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第二章 異世界ロランベル
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「お二人がいらした世界に、魔法はあるのですか?」
すぐ側にいた副神官が、二人の会話に割って入ってきた。彼は大神官とは違い、紫紋に対しても聖女の飛花と別け隔てなく接する。
「魔法、こっちには魔法があるんですか?」
飛花が目を輝かせる。
「ええ。もちろんです」
「ということは、私にも使えるのですか?」
「詳しくは鑑定してみないとわかりませんが、聖女様なら聖魔法…浄化と回復魔法が使えるはずです」
「魔法…ねぇ」
そう言われても、魔法など紫紋にはピンと来ない。
「魔法かぁ、俺達の世界にはないし、使える者もいない。でも、そんな俺達でも使えるのか?」
「では、お二方のいらした世界では、魔法は存在しないと?」
「ああ、代わりに科学というものがあり、色んな便利な物が作られていた。空を飛ぶ乗り物。遠くの人と会話が出来る物。体の中を調べ、悪いところを見つける物。目の前の出来事を映像に残す物などな」
「飛行機に携帯やインターネット、レントゲンやCT、カメラなどですね」
「よくわかりませんが、凄いのでしょうね。私には想像がつきません。すみません」
ファビアンは紫紋達の話が理解出来ない様子だった。
「謝る必要はない。お互い様だ。俺も魔法は知らない」
「でも、そんな私達がこの世界に来たからと言うだけで、本当に魔法を使えるようになるのですか?」
「詳しい仕組みはわかりませんが、世界と世界を繋ぐ通路を通る際に、その世界で通じる能力が備わるのだとか。すべてはこの世界の創世神、ピルテヘミスの御力によるもの」
副神官は両手を胸の前で組み、祈るように言った。
「神様ねぇ。で、どうやって、それを確認するんだ?」
「王宮に、魔法適正を測る道具があります。この後それを判定する予定です」
出てすぐの石段を昇ると、一番上に大きな二枚扉があった。
しかしその扉には取っ手がない。
どうやって開くのかと注目すると、国王腕を前に突き出した。
「わ!」
すると扉全体にプロジェクションマッピングのように円形の複雑な紋様が浮かび上がり、カチリという音がしたかと思うと、外向きに扉が自動的に開いた。
「まるでセンサー付き自動ドアだな」
「科学が魔法に近づいているんでしょうか」
「電力の代わりに魔力か」
子供みたいにはしゃいで、紫紋達が驚いている様子を、副神官は微笑ましく眺める。
「陛下」
「儀式はどうなりましたか」
「成功したのですか?」
扉の向こうには、大勢の人が待ち構えていて、扉から出てきた国王達を取り囲んだ。
「皆落ち着け。儀式は成功した」
決して大声ではなかったが、国王の声は彼らの喧騒を打ち消すかのように、その場に響いた。
「今のは陛下が風魔法を応用し、皆に聞こえるように響かせたのです」
副神官が紫紋達に解説してくれる。
「拡声器かマイク設備だな」
国王の声に、その場の人々から歓喜の声が広がる。
「やったぞ」
「これで世界は救われる」
「神よ」
「国王陛下万歳」
「太陽王に祝福を」
口々に人々が国王を称える。
「すごい熱狂ぶりだな」
「本当」
「それだけ皆が、聖女様の出現を心待ちにしていたということです」
「何だか、荷が重い…」
彼らの期待の高さに、飛花が不安気に呟いた。
「そうだな。いきなり異界から呼び寄せて、こっちに過度な期待を寄せられても、困るよな」
彼女の気持ちを察して、紫紋が声を掛ける。
「不安なことや言いたいことがあって、言い難いなら俺に言え、俺が代わりに言ってやる。飛花ちゃんが一人で背負うことはない」
「紫紋さん、ありがとうございます。心強いです。巻き込んでしまったけど、紫紋さんが一緒で良かった」
「袖すり合うも他生の縁だ。俺が出来ることは何でもする。異世界だか何だか知らないが、外国にでも来たと思って日本人同士助け合おう」
「はい、紫紋さん」
「そのように、不安がることはありません。私共も、無理なことは申しません。聖女様には、好待遇をお約束します。紫紋殿にも、出来るだけの支援は致します」
副神官が二人の不安を聞き、慌てて言った。
「ご希望があれば、何でもお聞きします」
「『何でも』なんて、そんな簡単に言っていいのか? 無理難題を突きつけられたらどうする」
副神官の言葉に、紫紋が逆に苦言を呈する。
「そ、それは…」
「召喚したからには、ある程度の責任は取ってくれるのはわかるが、そんな安請け合いをしたら、そっちの首を絞めることになる」
「私を…心配してくれるのですか?」
「心配…まあ、そうだな」
「紫紋殿は、お優しいのですね」
ほっこりした表情で副神官は紫紋を見た。
「優しい…って、そんな」
「ありがとうございます」
「え、あ、おい、そこまでしなくても」
そして紫紋の手を取り、そこに額を擦り付けようとした。慌てて紫紋は手を引っ込めようとする。
「え…」
しかし、そこで副神官は何かに気づき、表情を険しくした。
「陛下、それで聖女様は、聖女様はどのような方なのですか?」
そこへ、そんな声が扉の向こうから聞こえた。
すぐ側にいた副神官が、二人の会話に割って入ってきた。彼は大神官とは違い、紫紋に対しても聖女の飛花と別け隔てなく接する。
「魔法、こっちには魔法があるんですか?」
飛花が目を輝かせる。
「ええ。もちろんです」
「ということは、私にも使えるのですか?」
「詳しくは鑑定してみないとわかりませんが、聖女様なら聖魔法…浄化と回復魔法が使えるはずです」
「魔法…ねぇ」
そう言われても、魔法など紫紋にはピンと来ない。
「魔法かぁ、俺達の世界にはないし、使える者もいない。でも、そんな俺達でも使えるのか?」
「では、お二方のいらした世界では、魔法は存在しないと?」
「ああ、代わりに科学というものがあり、色んな便利な物が作られていた。空を飛ぶ乗り物。遠くの人と会話が出来る物。体の中を調べ、悪いところを見つける物。目の前の出来事を映像に残す物などな」
「飛行機に携帯やインターネット、レントゲンやCT、カメラなどですね」
「よくわかりませんが、凄いのでしょうね。私には想像がつきません。すみません」
ファビアンは紫紋達の話が理解出来ない様子だった。
「謝る必要はない。お互い様だ。俺も魔法は知らない」
「でも、そんな私達がこの世界に来たからと言うだけで、本当に魔法を使えるようになるのですか?」
「詳しい仕組みはわかりませんが、世界と世界を繋ぐ通路を通る際に、その世界で通じる能力が備わるのだとか。すべてはこの世界の創世神、ピルテヘミスの御力によるもの」
副神官は両手を胸の前で組み、祈るように言った。
「神様ねぇ。で、どうやって、それを確認するんだ?」
「王宮に、魔法適正を測る道具があります。この後それを判定する予定です」
出てすぐの石段を昇ると、一番上に大きな二枚扉があった。
しかしその扉には取っ手がない。
どうやって開くのかと注目すると、国王腕を前に突き出した。
「わ!」
すると扉全体にプロジェクションマッピングのように円形の複雑な紋様が浮かび上がり、カチリという音がしたかと思うと、外向きに扉が自動的に開いた。
「まるでセンサー付き自動ドアだな」
「科学が魔法に近づいているんでしょうか」
「電力の代わりに魔力か」
子供みたいにはしゃいで、紫紋達が驚いている様子を、副神官は微笑ましく眺める。
「陛下」
「儀式はどうなりましたか」
「成功したのですか?」
扉の向こうには、大勢の人が待ち構えていて、扉から出てきた国王達を取り囲んだ。
「皆落ち着け。儀式は成功した」
決して大声ではなかったが、国王の声は彼らの喧騒を打ち消すかのように、その場に響いた。
「今のは陛下が風魔法を応用し、皆に聞こえるように響かせたのです」
副神官が紫紋達に解説してくれる。
「拡声器かマイク設備だな」
国王の声に、その場の人々から歓喜の声が広がる。
「やったぞ」
「これで世界は救われる」
「神よ」
「国王陛下万歳」
「太陽王に祝福を」
口々に人々が国王を称える。
「すごい熱狂ぶりだな」
「本当」
「それだけ皆が、聖女様の出現を心待ちにしていたということです」
「何だか、荷が重い…」
彼らの期待の高さに、飛花が不安気に呟いた。
「そうだな。いきなり異界から呼び寄せて、こっちに過度な期待を寄せられても、困るよな」
彼女の気持ちを察して、紫紋が声を掛ける。
「不安なことや言いたいことがあって、言い難いなら俺に言え、俺が代わりに言ってやる。飛花ちゃんが一人で背負うことはない」
「紫紋さん、ありがとうございます。心強いです。巻き込んでしまったけど、紫紋さんが一緒で良かった」
「袖すり合うも他生の縁だ。俺が出来ることは何でもする。異世界だか何だか知らないが、外国にでも来たと思って日本人同士助け合おう」
「はい、紫紋さん」
「そのように、不安がることはありません。私共も、無理なことは申しません。聖女様には、好待遇をお約束します。紫紋殿にも、出来るだけの支援は致します」
副神官が二人の不安を聞き、慌てて言った。
「ご希望があれば、何でもお聞きします」
「『何でも』なんて、そんな簡単に言っていいのか? 無理難題を突きつけられたらどうする」
副神官の言葉に、紫紋が逆に苦言を呈する。
「そ、それは…」
「召喚したからには、ある程度の責任は取ってくれるのはわかるが、そんな安請け合いをしたら、そっちの首を絞めることになる」
「私を…心配してくれるのですか?」
「心配…まあ、そうだな」
「紫紋殿は、お優しいのですね」
ほっこりした表情で副神官は紫紋を見た。
「優しい…って、そんな」
「ありがとうございます」
「え、あ、おい、そこまでしなくても」
そして紫紋の手を取り、そこに額を擦り付けようとした。慌てて紫紋は手を引っ込めようとする。
「え…」
しかし、そこで副神官は何かに気づき、表情を険しくした。
「陛下、それで聖女様は、聖女様はどのような方なのですか?」
そこへ、そんな声が扉の向こうから聞こえた。
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