神縁の申し子はその目で何を見る

ボンディー

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第一部第一章地球編

第五話【頭をかち割る思い】

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「どうもこんにちは一はじめ君、神様の補佐役をやっている天使のメーティスです。よろしく」

 ゼウスの後ろからしれっと会話に参加して来たゼウスよりも神々しい女の子(中学生くらいの子)はメーティスという名のフレンドリーな天使だった。

(あ、どうもよろしくです。それでサボりって?)

「いやぁー丁度読んでる地球の小説が良い所でさぁ」

(...そのせいで俺が死んだと)

「あぁ...直接的な死因じゃないけど...ごめんね?」

(いやごめんねじゃねぇよ⁉︎俺も読みたい小説とか漫画があるんだよ‼︎早く元いた場所に返してくれ!)

「それが出来ないんだよねぇ、あはは」

(まるで反省の色が無い!)

 今まであまりに現実味がなくて処理速度が追いついていなかったはじめだが、ここに来て焦燥感が出てくる。

(ふざけんな‼︎神だか何だか知らないが俺の平凡な人生を返せ!)

「まぁまぁはじめ君、神様も約200万年も続けて来たのだし、間違えだってしてしまうんですよ。それに解決策もあるのでしょ?」

(いやいや、人間じゃ無いんだから間違えちゃったじゃn...解決策...あるの?)

「あぁ、もちろんあるとも」

(それを先に言え!)

「いゃ~すまなかった、あまりに反応がテンプレートで」

(...それでその解決策ってのはなんなんだ?)

「あぁそうだね、それについて説明しよう。まず君があの箱庭、地球に帰れない理由からだね」

(理由って輪廻から外れたからじゃ?それと箱庭?)

「さっきも言った様にそれは直接的な死因じゃ無いんだ、あと箱庭って言うのはだねぇ...」

「神様達は地球の様な世界を何個も監修しています。その世界のことを箱庭と呼称しているんです」

 見かねたメーティスが代わりに説明をしてくれた。

(なるほど)

「ありがとうメーティス助かったよ」

「どういたしまして」

(まぁ箱庭については何となくわかった、実は宇宙が何個も存在していたとかそんな感じだろう、それで俺の直接的な死因ってのは何なんだ?)

「相変わらず理解力が高くて助かるよ、それで君の直接的な死因ってのは君の体が無くなったことさ」

(いや、200年も経ってたらそら死体も残ってないだろ)

「実は僕が君の魂を発見したのは君が気絶した半年後だ」

(は?いやだってさっき200年前だって)

「まぁまぁ、まずは死体の話だ。輪廻転生とか魂の扱いは基本的に僕が担当してるんだけど、その仕事の中に"重度の気絶で輪廻から弾かれてしまった魂を肉体に戻す"って言うのがあるんだ。」

(お前はそれをサボったって事だな)

「ははは、ここ80年無かったから油断してたよ」

「そもそもサボらないで下さい」

(ってか俺そんなに重度の気絶だったのか...)

「いや、そんなに気絶自体は重く無かったよ、それこそ軽い脳震盪だったよ」

(じゃあ何で)

「それは君の存在自体が生まれつきとても不安定だったからさ」

(もしかして親に関する記憶が無いのって...)

「それも関係してるかもねぇ、あぁそれと200年経ったのは君を生き返らせる解決策の準備が遂に出来たからさ」

(因みにその解決策とやらをやったら俺の存在とやらは安定するのか?)

「それは今後の君次第かな、結局不安定なのは君の身体じゃなくて魂の存在だからね、安定させるには色々な経験を積んで強くなるしか無いね」

(それで結局解決策ってのはなんなんだよ)

「さっき言った通り君の体さえあれば、僕は君の魂を元に戻すことは出来る、でも魂だけ半年や200年も前に送るとなると君の魂が消えてしまう可能性がある」

(なるほど...魂だけって事は体も一緒なら元の時代に戻れるんじゃないか?いやでもその体が無いのか...)

「そう!だから一から作るんだよ、君の魂にあった体を!」

(は?そんな簡単に出来るのかよ、ならさっさと作って200年前に送ってくれ)

「いやいや僕は君の魂に合った造りの高校生程複雑な体は作れないんだ」

(は?でも200年もかけてやっと準備出来たとか言ってたじゃないか)

「それは別の箱庭で、君の体を一から、幼児体から成長させる準備さ!」

(なるほど高校生の体は作れなくても幼体ならば作れると、ってか結局異世界転生系かよ!)

「?とりあえず趣旨は伝わったかな?」

(まぁ何となく...)

「さてじゃぁ早速行く?」

(いや早すぎるだろ、因みに俺が行くのはどんな世界なんだ?)

「まぁ良くある剣と魔法の世界だね、時代は地球で言う中世くらいかな、モンスターもいて危険度は高いけどそっちの方が君には良さそうだし」

(いや何でだよ!死んだらどうするんだよ!)

「どうもしないさ、その世界での輪廻転生が始まるだけ、それに君の存在の不安定さを治すには色んな経験を積むべきだって言っただろ?」

(いや確かにそう言ってたけど...)

「でも確かに簡単に死なれると僕の200年がパァになっちゃうからね、少しだけ色を付けておくよ、それと君の意識が覚醒するのは7歳あたりだ」

(まぁ妥当だな、他には?)

「10歳になると教会で神気を扱える様になる儀式をやって、多少便利なスキルが使える様になると思うから期待しといてくれ。それに体は神である僕が直々に作ったんだ、つまり僕の血が入っている。相当頑丈なはずさ」

(お前の血が入ってると考えるとなんか嫌だな)

「そんなこと言うなよ!頭をかち割る思いで頑張ったんだぞ!」

(何だその例え、でもまぁ、とりあえず何となくわかってきた、他に何か無いか?)

「あとは原地でのお楽しみかな」

(まぁ15歳まで耐えれば良いんだよな)

「そうそう、僕が頃合いを見て回収するよ」

(またサボるなよ?......ならもう行くか)

「ははは、善処するよ」

「でははじめ君、こちらへ」

 そこには何も無い空間に、ポツンと置かれている魔法陣の様なものがあった。

(へぇ、いかにもって感じだな)

「最後に一言言っとくと、君のこれからの人生相当キツイから、覚悟していざと言う時の為に鍛えときな、それじゃ!」

(は?いや唐突すg)

 そんな感じで覚悟する間も無く送り出される主人公だった。

「それにしても良かったんですか?あんな嘘言っちゃって、魂の管理は天使達の役割じゃないですか、サボってたのは本当ですけど」

「良いんだよ、命令を出したのは僕だし、やっぱり直接この目で見ときたいじゃないか」

「そうですか、ではこれからは溜まっている仕事を消化して下さいね」

「はいはいわかったよ、にしても彼、やけに飲み込みが早かったなぁ...まぁあの調子なら直ぐに環境に適応出来るだろ」

 そうして静寂の中にゼウスとメーティスは消えていった。








うんめいはうたうよ~ うごきだしたよ~♪
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