【完結】おいでませ!黄昏喫茶へ~ココは狭間の喫茶店~

愛早さくら

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第弐話

2-4・来訪

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 そう言えばこの一室もおかしな間取りだと思う。
 いや、他など知らないからよくはわからないのだけれど、何故だかそう思った。
 古い1Kでキッチン部分は勿論広くはない。だが、それ以上に部屋が狭く、トイレにも浴室にもキッチンとは2枚の引き戸で区切られているだけの部屋からしか行けなかった。
 こういった場合、水回りにはキッチンから繋がっていることの方が多いような気がするのだがどうなのだろうか。わからない。
 なお、キッチンと部屋を隔てている引き戸はすりガラスで出来た障子のような格子状のもので、これも古めかしく年代を感じさせた。
 改めて見まわすと、新しいものなど何もない。
 冷蔵庫も古く、だが機能に問題はなかった。
 中を開けて確かめる。
 思っていた通り、中身は乏しく、やはりスーパーに寄るべきだったかと溜め息を吐く。
 卵がないのはやはり痛い。
 何もない時の卵頼りだ。
 時計を確認する。これも初めからこの部屋にあった壁掛け時計。黒い数字しかない装飾に乏しいシンプルなものだ。
 時間は午後六時を指していた。
 六時。
 喫茶店を出た時間から考えると、なんだか時間が経ちすぎている気がしたがよくわからなくなってくる。
 一瞬迷って、やはりスーパーに行こうと決め、玄関に戻り、一度降ろしたショルダーバッグを持ち直した。
 肩に斜めがけにして、そして。
 玄関から出ようとしたところで、チャイムが鳴った。
 ピンポーン。
 間抜けで、やはり古めかしい音。
 思わず俺は眉根を寄せた。この音も、初めて聞いた。
 と、言うか、チャイムなどあったのか。
 やはりこれにも、今まで気付かなかった。
 そもそもこの部屋に誰かが来ること自体が初めてで。
 幸いにして玄関は目の前だ。
 俺は躊躇いながら扉を開いた。

「はい?」

 キィ、軋んだ音と共に押し開いた扉の向こうに立っていたのは、果たして、先程の帰り道で挨拶を交わしたばかりのキョウさんだった。
 なるほど、確かに彼女なら俺の部屋を知っている。
 なにせここを紹介してくれたのは彼女なのだから。

「よ! レンゲ」

 軽く手を上げて俺の名を呼ぶキョウさんの手にはスーパーの袋。

「キョウさん?」

 首を傾げる俺にキョウさんはにしゃと笑う。

「おう!」

 勇ましく、女性らしくなく応じるのがひどくらしい。
 俺は思わず吹き出して、一歩身を引いて中へと促すことにした。

「あの……入りますか?」

 なにか、用事があって訪ねてきたはず。いずれにせよそれら全部を中で落ち着いてから聞こうと思って。
 そうしたらキョウさんは少しだけ迷いを見せた。

「ん? あー……うーん」

 だけどすぐに頷いて。

「うん、上がらせてもらうね」

 俺が誘うままに、扉をくぐって、俺の部屋へと足を踏み入れたのだった。
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