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第二章 想像しなかったとばっちり
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「まあ、半分だけど、血の繋がった兄を断罪したんだから、血も涙もないと変な目で見る人はいるわ」
いくらアレッサンドロが悪事を働いていたとは言え、それを妹が追及し、結果兄は追放の憂き目にあったのだ。
そんなベルテに、冷たい視線を向ける生徒もいる。
「でも、元々私のことを知らなかった人も多いし、私は研究が出来ればそれでいいの」
『本当にそれでいいの?』
「どうして好きでもない人と結婚しなくてはいけないの? 結婚って、そんなもの? 友人だって無理にひっついて、興味のない話に相槌をうつ必要ないでしょ? 私は好きなことをして生きていきたいし、こうして時々話を聞いてくれるヴァンさんみたいな人がいてくれればいい。あ、でも、ヴァンさんには迷惑だった?」
こうして仕事をしている横で好き勝手に話して、話し相手になってくれる彼に甘えていたが、もしかして彼には迷惑なことだったかもと、ベルテは思い至った。
『大丈夫です。ベルテ様と話をしているのはわたしも楽しい』
「ほんとうに? 気を遣っているのではなく?」
彼が嘘を吐くとは思えないが、もう一度確認すると、彼はゆっくりはっきり頷いた。
『ところで、君の研究は順調なのかい?』
ヴァンがベルテの研究について聞いて来た。
「う~ん、まあまあね。本当は学園なんかやめて、研究に没頭したいところだけど、それも無理だし」
彼女は将来錬金術師を目指している。
主には失われたポーションなどのレシピを復活させることを研究している。
新しくポーションを作り出すことも、ひとつの研究だが、彼女は材料が失われたり、入手が困難になった材料があって現代では作ることが不可能、または難しくなったものを、別の材料を使って復活させられないかという研究をしている。
ひとつの材料だけでなく二、三種類を組み合わせて、配合や組み合わせを工夫する。
非情に根気と忍耐が必要なことだが、曾祖父がその研究を続け、研究所を譲り受けた。
今は学園にも通わないといけないので、週末や長期休みにしか取り組めておらず、普段はもっぱら情報収集をしている。
『君なら出来るよ。頑張って』
彼女の研究を応援してくれているのは、亡くなった曾祖父を除けば、学園長とヴァンだけだった。
ベルテが彼女のしようとしていることを話すと、ヴァンはとても良いことだと褒めてくれた。
父親は学問は大事だと思っているが、ひとつのことを極めたり研究に勤しんだりすることには難を示している。
研究などいつまでも続けられる物では無い、結婚したらどうせ続けられないと反対している。
「ありがとう、ヴァンさん」
その時、学園のほうから昼休みの終わりを告げるチャイムが聞こえてきた。
「あ、もう行かないと。ありがとうヴァンさん、話を聞いてくれて。今度はいつ来るの?」
『暫く本業が忙しくなりそうなんだ』
「そうなんだ」
彼の本業が何なのかベルテは知らない。学園長が肉体労働だと言っていた気がするので、もしかしたら建築作業員とかそういう類いなのかもしれない。
「私の研究に理解があるし、私のことをわかってくれているヴァンさんとなら、結婚してもいいのに」
去り際ベルテがそんなことを呟くと、ヴァンは返事に困ったのか帽子の上から頭を掻いていた。
「冗談よ。嫌いにならないで」
慌ててベルテは否定する。気まずくなってもう会ってくれなくなると困ると思った。
『嫌いにはならないよ。でも、ありがとう』
まったく本気に受け止めてもらえないのも何だか寂しかったが、ベルテも彼とは今の関係がいいと思っている。
そして今度こそベルテは彼と別れて午後の授業に向かった。
いくらアレッサンドロが悪事を働いていたとは言え、それを妹が追及し、結果兄は追放の憂き目にあったのだ。
そんなベルテに、冷たい視線を向ける生徒もいる。
「でも、元々私のことを知らなかった人も多いし、私は研究が出来ればそれでいいの」
『本当にそれでいいの?』
「どうして好きでもない人と結婚しなくてはいけないの? 結婚って、そんなもの? 友人だって無理にひっついて、興味のない話に相槌をうつ必要ないでしょ? 私は好きなことをして生きていきたいし、こうして時々話を聞いてくれるヴァンさんみたいな人がいてくれればいい。あ、でも、ヴァンさんには迷惑だった?」
こうして仕事をしている横で好き勝手に話して、話し相手になってくれる彼に甘えていたが、もしかして彼には迷惑なことだったかもと、ベルテは思い至った。
『大丈夫です。ベルテ様と話をしているのはわたしも楽しい』
「ほんとうに? 気を遣っているのではなく?」
彼が嘘を吐くとは思えないが、もう一度確認すると、彼はゆっくりはっきり頷いた。
『ところで、君の研究は順調なのかい?』
ヴァンがベルテの研究について聞いて来た。
「う~ん、まあまあね。本当は学園なんかやめて、研究に没頭したいところだけど、それも無理だし」
彼女は将来錬金術師を目指している。
主には失われたポーションなどのレシピを復活させることを研究している。
新しくポーションを作り出すことも、ひとつの研究だが、彼女は材料が失われたり、入手が困難になった材料があって現代では作ることが不可能、または難しくなったものを、別の材料を使って復活させられないかという研究をしている。
ひとつの材料だけでなく二、三種類を組み合わせて、配合や組み合わせを工夫する。
非情に根気と忍耐が必要なことだが、曾祖父がその研究を続け、研究所を譲り受けた。
今は学園にも通わないといけないので、週末や長期休みにしか取り組めておらず、普段はもっぱら情報収集をしている。
『君なら出来るよ。頑張って』
彼女の研究を応援してくれているのは、亡くなった曾祖父を除けば、学園長とヴァンだけだった。
ベルテが彼女のしようとしていることを話すと、ヴァンはとても良いことだと褒めてくれた。
父親は学問は大事だと思っているが、ひとつのことを極めたり研究に勤しんだりすることには難を示している。
研究などいつまでも続けられる物では無い、結婚したらどうせ続けられないと反対している。
「ありがとう、ヴァンさん」
その時、学園のほうから昼休みの終わりを告げるチャイムが聞こえてきた。
「あ、もう行かないと。ありがとうヴァンさん、話を聞いてくれて。今度はいつ来るの?」
『暫く本業が忙しくなりそうなんだ』
「そうなんだ」
彼の本業が何なのかベルテは知らない。学園長が肉体労働だと言っていた気がするので、もしかしたら建築作業員とかそういう類いなのかもしれない。
「私の研究に理解があるし、私のことをわかってくれているヴァンさんとなら、結婚してもいいのに」
去り際ベルテがそんなことを呟くと、ヴァンは返事に困ったのか帽子の上から頭を掻いていた。
「冗談よ。嫌いにならないで」
慌ててベルテは否定する。気まずくなってもう会ってくれなくなると困ると思った。
『嫌いにはならないよ。でも、ありがとう』
まったく本気に受け止めてもらえないのも何だか寂しかったが、ベルテも彼とは今の関係がいいと思っている。
そして今度こそベルテは彼と別れて午後の授業に向かった。
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