歩夢さん

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出迎え

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一通りの準備を終え、大御神と本堂を出ると拝殿で蛍が待っていた。

「おはようございます、大御神、姉様。」

「おはよう。」
「おはようございます。」

三人で参道を通って、鳥居の前に停められた車に向かう。
杖をつく私の右側を支えるように歩く大御神と、私が本来持つはずの荷物まで持ってくれる蛍に申し訳なく思いながらも、ゆっくり歩みを進める。

後部座席に大御神、隣に私、助手席に蛍、そして専属の運転手で半日かけて鳥取県まで出発した。




「体調は大丈夫?どこか辛くない?」

数十分おきに私の身体を案ずる大御神。

「ありがとうございます。座っているだけなので大丈夫ですよ。」

そう何度も答えるが、それでも不安らしい。本当にお優しい方だ。

「大御神、あちらに到着したらお忙しいでしょうから、今のうちにしっかり休んでおいてくださいませ。」

「うん、そうだね。」



私たちはこれから出雲大社のある祭典に参加する。
日本各地の神が集う祭り。
大御神は唯一形の見える神であることから参加しているが、祭典の期間、奥宮ですごす大御神は本当に多くの神々と意見を交わすとのことだった。私は外に控え、大御神のお世話を遠隔的に行ったりするわけだが、比較的小さな奥宮にそれほどの神々が集まるのを感じられたことは一度もなかった。


目的地の近くで蛍だけが一旦降車し、社務所へ向かった。境内周辺は一般参拝者が多くいるため、一眼に触れず明日まで大御神が過ごす場所を用意される。そこへ車を誘導してもらうために蛍は社務所へ向かったのだ。

間も無く蛍が車に戻り、案内を始める。車両はフルスモークで、後部座席と運転席・助手席の間にも黒いカーテンがあるため容易には車内の大御神が人目に触れることはないが、念のため迂回路を使って境内の裏から入ることとなる。
境内に入ると、宮司数名が迎えてくれた。

車から蛍がおり、私の座る方のドアを開ける。私は蛍に支えられながらゆっくり降車した。後ろから心配する大神の視線を感じる。一度扉を閉め、私は出迎えてくれた宮司たちに向き合った。

「遠路はるばるお越しいただき、感謝申し上げます。」

宮司たちの深いお辞儀と言葉。

「こちらこそ、お出迎え感謝いたします。しばらくお世話になります。」

私も深くお辞儀した。
この後の話を軽く打ち合わせ、大御神の部屋の場所を聞き、一度解散した。
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