処刑されそうになったので逃げ出したら狼から溺愛されました

瑚珀

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次第に騒がしくなる廊下

部屋の扉が勢いよく開かれバタバタと入ってくるメイド達
 「ひっ…!!」
 「ア、アリシア…様…!」

寝台の上で呆然と両手を見つめるアリシア
赤黒く染まったその手を見たメイド達はガタガタと震え、後退りし呟く「皇帝陛下に報告しなくちゃ」と…



続けて勢い良く入ってきたのは第1皇女と第2皇女
 「アリシア…っ!一体、どうして…?!」
 「フィオナ、お姉様…」
 「フィオナ離れて!貴女まで殺されてしまうわ!」
 「スカーレットお姉様…?どうして、」
心配して駆け寄るフィオナを引き離すスカーレット

1人の目には恐れと心配…そしてもう1人には嫌悪がはっきりと見えていた

 「どうして?それはこっちのセリフよ!!ルビーに…私達の妹に何をしたの!?」
 「…ルビー、?ルビーがどうしたのですか…?」
 「白を切るつもり!?」
 「スカーレットお姉様落ち着いて、アリシアも混乱しているわ…」
 「甘いわね!またいつになるか分からないわよ!?」


獣…?誰が??


 「こんな危ない奴と20年近くも一緒に過ごしていたなんて…早く地下牢へ監禁して!」
 「お姉、様…」
すがるようにスカーレットへ手を伸ばすアリシア
パシン!と弾かれたその手は行き場を失い、不自然に空中で留まる

 「触らないで…あんたなんて妹じゃないわ」
初めて見る姉の冷たい声と視線に、言葉を失い静かに涙を流した






✿❀✿❀✿❀✿❀✿❀✿❀✿❀

仄暗ほのぐらい地下牢は水の滴る音が不気味に響き、埃っぽい匂いが鼻を刺す

…一体、何が起こったというのだろうか

状況が未だに飲み込めないアリシアは呆然と壁に寄りかかり、天井を仰いでいた

 「アリシア」
 「!お姉様…っ!」
スカーレットが檻の向こうで腕を組みこちらを見下ろし立っていた
 「何が起こったのか、知りたい?」
 「…はい、っ」
ふっと呼吸を整え話し始めるスカーレット


 「昨日の夜、ルビーが獣に襲われたの」
 「!?」
 「幸い命に別状はなかったもののまだ目を覚まさないわ…襲われたショックと耳から頬にかけた傷があと数cmで眼球に届くほど深く大きかったからね」
 「そん、な……」
ルビー…愛らしい私の妹
彼女がそんな大きな怪我を負い、しかも未だ目覚めないなんて
 「何ショック受けてんの。やったのはあんたよ」

 「………え?」

 「あんたが、ルビーを襲ったの」





今、姉はなんと言った…?

私がルビーを襲った?妹に、一生消えないかもしれないほど大きな怪我を負わせたのは…私??

 「そんなハズ…」
 「あんたの両手にあった血の跡、あれはルビーのものよ」
 「いや…そんな、嘘いやよ…ルビー…」
混乱と悲しみで涙が溢れ、狂ったように頭を抱え首を振るアリシア
 


 「…プッ」
ガクガクと震えながら姉を見上げると、肩を震わせ笑っていた

 「傑作…!こんなに上手くいくなんて!本当笑える!!」
目をギラつかせガシャン!と大きな音を立て、檻に手をついて笑うスカーレット

 「お姉様…?」

 「あんたが皇族の中でただ1人魔法が使えないのも!獣になったのも!
ぜーんぶあたしがお膳立てしてあげたからなのよ!!」
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