転生して要人警護やってます

七夜かなた

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213 あてにならない

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ウィリアムさんが用意してくれた部屋で待つ間は退屈しなかった。
師匠のかつての部下の方々や師匠をひと目みたいと次から次へ人がやってきて、色々な話をしていってくれた。
口数は多くない師匠も、今日はかなり饒舌な方だ。

「お待たせしました」

一時間ほどしてウィリアムさんが私たちが待つ部屋に来たのは、ちょうど誰もいなくなった時だった。

「ハレス卿の家には帰りが少し遅くなると伝令を送っておいたよ」
「ありがとうございます。それで、何かわかりましたか?」
「わかったのは、あの男がどこの誰かということくらいかな」

私たちの前の椅子に腰を下ろし残念そうにウィリアムさんが話をした。

私たちの後を尾行していた男の名はフレッドと言うらしい。

「楽をして大儲けできることばかりを探しているような 、特にこれと言ったことのない街のチンピラだった。踊り子の件もいつも出入りしている酒場で出会った初対面の男から持ちかけられたそうだ。酒を奢ってくれたから気を良くして軽い気持ちで引き受けたようだ。二人が聞いたとおり見つかったら酒場に伝言を残し落ち合うということだった」
「なぜその踊り子を探しているのかはわからないということだな」
「そうです。どうしますか」
「俺はもう騎士団を辞めた一般人だ。判断はお前たちに任せると言いたいところだが、このまま泳がせて相手の目的を探るのが先決だな」

訊ねるウィリアムさんに師匠が答えた。

「踊り子が見つかったと言ってあの男にその相手と接触させるのですね」

泳がすという事で思い当たった話を告げる。

「今のところ誰かがお前を……踊り子クレアを探している。そのために人を雇い、舞屋を見張っているだけで、実害もない。単に仕事を頼みたいだけということもある。申し訳ないないが今の段階で騎士団が動くことはできない」

「わかっています」

警察だって事件が起こらなければすぐには動けない。向こうの目的もわからないのに事件扱いもできない。

「あの男は人を尾行したりしたことも場合によれば犯罪だと疑われる行為だと注意して家に返す。探している踊り子の消息について、心当たりがあると言って向こうに渡りをつけてもらう。目的がわかれば本人を連れてくるとでも伝えるが、どうする?」

「そのうち業を煮やした輩が『月下の花』に無茶なことをしてくる可能性もある。まずは相手の目的を探ることだな」

このまま踊り子クレアは謎のままでもいいかと思ったが、クレアを探す何者かがどこまで真剣に探しているのかわからない中で、唯一クレアと繋がりのあるティータさんたちの舞屋に強引なことをしてくる可能性もあると言われ、ここで何とかしなければならないと悟った。

ウィリアムさんの話は可能性のひとつだとわかっている。
ティータさんたちの顔を思い浮かべ、ぎゅっと拳を握る。

「俺も協力する。一人で突っ走るなよ」

「わかっています。無茶はしません」

「無茶はしないというお前の言葉ほどあてにならないものはない」

師匠の言葉がぐさりと突き刺さった。
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