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「ジュスト?」
熱で朦朧としていたからか、ギャレットは「兄上」でなく「ジュスト」と呟いた。
薄暗闇の中で、ジュストの赤い瞳が僅かに揺れる。
「綺麗」
ルビーの宝玉のようなその瞳を見て、ふっと微笑んだ。
「ジュスト、レーヌなんてステファンにあげて、私と幸せになろう」
「レーヌ?」
「レーヌはあなたを棄てちゃう。だから、いくら思っても苦しいだけだよ」
そうして額にあった彼の手を掴み、その手のひらに頬を寄せた。
「あ、な、何を」
「彼女以外にも目を向けて、自分が幸せになる道を探そう」
暗いのでジュストがどんな表情をしているのかよく見えない。
剣を握るせいで出来たタコのある手が、そこに彼がいることを実感させる。
「幸せになってくれないと、辛い」
熱のせいなのか、それとも感情が膨れ上がったからなのか、ポロリと涙が流れた。
「俺は幸せだよ」
空いた手でワシャワシャと頭を撫でられる。
「もっと幸せにならなくちゃ駄目だよ」
握る手に更に力を込める。
悪夢の日々が続いていたが、今日は幸せな夢だと思った。
「ジュスト、大好き」
そしていつの間にかまた眠りに落ちていった。
どれくらい眠っていたのだろう。
口の中が異様に乾いて目が覚めた。
枕に頭を預け目に映る部屋の様子を眺める。
(ここ、どこだっけ?)
徐々に覚醒して自分が今、ギャレット=モヒナートであることを思い出した。そしてここがギャレットの部屋であることも。
(そうだ! 確か朝食の途中で急に目眩がして…)
ガバリと起き上がる。
外は陽が燦々と降り注ぐ真っ昼間。
既にお昼になっていた。
寝台の脇のベルを鳴らしてメイドを呼ぶ。
すぐにギャレット付のメイドのアンナが駆けつけてきた。
「ギャレット様!」
「あ、おはよーアン…」
彼女の名前を言い切る前に、彼女がブアッと泣き出した。
「良かった、ウグッ」
「アンナ?」
何か大げさだな~と思っていたら、アンナが泣きながら状況を教えてくれた。
なんとギャレットは一週間も熱に魘され意識朦朧としていた。
「い、一週間…」
自分では半日寝ていた感覚だったのに、そんなに寝込んでいたとは思わなかった。
「お医者様も発熱の原因がわからず、覚悟を決められた方がいいとおっしゃって、熱に浮かされてジュスト様を呼ぶので、旦那様が学園に連絡してひと晩外泊許可をもらって帰ってこられたのですよ」
「あ、兄上まで」
夢の中でジュストを見た気がしたのは気のせいではなかった?
何か話したような記憶があるが、ギャレットは中身を覚えていなった。
ただ、優しく頭を撫でてくれたことは思い出した。
「それで皆は?」
「昨夜から熱が下がって、もう峠は超えたとお医者様がおっしゃられて、今皆様で王宮に向かわれております」
「王宮?」
「王太子殿下の側近候補の件で、旦那様と奥様に王宮へ来城するようにと連絡が来たのです」
本当は三日前に来るように言われていたのだが、ギャレットのことがあり日延べしてもらっていたのだと言う。
「峠を越したとは言え、まだ意識は戻られないからと、旦那様たちも本当は今日のことも日延べを願い出られるおつもりだったのですが、二度は無理だと諦めて…」
「そうなんだ」
ジュストはどっちになるんだろう。
気にはなったが、長い間寝込んでいたせいでまだ体が弱っていた。
軽くスープを口にして、もう一度横になると、また眠ってしまった。
次に目が覚めると、傍らには両親とジュストに取り囲まれていて、ちょっとびっくりした。
熱で朦朧としていたからか、ギャレットは「兄上」でなく「ジュスト」と呟いた。
薄暗闇の中で、ジュストの赤い瞳が僅かに揺れる。
「綺麗」
ルビーの宝玉のようなその瞳を見て、ふっと微笑んだ。
「ジュスト、レーヌなんてステファンにあげて、私と幸せになろう」
「レーヌ?」
「レーヌはあなたを棄てちゃう。だから、いくら思っても苦しいだけだよ」
そうして額にあった彼の手を掴み、その手のひらに頬を寄せた。
「あ、な、何を」
「彼女以外にも目を向けて、自分が幸せになる道を探そう」
暗いのでジュストがどんな表情をしているのかよく見えない。
剣を握るせいで出来たタコのある手が、そこに彼がいることを実感させる。
「幸せになってくれないと、辛い」
熱のせいなのか、それとも感情が膨れ上がったからなのか、ポロリと涙が流れた。
「俺は幸せだよ」
空いた手でワシャワシャと頭を撫でられる。
「もっと幸せにならなくちゃ駄目だよ」
握る手に更に力を込める。
悪夢の日々が続いていたが、今日は幸せな夢だと思った。
「ジュスト、大好き」
そしていつの間にかまた眠りに落ちていった。
どれくらい眠っていたのだろう。
口の中が異様に乾いて目が覚めた。
枕に頭を預け目に映る部屋の様子を眺める。
(ここ、どこだっけ?)
徐々に覚醒して自分が今、ギャレット=モヒナートであることを思い出した。そしてここがギャレットの部屋であることも。
(そうだ! 確か朝食の途中で急に目眩がして…)
ガバリと起き上がる。
外は陽が燦々と降り注ぐ真っ昼間。
既にお昼になっていた。
寝台の脇のベルを鳴らしてメイドを呼ぶ。
すぐにギャレット付のメイドのアンナが駆けつけてきた。
「ギャレット様!」
「あ、おはよーアン…」
彼女の名前を言い切る前に、彼女がブアッと泣き出した。
「良かった、ウグッ」
「アンナ?」
何か大げさだな~と思っていたら、アンナが泣きながら状況を教えてくれた。
なんとギャレットは一週間も熱に魘され意識朦朧としていた。
「い、一週間…」
自分では半日寝ていた感覚だったのに、そんなに寝込んでいたとは思わなかった。
「お医者様も発熱の原因がわからず、覚悟を決められた方がいいとおっしゃって、熱に浮かされてジュスト様を呼ぶので、旦那様が学園に連絡してひと晩外泊許可をもらって帰ってこられたのですよ」
「あ、兄上まで」
夢の中でジュストを見た気がしたのは気のせいではなかった?
何か話したような記憶があるが、ギャレットは中身を覚えていなった。
ただ、優しく頭を撫でてくれたことは思い出した。
「それで皆は?」
「昨夜から熱が下がって、もう峠は超えたとお医者様がおっしゃられて、今皆様で王宮に向かわれております」
「王宮?」
「王太子殿下の側近候補の件で、旦那様と奥様に王宮へ来城するようにと連絡が来たのです」
本当は三日前に来るように言われていたのだが、ギャレットのことがあり日延べしてもらっていたのだと言う。
「峠を越したとは言え、まだ意識は戻られないからと、旦那様たちも本当は今日のことも日延べを願い出られるおつもりだったのですが、二度は無理だと諦めて…」
「そうなんだ」
ジュストはどっちになるんだろう。
気にはなったが、長い間寝込んでいたせいでまだ体が弱っていた。
軽くスープを口にして、もう一度横になると、また眠ってしまった。
次に目が覚めると、傍らには両親とジュストに取り囲まれていて、ちょっとびっくりした。
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