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第二話【ラーメン屋編】
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~仕事帰りのラーメン屋にて~
「いらっしゃい!!」
カウンターしかない小さなラーメンやさん、いぞうは会社帰りに、この店へ新卒1年目の社員とたまにくる。いぞうはこの社員の教育係になっていた。
何回か来るうちに二人とも注文するメニューは決まっていたので、メニューは見ずに、それぞれいつものを注文する。
「池手名さん、何か、いつも一緒すよね。同じことの繰り返し。」
「どういうことだい?」
いぞうが新人社員に尋ねる。
「いやね、生活に変化ないっていうか、僕ら独身じゃないですか。だから自由なんですけど、何か、入社して三ヶ月経つけど、例えば今日が月曜日でも木曜日でも、何も変わらないじゃないじゃないですか。金曜日はラーメンが酒になるくらいで。何か、それ考えると、何やってんだオレ?って気持ちになるんすよ。」
「なるほど。今の生活が単調でつまらないと。」
「そうなんすよねぇ。特に趣味もないですしねぇ。」
「なるほどね。でも、今の生活をつまらなくしてるのは、他でもない、君自身なんだよ。今の君っていうのはね、これまでの君の結果なんだよ。」
「はぁ。」
「これまで君が起こしてきた行動の結果、今がつまらない。つまり、今を変えたいなら、これまでとは違う行動を、君自身が起こしていかないとダメなんだよ。」
「はぁ。なんかわかったような。わからんような。。。」
そんな話をしているとき、若い女性二人が店内に入ってきた。
「池手名さん、あの子たち、可愛いくないですか?特に手前に座った子、凄く可愛いすよ!」
いぞうがチラッと目をやる。童顔で10代にも見えたが、おそらく新人社員と同じ20代前半くらいだろう。
「でも、ラーメン屋だもんなぁ。声かけれないすよねぇ。バーとかだったらなぁ。」
「さっきの僕の話。覚えてるかい?」
「これまでの行動がどうたらってやつですか?なんとなく覚えてます。」
「そうか。これまでだったら、今の状況で君はどうしてた?」
「何もしないすよ。可愛い子いるなぁと思ってラーメン食って帰りますよ。」
「今日もその行動をとるとする。つまり何もしないとすると、待っているのはつまらない明日だよ。分かるかい?」
「はぁ。」
「僕はね、仕事以外のことでも、いろいろ君に教えてあげたいんだ。毎日がつまらないと言う君を、ほってはおけない。」
いぞうの口調が熱くなってくる。
「池手名さん。。。」
「よし!明日を変えようか。」
「池手名さん。。。でも、どうやって。」
「僕にまかせておけばいい」
そういってカウンターの奥へ入るいぞう。そして、何やら店長さんとひそひそと話しはじめた。
~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~
「え?マジすか?やめといた方が・・・。これまで一回もそんなのない・・・いや・・・絶対だめと言うわけでは・・・はぁ・・・でも・・・」
(何話してんだ。かなり店長さんを困らせてるぞ。でも、池手名さんを信じよう)
新人社員はいぞうを信じることにした。
しばらくして、いぞうが帰ってきた。
「待たせたね。さあ、もうすぐでつまらない人生とサヨナラだよ。」
「何するんすか?僕どうすれば・・・」
「あと10分もすれば、僕たちは彼女たちと仲良くなれてるはずだ。そのときに話すことでも考えておけばいいよ。」
「ほんとに?ほんとに仲良くなれてるんすか!?」
「間違いないよ。」
自信たっぷりにいぞうが言う。
「池手名さん。。。」
そして、餃子を焼いていたらしい店長が、焼きあがった餃子を皿へ移した。
「さあ、つまらない人生にサヨナラだ!!」
店長が餃子を「どうぞ」女性二人組の前に出す。
「え?私たち餃子注文してませんけど。」
奥の方に座っていた女性が少し困惑した表情でそう告げると、、、
「あちらのお客様からです」
そう言って店長はいぞうを指さした。
そして、「どうも」みたいなスカした感じで、彼女達に向かって手を上げるいぞう。
(・・・。ダメだ・・・この人。。。)
新人社員は瞬時にそう悟ったが、もう遅い。
「え?餃子いらないし。てか、きもいんだけど。」
いぞうを気持ち悪がる奥の女性。
「うん。気持ち悪い・・・」
手前に座っている女性も同調する。
「びっくりさせてしまったかな。それは失礼。」
そう言って彼女達に近づこうとするいぞう。
「こっちくんなよ!きもい!!てか、ラーメン屋の餃子でオシャレなバーみたいなことしてんじゃねーよ!!」
怒り出す奥の女性。
「そうか。すまない。実は、餃子か唐揚げで迷ったんだが。やっぱり唐揚げの・・」
「そこ問題じゃねーよ!!馬鹿かよテメー!!」
さらにヒートアップする奥の女性。
「何か、残念だね。。。」
ぽつりと手前の女性がつぶやく。
「おっさん、あんたの横に座ってる若い子、カッコイイなって話してたんだよ!!でも、テメーみたいなおっさんと一緒って時点で、その若い方もねーよ!」
「ほんと、残念。。。」
女性たちの間で残酷な会話が繰り広げられる。
「店長、気分悪いからもう行きます。ラーメン頼んじゃったのにごめんなさい。おいおっさん!私らのラーメン代払っとけよ!!」
そう言い残し、女性達は店を出ていった。
~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~
「すべてがうまく行くとは限らない。こんな日もあるさ。これも勉強だ。今日は僕たちの日じゃなかった。それだけのことさ。」
「・・・」
言葉が見つからない新人社員。
「どうした??」
(この人・・・本当にダメな人なんだ。てか、生粋のバカだ。本当にいるんだ。こういう人。)
いぞうの本質を的確に見抜く新人社員。
「結果はダメだったが、今日は新しい行動をした。気分はどうだい?」
(オレ、なんもしてねーよ。行動したのあんただよ。そしてその結果、可能性があったかもしれない彼女たちとのこれからが完全に無くなったよ。)
「落ち込んでるね。でも、前を向かないと。そうだ!彼女を作ればいい。生活のパターンが変わるよ。僕が力になろう!」
(今、何の力にもなれないこと証明したばっかじゃねーかよ。本当に、残念な人だな。なんか、腹たつっていうよりかわいそうになってきた。)
ラーメンが運ばれてくる。
「今日は僕のためにありがとうございました。ラーメン、食べましょうよ。」
いぞう:「そうしよう。今気になってる子がいるなら、何でも相談してくれ。女心はわかってるつもりだよ。」
彼の名は、「池手名 伊三(いけてな いぞう)」
もちろん、独身である。
「いらっしゃい!!」
カウンターしかない小さなラーメンやさん、いぞうは会社帰りに、この店へ新卒1年目の社員とたまにくる。いぞうはこの社員の教育係になっていた。
何回か来るうちに二人とも注文するメニューは決まっていたので、メニューは見ずに、それぞれいつものを注文する。
「池手名さん、何か、いつも一緒すよね。同じことの繰り返し。」
「どういうことだい?」
いぞうが新人社員に尋ねる。
「いやね、生活に変化ないっていうか、僕ら独身じゃないですか。だから自由なんですけど、何か、入社して三ヶ月経つけど、例えば今日が月曜日でも木曜日でも、何も変わらないじゃないじゃないですか。金曜日はラーメンが酒になるくらいで。何か、それ考えると、何やってんだオレ?って気持ちになるんすよ。」
「なるほど。今の生活が単調でつまらないと。」
「そうなんすよねぇ。特に趣味もないですしねぇ。」
「なるほどね。でも、今の生活をつまらなくしてるのは、他でもない、君自身なんだよ。今の君っていうのはね、これまでの君の結果なんだよ。」
「はぁ。」
「これまで君が起こしてきた行動の結果、今がつまらない。つまり、今を変えたいなら、これまでとは違う行動を、君自身が起こしていかないとダメなんだよ。」
「はぁ。なんかわかったような。わからんような。。。」
そんな話をしているとき、若い女性二人が店内に入ってきた。
「池手名さん、あの子たち、可愛いくないですか?特に手前に座った子、凄く可愛いすよ!」
いぞうがチラッと目をやる。童顔で10代にも見えたが、おそらく新人社員と同じ20代前半くらいだろう。
「でも、ラーメン屋だもんなぁ。声かけれないすよねぇ。バーとかだったらなぁ。」
「さっきの僕の話。覚えてるかい?」
「これまでの行動がどうたらってやつですか?なんとなく覚えてます。」
「そうか。これまでだったら、今の状況で君はどうしてた?」
「何もしないすよ。可愛い子いるなぁと思ってラーメン食って帰りますよ。」
「今日もその行動をとるとする。つまり何もしないとすると、待っているのはつまらない明日だよ。分かるかい?」
「はぁ。」
「僕はね、仕事以外のことでも、いろいろ君に教えてあげたいんだ。毎日がつまらないと言う君を、ほってはおけない。」
いぞうの口調が熱くなってくる。
「池手名さん。。。」
「よし!明日を変えようか。」
「池手名さん。。。でも、どうやって。」
「僕にまかせておけばいい」
そういってカウンターの奥へ入るいぞう。そして、何やら店長さんとひそひそと話しはじめた。
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「え?マジすか?やめといた方が・・・。これまで一回もそんなのない・・・いや・・・絶対だめと言うわけでは・・・はぁ・・・でも・・・」
(何話してんだ。かなり店長さんを困らせてるぞ。でも、池手名さんを信じよう)
新人社員はいぞうを信じることにした。
しばらくして、いぞうが帰ってきた。
「待たせたね。さあ、もうすぐでつまらない人生とサヨナラだよ。」
「何するんすか?僕どうすれば・・・」
「あと10分もすれば、僕たちは彼女たちと仲良くなれてるはずだ。そのときに話すことでも考えておけばいいよ。」
「ほんとに?ほんとに仲良くなれてるんすか!?」
「間違いないよ。」
自信たっぷりにいぞうが言う。
「池手名さん。。。」
そして、餃子を焼いていたらしい店長が、焼きあがった餃子を皿へ移した。
「さあ、つまらない人生にサヨナラだ!!」
店長が餃子を「どうぞ」女性二人組の前に出す。
「え?私たち餃子注文してませんけど。」
奥の方に座っていた女性が少し困惑した表情でそう告げると、、、
「あちらのお客様からです」
そう言って店長はいぞうを指さした。
そして、「どうも」みたいなスカした感じで、彼女達に向かって手を上げるいぞう。
(・・・。ダメだ・・・この人。。。)
新人社員は瞬時にそう悟ったが、もう遅い。
「え?餃子いらないし。てか、きもいんだけど。」
いぞうを気持ち悪がる奥の女性。
「うん。気持ち悪い・・・」
手前に座っている女性も同調する。
「びっくりさせてしまったかな。それは失礼。」
そう言って彼女達に近づこうとするいぞう。
「こっちくんなよ!きもい!!てか、ラーメン屋の餃子でオシャレなバーみたいなことしてんじゃねーよ!!」
怒り出す奥の女性。
「そうか。すまない。実は、餃子か唐揚げで迷ったんだが。やっぱり唐揚げの・・」
「そこ問題じゃねーよ!!馬鹿かよテメー!!」
さらにヒートアップする奥の女性。
「何か、残念だね。。。」
ぽつりと手前の女性がつぶやく。
「おっさん、あんたの横に座ってる若い子、カッコイイなって話してたんだよ!!でも、テメーみたいなおっさんと一緒って時点で、その若い方もねーよ!」
「ほんと、残念。。。」
女性たちの間で残酷な会話が繰り広げられる。
「店長、気分悪いからもう行きます。ラーメン頼んじゃったのにごめんなさい。おいおっさん!私らのラーメン代払っとけよ!!」
そう言い残し、女性達は店を出ていった。
~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~
「すべてがうまく行くとは限らない。こんな日もあるさ。これも勉強だ。今日は僕たちの日じゃなかった。それだけのことさ。」
「・・・」
言葉が見つからない新人社員。
「どうした??」
(この人・・・本当にダメな人なんだ。てか、生粋のバカだ。本当にいるんだ。こういう人。)
いぞうの本質を的確に見抜く新人社員。
「結果はダメだったが、今日は新しい行動をした。気分はどうだい?」
(オレ、なんもしてねーよ。行動したのあんただよ。そしてその結果、可能性があったかもしれない彼女たちとのこれからが完全に無くなったよ。)
「落ち込んでるね。でも、前を向かないと。そうだ!彼女を作ればいい。生活のパターンが変わるよ。僕が力になろう!」
(今、何の力にもなれないこと証明したばっかじゃねーかよ。本当に、残念な人だな。なんか、腹たつっていうよりかわいそうになってきた。)
ラーメンが運ばれてくる。
「今日は僕のためにありがとうございました。ラーメン、食べましょうよ。」
いぞう:「そうしよう。今気になってる子がいるなら、何でも相談してくれ。女心はわかってるつもりだよ。」
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