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第二章・ペーリュ視点
2-49・私の意味②
しおりを挟む今のように、余程だと思えば咎める人がいる。今、ここで曽祖父が私を宥めなくても、他の誰だっていずれは私に苦言を呈してきたことだろう。
目に余るようならそうされたし、それを押しのけて自分の意思を通そうとするような人間など、そもそもがこの国には居られないのである。
他の国ではきっと、私など王のまま据え置かれることなどない。だが、この国でそうはならないのは言ってしまえばリーファの存在ゆえだ。
なにせ結界を維持できることこそが王族としての価値なのだから。
この国で一番尊重されるべきは私ではなくリーファ。
私は言うなれば、リーファを守るための盾に過ぎなかった。なのに。
「リーファ」
また、不安が押し寄せてくる。瞼の奥、焼き付いて離れない。
『ペーリュ義兄上』
私に向けられた、恐怖と嫌悪。
ああ、リーファ。なんて恐ろしいのだろう。
それだけリーファに触れて、体をつないで、魔力を注いでもなくならない。あの瞳が恐ろしくて堪らなかった。
もしあれがこの先ずっと続くのだとしたら、私は……。
「ペーリュ!」
私の思考を読んでいたわけでもないのだろうけれど、胸が不安で支配されそうになった時、曽祖父が厳しく私の名を呼ぶ声が聞こえてきて、私はなんとか意識を浮上させることが出来た。
パチと目を瞬かせた私に曽祖父がほっと息を吐く。
「よかった。戻ってきたね。あまり思いつめない方がいい。大丈夫、大丈夫だから。本当に、全く。これじゃあリーファよりお前の方が不安定じゃないか」
出来の悪い子供でも相手にしているかのような曽祖父の声に、私は幼い子供にでもなったような気分になる。不思議と反発する気持ちにならない。
曽祖父の言うとおりだからだ。
私は、リーファが居なければだめなのだ。リーファに否定されたなら、おそらく生きてはいられない。
今もきっと、危うい気配を曽祖父は感じ取ったのだろう。
「ペーリュ。気をしっかり持って。大丈夫だ、リーファの義兄上は君以外にいない。リーファは必ず元に戻る。リーファが戻った時に今の君を見るときっとリーファは心を痛めてしまうよ。リーファの為にも君はしっかりしていないと。ね?」
宥めるような曽祖父の言葉が、あたたかい気遣いとなって私の上へと降り注いでいく。
そうだ、本当に私は何をやっているのだろう。今こそ私こそがしっかりとリーファを支えないといけないのに。こんなにも弱いばかりだなんて、情けないにも程がある。
曽祖父の支えがありがたかった。
リーファの為に。
それ以外がない私のことをよく知っていて、だから私はようやく、なんとか笑みのような表情を作ることに成功したのだった。
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