ACES IN SKIES

みにみ

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大陸の魔鳥

落ちた隕石と残されたもの

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地表すれすれを這うように飛ぶ機体の下で、地形が高速で流れていく。
ヒュースポイント主力は、完全に沈黙していた。
通信は最小限。ECMは最大。
誰もが、次の瞬間に死ぬ可能性を理解している。
「全機、このまま高度を維持。上を見るな」
フーシェンの声は低く、短い。
それで十分だった。
遠方で、また空が光る。
別動隊に向けたDTSの射撃だ。
衝撃波が地表を伝い、クラウ隊の機体を揺らす。
「……まだ撃っている」
スナイパーが吐き捨てるように言った。
「撃たせておけ。あれは弾だ。有限だ」
フーシェンは冷静だった。
オウルアイからのデータが流れ込む。
「砲塔三、冷却終了まで二十秒。砲塔五、再装填中。今なら照準が遅れる」
「十分だ」
フーシェンは即断した。
「クラウ2、攪乱を開始。派手にやれ」
「了解。お仕事の時間だ」
スウィンダラーの声が弾む。
彼のF-15EXが、わずかに高度を上げ、意図的にレーダー反応を強める。
次の瞬間、地表から無数の光が伸びた。
短SAMだ。
「来た来た!」
スウィンダラーは機体を振り、フレアとチャフをばら撒く。
爆炎が背後で咲くが、機体は抜けた。
「SAM反応、全部こっちに来てるぜ!」
「いい囮だ」
フーシェンは言い、即座に命じる。
「スナイパー、対空砲火を潰せ。ブリュンヒルデ、電力系統を叩け」
「了解!」
二機が左右に散る。
ユーロファイターの精密射撃が、地上の自走対空機関砲を一基、また一基と沈黙させる。
ブリュンヒルデの投下した爆弾が、送電ラインを断ち切る。
地表の一部が暗くなった。
「ECMジャマー、反応低下」
オウルアイが告げる。
「クラウ5、最深部へ行け」
フーシェンの声が、わずかに強まった。
「了解」
リカは答え、操縦桿を押した。
地形をなぞるように、DTS陣地の内側へ滑り込む。
巨大な砲塔が、視界の端をかすめる。
人のいない無人砲塔。
だが、その存在感は圧倒的だった。
「発射兆候!」
オウルアイの警告。
砲身が動く。
だが照準は、まだ北方を向いている。
――今しかない。
リカは歯を食いしばり、機体を低空のまま突っ込ませた。
「クラウ5、投下準備」
「待て、まだだ」
フーシェンが制した。
「原子炉位置、確定してからだ」
その時、地上から新たな火線が伸びた。
「くそっ、残ってたか!」
ブリュンヒルデの声と同時に、彼女の機体が大きく揺れる。
「被弾!操縦応答遅延!」
「飛べるか!」
「飛べる!でも無理はできない!」
フーシェンは即座に判断する。
「ブリュンヒルデ、後退。スナイパー、護衛に回れ」
「了解!」
二機が離脱する。
戦線は、刻一刻と削られていく。
その直後だった。
空が、裂けた。
DTSの射撃が、至近距離で行われたのだ。
衝撃波が、地表と空気を同時に叩く。
「っ……!」
リカの機体が跳ねる。
警報が鳴り響く。
「姿勢制御、一時不安定!」
だが、まだ飛べる。
「原子炉、確認」
オウルアイの声が、はっきりと届いた。
「地下二百メートル。冷却施設直下だ」
「了解」
リカは、スロットルを絞り、機体を安定させる。
「クラウ5、徹甲爆弾投下に入る」
フーシェンは、短く言った。
「任せた」
リカは、深く息を吸う。
――これを外せば、全てが無駄になる。
照準を合わせる。
爆弾の重量が、機体に伝わる。
「……投下」
徹甲爆弾が、静かに離れた。
数秒。
永遠にも思える時間。
次の瞬間、地面が持ち上がった。
地下から突き上げるような爆炎。
連鎖する爆発。
原子炉の誘爆が、地盤を崩壊させる。
DTS陣地の中心が、沈んだ。
「……命中確認」
オウルアイの声が、わずかに震える。
「原子炉、完全破壊。全砲塔、機能停止」
一瞬、誰も言葉を発しなかった。
空が、静かになった。
「やった……?」
誰かが呟く。
「やったんだ」
フーシェンが、静かに言った。



その時だった。
「新規高速接近反応!」
オウルアイの声が、緊張を帯びる。
「速度、マッハ2。編隊規模、五」
リカは、レーダーを見る。
見慣れた、だが忘れたくない編成。
「……レギンレイヴだ!」
その名が出た瞬間、空気が変わる。
疲労と達成感に満ちていた戦線に、冷水が浴びせられた。
「くそ……最悪のタイミングだな」
スナイパーが言う。
一瞬、士気が揺らぐ。
だが、すぐにスウィンダラーが笑った。
「何ビビってんだよ」
軽い口調。
だが、その声ははっきりしていた。
「こっちのエース様は、あっちより上だ!」
リカは、前を見た。
破壊されたDTSの残骸。
取り戻した空。
――まだ終わっていない。
「全機、戦闘態勢」
フーシェンが告げる。
「ここからが、本番だ」
遠方から、五つの機影が迫る。
マッハ2の速度で。
レギンレイヴが、来た。
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