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第二章・ペーリュ視点
2-57・確認と後始末②
しおりを挟む私は、どうすればいいのかとしばし考えた。
今回のことは、言ってしまえばただの事故だ。彼らに何か思惑があったわけではない。
勿論、今後はこういったことが起こらないように充分に注意して欲しいとは思うし、全く何もなしというわけにはいかない。なにせ被害にあったのがリーファだ。この国で最も尊ぶべき存在。
だが、同時に、リーファ以外には何の被害もなく、あまりに過剰な罰は、逆にリーファが気にしてしまうだろうとしか思えなかった。
私も別に彼らにそれほどの怒りを覚えているわけではない。むしろ、私の意識は原因となった彼らではなくリーファにしか向いておらず、リーファが戻った以上、彼らに対しては、今後十二分に注意して欲しいというぐらいの思いしか抱いていなかった。
リーファが戻ってきた。私にとってはそれ以上のことなど何もないのだ。ただ、違和感に苦しめられたのはリーファだ。なら、リーファに意見を聞く必要があるだろうとそう考える。
「リーファ」
「はい、義兄上」
傍らでぴったりと私に寄り添うリーファに声をかけると、リーファは素直に返事をして、まっすぐに私へと視線を向けた。
先程までの、少し不安定にも見えた様子はすっかりと鳴りを潜めている。どうやらいくらかは落ち着きが取り戻せたらしい。
私は内心でそれにも少しばかり安堵した。よかった。
「リーファは、どうしたい?」
「どう、とは?」
「今回リーファは彼らの開発中の魔道具の誤作動という事故によって、混乱してしまっただろう? 一番苦しい思いをしたのはリーファだ。リーファに実際に被害が出てしまった以上、彼らに何も罰を与えないというわけにはいかない、でも、これはあくまでも事故だから、それほど重大な罰も与えられない。リーファは、どうするのがいいと思う?」
私の説明にリーファは頷いて、そしてじっと考え込んだ。
私を見る。その眼差しに、気づかわし気な色が宿った。
「リーファ?」
「義兄上は?」
「うん?」
「義兄上も、苦しかったんじゃありませんか? 僕は義兄上をちゃんと認識できなくなってしまって……だから、」
そんなリーファの様子に私はようやく気付いた。
リーファは記憶を失くしたわけではないのだ。なら、認識がおかしくなっている間のこともしっかりと覚えているのだろう、私のことを、どんな目で見たのか。きっとリーファは自覚している。
まさかそれを気にしているのか。
否、リーファなら気にするだろう。
そう思い至るだけで私は、
『ペーリュ義兄上』
そう私を呼びながら向けられた拒絶と嫌悪の眼差しを、もう私こそが気にせずにいられるような気がした。
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