
 私は今、この国の皇帝で、つまり国主で。本来ならこんな風に、いくら最愛の伴侶のことだと言っても、私情に任せて寝室にこもりっきりになるなど、あってはならないことなのだということぐらいわかっていた。
 私はきっととんでもない愚王なのだろう。
 だが、幸いにしてこの国は、そもそも国主をそれほどまでには必要としてないのだ。
 一番重要な王族の仕事は結界の維持で、それは今、リーファが担っていて、それ以外の皇帝の仕事など、言ってしまえば誰でもできるようなおまけでしかない。
 そもそも、皇帝の一存で決められるようなことなどほとんどなく、それこそ、自分の伴侶や子供たちのことぐらい。許されている自由など、そんなものしか存在しなかった。
 服も、住む場所も、予算に関してだって、選択肢がないというよりは、決められた範囲内でしか選択できなかった。
 あとはただ、日々上がってくる報告に目を通して、適切に仕分けて指示を出していくことのみ。その指示だって、疑問があれば再度問い合わせが来るのである。
 その代わりのように仕事の外で自由に使える時間をどう使おうと、余程でなければ咎められたりしなかった。
 私は別にそれでいいと思っているし、それに不満を抱いたことなどない。
 リーファを自分の側に留め置いて、手を伸ばすことが出来る。それでよかった。それ以外など、要らなかった。
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