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紅雷の愛し方3
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今日の雪音は変だった。紅雷は行為の最中はその代わりように煽られ冷静に考えられなかったが、雪音の寝顔を見つめているうちにふと疑問を抱えた。
ふとスマホに映る日付を見て思い出す。8月7日。雪音の、両親の命日である。紅雷が、雪音の両親を殺した日。紅雷の記憶では去年の今日は一人にしてくれ、と雪音はリビングで眠っていたのを思い出した。本当は今日も一人にして欲しかったのかもしれない、と思い至る。
雪音の頭を撫でる。前髪をどかす。実年齢よりだいぶ大人びている。ちょうど5年前の今日、初めて会った時もずいぶん大人びて見えたのを覚えている。当時から完成した顔つきで、背も高く、大人びた雰囲気を纏っていた。
「恨んでいるだろうか。」
小さな声で呟いた。紅雷は5年間、その疑問を雪音にぶつけられずにいる。紅雷は雪音を愛している。雪音を自分ができる最大限守り、大切にしている。それでも雪音から愛されることはないと思っている。雪音が拒まないことをいいことに何度も求め、自分のものにならないとわかっていながら、自分の跡をつけてしまう。
いつか、雪音が紅雷の元を離れるといった時、自分は冷静でいられるだろうか。
もし、恨んでいると言われて、紅雷は自分を保てるか。
突然、雪音が帰ってこなくなったら?
今の自分でいられる自信がない。
「いっそ、」
いっそ自分の子でも孕んでくれれば。そしたらいなくならないんじゃないか。ある時から避妊をしなくなったのはその期待にすがっているから。毎回生理がきたと言われ、安堵する自分と落胆する自分がいる。
身体が冷えてきた。紅雷は雪音の隣に潜り込んで、抱きしめた。どこにも行かないでくれ、と願いを込めて。
ふとスマホに映る日付を見て思い出す。8月7日。雪音の、両親の命日である。紅雷が、雪音の両親を殺した日。紅雷の記憶では去年の今日は一人にしてくれ、と雪音はリビングで眠っていたのを思い出した。本当は今日も一人にして欲しかったのかもしれない、と思い至る。
雪音の頭を撫でる。前髪をどかす。実年齢よりだいぶ大人びている。ちょうど5年前の今日、初めて会った時もずいぶん大人びて見えたのを覚えている。当時から完成した顔つきで、背も高く、大人びた雰囲気を纏っていた。
「恨んでいるだろうか。」
小さな声で呟いた。紅雷は5年間、その疑問を雪音にぶつけられずにいる。紅雷は雪音を愛している。雪音を自分ができる最大限守り、大切にしている。それでも雪音から愛されることはないと思っている。雪音が拒まないことをいいことに何度も求め、自分のものにならないとわかっていながら、自分の跡をつけてしまう。
いつか、雪音が紅雷の元を離れるといった時、自分は冷静でいられるだろうか。
もし、恨んでいると言われて、紅雷は自分を保てるか。
突然、雪音が帰ってこなくなったら?
今の自分でいられる自信がない。
「いっそ、」
いっそ自分の子でも孕んでくれれば。そしたらいなくならないんじゃないか。ある時から避妊をしなくなったのはその期待にすがっているから。毎回生理がきたと言われ、安堵する自分と落胆する自分がいる。
身体が冷えてきた。紅雷は雪音の隣に潜り込んで、抱きしめた。どこにも行かないでくれ、と願いを込めて。
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