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第三章 昨日の敵は今日も敵か味方か
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飛花と二人で話し合い、取り敢えずはここで自分達が求められている役割を果たすべく、お互い頑張ろうということになった。
「ご英断感謝する」
国王たちが喜ぶ中、大神官だけは「ふん、もったいぶりおって」と、嫌味を口にした。
「では、早速二人の能力を測定してみよう、副神官長」
「はい、こちらに」
国王に呼ばれた副神官長は、宝箱みたいな箱を両手で下げてきた。
彼はそれを中央の机に置いて、蓋を開けると中には四角い金属板がついた、丸い球体が二種類入っていた。二つの球体は、それぞれ大きさが違う。
「これで測定するんですか?」
中を覗きこんだ飛花が質問する。
「はい。球体に手を翳すと、この金属板に色の数字が浮かび上がります。色は属性を表します。赤は火属性、青は水属性、氷が水色で緑が風属性、黄色が土属性、そして聖属性が白、闇属性が黒と言う感じです」
「二つあるのは?」
「大きい方は普通の魔力を測るもの。そして小さい方は、聖力を測るものです」
副神官がそれぞれを指し示しながら、説明する。
「別々ということは、魔力と聖力は性質が違う、ということ?」
「さすが、聖女様は目の付け所が素晴らしい。そうです。魔力と聖力はそれぞれ性質が異なります。白魔法と聖力はどちらも治癒が出来る点で言えば、似ていますが、明らかに異なる部分があります」
「浄化は聖力しかできない?」
「そのとおりです」
「では、私が使うのはこっちの方だけ?」
飛花が小さい方の球を指差す。
「それが、先ほども申し上げましたが、白魔法にも治癒の力があります。聖女様の場合、どちらの力も備わっている場合がありますので、一応両方で測定していただくことになります」
「複数ある場合はどうなるのですか?」
「その場合は、適性の高いものから順に表示されます。私は聖力と、水魔法が少し適性がありますので」
そう言って、副神官が取り出した測定機器の大きい方の球体に手を触れる。
「わ、光った」
球が輝き、隣の板に白い文字が浮かび上がる。数値は青い文字で百という数字が明転した。
続けてもう一方の聖力を測定する球にも触れると、今度は九百という数字だけが浮かび上がった。
「百は多いのですか?」
仕様はわかったが、それがどの程度のレベルなのかわからない。
「百あれば初級から中級程度と言われます」
「じゃあ九百は多いかなりのレベルってことですか?」
「そうですね」
「ファビアンの聖力レベルは、過去の神官の中でも随一と言われている」
宰相が代わりに答える。
「すご…」
紫紋と飛花が感嘆の声を発し、副神官を見る。
「ですが、多ければいいと言うものでもありません」
二人から見つめられ、副神官は恥ずかしそうに言う。
「というと?」
「聖力は多すぎると、器である体の方が耐えきれなくなる。それを防ぐためには、他者と聖力の交換を行う必要があります。ですが、交換し合う者同士の聖力に差があり過ぎると、少ない方に負担がかかってしまいます」
「ファビアンの聖力は突出しすぎて、交換できる相手がいない。何とかそれなりに聖力を持つ相手と交換しているが、どうしても完璧とはいえない。そのため、数ヶ月に一度体調不良で寝込んでしむう」
「一度寝込むと回復に一週間ほどかかるので、その度に皆様にはご迷惑をおかけしております」
本当に申し訳なさそうに、副神官はしゅんとなる。
「気にしなくていい。私の方こそ、大神官と言われても、それほどの聖力がないばかりに、助けてやることができない。不調の間くらい気にせず休みなさい」
意外にも大神官からは優しい言葉が飛び出した。
「お心遣いありがとうございます。いつも大神官にそう言っていただけるので、安心して療養出来ております」
「そなたは副神官として普段よくやってくれているからな」
「へえ」
紫紋には厳しい口調で話すが、案外大神官も優しいところがあるのだなと、紫紋は彼を見直した。
「ご英断感謝する」
国王たちが喜ぶ中、大神官だけは「ふん、もったいぶりおって」と、嫌味を口にした。
「では、早速二人の能力を測定してみよう、副神官長」
「はい、こちらに」
国王に呼ばれた副神官長は、宝箱みたいな箱を両手で下げてきた。
彼はそれを中央の机に置いて、蓋を開けると中には四角い金属板がついた、丸い球体が二種類入っていた。二つの球体は、それぞれ大きさが違う。
「これで測定するんですか?」
中を覗きこんだ飛花が質問する。
「はい。球体に手を翳すと、この金属板に色の数字が浮かび上がります。色は属性を表します。赤は火属性、青は水属性、氷が水色で緑が風属性、黄色が土属性、そして聖属性が白、闇属性が黒と言う感じです」
「二つあるのは?」
「大きい方は普通の魔力を測るもの。そして小さい方は、聖力を測るものです」
副神官がそれぞれを指し示しながら、説明する。
「別々ということは、魔力と聖力は性質が違う、ということ?」
「さすが、聖女様は目の付け所が素晴らしい。そうです。魔力と聖力はそれぞれ性質が異なります。白魔法と聖力はどちらも治癒が出来る点で言えば、似ていますが、明らかに異なる部分があります」
「浄化は聖力しかできない?」
「そのとおりです」
「では、私が使うのはこっちの方だけ?」
飛花が小さい方の球を指差す。
「それが、先ほども申し上げましたが、白魔法にも治癒の力があります。聖女様の場合、どちらの力も備わっている場合がありますので、一応両方で測定していただくことになります」
「複数ある場合はどうなるのですか?」
「その場合は、適性の高いものから順に表示されます。私は聖力と、水魔法が少し適性がありますので」
そう言って、副神官が取り出した測定機器の大きい方の球体に手を触れる。
「わ、光った」
球が輝き、隣の板に白い文字が浮かび上がる。数値は青い文字で百という数字が明転した。
続けてもう一方の聖力を測定する球にも触れると、今度は九百という数字だけが浮かび上がった。
「百は多いのですか?」
仕様はわかったが、それがどの程度のレベルなのかわからない。
「百あれば初級から中級程度と言われます」
「じゃあ九百は多いかなりのレベルってことですか?」
「そうですね」
「ファビアンの聖力レベルは、過去の神官の中でも随一と言われている」
宰相が代わりに答える。
「すご…」
紫紋と飛花が感嘆の声を発し、副神官を見る。
「ですが、多ければいいと言うものでもありません」
二人から見つめられ、副神官は恥ずかしそうに言う。
「というと?」
「聖力は多すぎると、器である体の方が耐えきれなくなる。それを防ぐためには、他者と聖力の交換を行う必要があります。ですが、交換し合う者同士の聖力に差があり過ぎると、少ない方に負担がかかってしまいます」
「ファビアンの聖力は突出しすぎて、交換できる相手がいない。何とかそれなりに聖力を持つ相手と交換しているが、どうしても完璧とはいえない。そのため、数ヶ月に一度体調不良で寝込んでしむう」
「一度寝込むと回復に一週間ほどかかるので、その度に皆様にはご迷惑をおかけしております」
本当に申し訳なさそうに、副神官はしゅんとなる。
「気にしなくていい。私の方こそ、大神官と言われても、それほどの聖力がないばかりに、助けてやることができない。不調の間くらい気にせず休みなさい」
意外にも大神官からは優しい言葉が飛び出した。
「お心遣いありがとうございます。いつも大神官にそう言っていただけるので、安心して療養出来ております」
「そなたは副神官として普段よくやってくれているからな」
「へえ」
紫紋には厳しい口調で話すが、案外大神官も優しいところがあるのだなと、紫紋は彼を見直した。
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