処刑されそうになったので逃げ出したら狼から溺愛されました

瑚珀

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 「これは酷い…」
ガルアス帝国の馬車に揺られるケイレブとアリシア、隣のルークも皆が国の惨状に眉間の皺を寄せた

緑豊かな山々に囲まれた国は広大な草原と色とりどりの花々が町に咲き乱れる活気溢れる国だった

しかし…今目に映るそこは茶色く干からびた荒野と所々の家が煙を上げ、国民は建物から出ないよう息を潜めていた…

 「…っ」
 「アリシア…」
堪えきれずひたすら静かに涙を流すアリシアの肩を抱きしめるルーク
 「アリシア様、まもなく着くそうです」
 「…はい、分かっています」
固く意を決した金色の瞳は、懐かしの城を見据えていた





✿❀✿❀✿❀✿❀✿❀✿❀✿❀

 「ガルアス帝国第1皇太子 ケイレブと申します。貴国の罪人を捕らえた為参上致しました」
中と連絡を取った門兵は私の顔を確認するといとも簡単に城門を開けた

 「ここまでは…順調ですね」
 「ケイレブ様、ご自身の身が危ないと感じたらすぐにお逃げ下さい」
 「生憎、弟の番を見殺しにするほど薄情な狼ではありませんよ?」


謁見の間へ到着したアリシアとケイレブ
自力で解けるよう縄で緩く結んだ両手を後ろに、アリシアは扉の向こうに待つ人への感情を押さえ込んでいた

ゴォォン……

重たく大きな扉が開くと、天井は一面ガラス張りで日差しのよく入るとても明るい広間
そして正面に玉座が見える

 「っ」
 「あらあらあらあら!アリシアぁ…帰ったのね?よかった、何処かで野垂れ死にしていたらどうしようかと心配してたのよ?」
皇帝の、父の玉座にふんぞり返って座るスカーレットにはらわたが煮えくり返っていた
 「あ?隣の…もしかして獣人?ガルアス帝国からって本当だったの?」
隣に立つケイレブへ視線が移る
 「ガルアス帝国第1皇太子 ケイレブと申します」
 「やっだ…!獣人って本当にいたんだ!?しかも同じ言葉を喋るなんて…不気味~!」
この女…!どこまで屑なの…!?
丁寧に挨拶をしたケイレブに向かって、不躾に挨拶を返さず、あまつさえ侮辱するとは…しかも獣人全体を…

 「ガルアス帝国の~…皇太子様?貴方はもういいから出て行ってくださる?逆らえば炎でうっかり焼いちゃうかもしれないですぅ」
 「…」
ちらとアリシアを見るケイレブ
 (大丈夫です…早く行ってください)
目で合図を送るアリシア
 「畏まりました、失礼致します」

再び響く扉の閉まる音

 「ほんと…よかったわぁ勝手に死なれてなくて!あんたにいいお知らせもあったのよ?」
 「お父様の訃報なら、存じてます」
 「あら、残念!帰った時に知らせて思いっきり絶望した所でトドメを刺そうと思ってたのに~!」
ケラケラと気色悪い笑い声を響かせるスカーレット
どうやらが外れたらしい
最後に地下牢で顔を合わせた時に比べて遥かに狂気的となり正常な思考ができていない…いや、これが本当の彼女の姿だったのだろう

 「まぁいいわ…また獣にでもなられたら面倒だし、さっさとお父様の元へ逝かせてあげる」
てのひらを上へ向け、メラメラと燃える炎を出すスカーレットに問いかける

 「愚かなお姉様…私がまだ半獣人だと思ってるのね?」

 「…何……?」

ピタリと動きが止まる
汗が額を流れたのをアリシアは見逃さなかった

 「まさか…」

 「この国を作った偉大な魔女は、この国を豊かにし皆で手を取り合える希望となるように私達皇族に“力”を与えてくださった…それを貴女は、
脅しや見せしめ、さらには殺人にまで使ってしまった。
さぞ、魔女様も失望なさっているでしょうね」

 「ごちゃごちゃごちゃごちゃと…!」

 「そんな貴女はもう…この国に必要ありません」

縄を解き両手を広げるアリシア

 「お姉様、雨はお好きかしら?」

刹那、天井のガラスを突き破る程の激しく鋭い粒がスカーレット目掛けて降り始めた
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