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第5章 二人の男
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現れた男のペニスは、予想通りの大きさと長さだった。
『これで勃たなくなるって、やっぱり辛いわよね』
そう思いつつ、イヴォンヌは自分が用意した瓶に入った潤滑液を手に塗り込めた。
しばらく手を合わせ、体温で温めるとそっと彼のペニスを包みこんだ。
かなり鍛えて割れた彼のお腹の筋肉が、ピクリと動く。
根本から先端に向かって、力を加減しながら撫でる。塗りつけた潤滑液が男の体温でも温められて、そこに浸透していく。
「先ほど押した場所に、力を入れてみてください」
肌が動き、言われたとおりに男が力を入れたのがわかった。
「パッと力を入れて、緩めるを十回繰り返し、三十秒休んでら、また力を入れて緩めるを繰り返してください」
「何のために……こんなこと…」
「お客様はかなり体を鍛えていらっしゃるようですが、ここも鍛えればきちんと筋肉がつきますよ」
イヴォンヌは性器の後ろを軽くつつく。
「ぐ…」
「ここで生まれた性力を脊髄から脳へ送り、眉間から喉、そして心臓、お腹へと循環させお腹に溜めるまでが出来るようになるのが目的です。それからここも」
そう言って、睾丸も押す。
「ここも手を使わずに、上下に動かしてみてください」
「は、そ、そんなこと…」
「できますよ。訓練は必要ですけれど」
「だから、なぜ、このようなこと…」
男の声には猜疑心が含まれている。ただ弄ばれているようにしか思えないのだろう。
「医者からは、どこも悪くないと言われたのですよね。本気で治したいと思ったから、民間療法と眉唾ながらも、私共の所へ来た。だったらつべこべ言わずに、やることをやってください」
「……」
少しきつい言い方だったが、アネカならきっとこう言うだろう。
(家に居た時も、これくらい言えたら何かが違っていたのかしら。いいえ、それはないわね)
アネカの元で色々と知識を得て、認められたからこその、今の自分だ。あの家族と共にいたなら、こうならなかった。
「…わかった」
暫くの沈黙の後、男は小さい声でそう言った。意外に素直に意見をきいてくれることに、彼女は驚いた。明らかに高い身分だとわかる。普通平民で女の言う事など、鼻で笑ってきく耳を持たないものだ。
(教えを乞うということを理解している。柔軟な考えを持っているのね)
イヴォンヌの中で、彼への評価が上がった。客であるからには、自分が気に入らないというだけで態度を変えるのはよくない。だが、相手が女で平民だということで、どうしても見下してくる者はいる。
「少し言い方がきつかったかもしれませんが、性行為を経てでなければ生命は実らないのに、世間ではそれを恥ずかしいこと、忌避すべきこととしてきました。しかし、主が『房中術』を知った国では、それを研究し、実際にその国の後宮で実践しているそうです」
話をしながらも、イヴォンヌは男のペニスを撫で続けた。それは元から立派だったが、次第に血管が浮き出て固くなってくる。
『あれ、勃たないって言ってたのに、とうして固くなってるの?』
奇妙な違和感に気づく。
ちらりと上目遣いに男を見ると、ぎゅっと目をつぶり、頬を紅潮させ唇をきつく噛み締めている。
明らかにイヴォンヌの手で感じているのがわかる。
「その…お相手とは普段、どのように床入りをされているのですか?」
これは普段の行為に問題があるのではと思い、質問した。
「ふ…普通だ」
素っ気ない答えが返ってくる。
「普通とは?」
「だから、普通だ。床に入って愛撫し、挿入する」
「どれくらいの時間をかけて、愛撫しますか?」
「そ、そんなこと、関係があるのか」
潤む目で男がイヴォンヌを見返す。言いたくないのか、男ははっきり言わない。
「では、床入り以外でのその方との交流は、どうですか?」
「お互い節度をもって接している」
今度は壁側の男が答えた。
「節度…それは一定の距離を保っている。ということでしょうか」
振り返ってイヴォンヌが質問すると、男はそうだと答えた。
「それで閨を一緒にしているのですか?」
「それの何が悪い。人目も憚らずに、くっつき合うことに何の意味がある?」
男の言うことは、何も間違っていない。それがこの国での夫婦の閨の事実だ。
「普段の触れ合いもなく、いきなり寝台で親密な関係を築くなど、無理な話です。昼間の関係を深めておき、 一緒にいる時間を増やして、相手との感覚をあわせておきます。 不安や怒りなどの感情を捨てて普段から、相手を慈しみ愛する心を持って接することが大事なのです」
ため息と共にイヴォンヌが話す。
「疲れてる時は無理に行わない。疲れている時には、性行為をせずに休息をとることが大事です。 疲労感があるときに行為は避けてください。義務感だけでしようとしてもうまくいきません」
「……ク」
話しながらも、彼女は男の陰萎を扱き続ける。先端から白濁した液が湧き出てきて、下へ流れていく。
「行為前に食事は控える。食事後すぐあとには、性行為は行わない。消化のために、胃に血液が集中しており、技法がうまくいかなくなります。 行為前にお酒を摂取しない。お酒により、脳の機能が抑制されたり、血流の移動がうまく行えません」
「随分注意事項が多いのだな」
背後と男性が不満を漏らす。
「もちろん、すべて頭に叩き込んで置く必要も、必ず遵守しなければならないこともありません。ですが、心の動きひとつで不能になることもあります。それほどに繊細なものなのです」
「わかった。他にはあるのか?」
もう一人の男性も、不承不承ながらもイヴォンヌの話を聞くつもりになってくれたらしい。
「そうですね。あとは排泄は済ませておくことでしょうか。膀胱に尿があると、技法に集中することが難しくなります」
「う!!!」
その時、イヴォンヌの手の中にある男性のものが激しく震え、男の腰が浮いた。
『これで勃たなくなるって、やっぱり辛いわよね』
そう思いつつ、イヴォンヌは自分が用意した瓶に入った潤滑液を手に塗り込めた。
しばらく手を合わせ、体温で温めるとそっと彼のペニスを包みこんだ。
かなり鍛えて割れた彼のお腹の筋肉が、ピクリと動く。
根本から先端に向かって、力を加減しながら撫でる。塗りつけた潤滑液が男の体温でも温められて、そこに浸透していく。
「先ほど押した場所に、力を入れてみてください」
肌が動き、言われたとおりに男が力を入れたのがわかった。
「パッと力を入れて、緩めるを十回繰り返し、三十秒休んでら、また力を入れて緩めるを繰り返してください」
「何のために……こんなこと…」
「お客様はかなり体を鍛えていらっしゃるようですが、ここも鍛えればきちんと筋肉がつきますよ」
イヴォンヌは性器の後ろを軽くつつく。
「ぐ…」
「ここで生まれた性力を脊髄から脳へ送り、眉間から喉、そして心臓、お腹へと循環させお腹に溜めるまでが出来るようになるのが目的です。それからここも」
そう言って、睾丸も押す。
「ここも手を使わずに、上下に動かしてみてください」
「は、そ、そんなこと…」
「できますよ。訓練は必要ですけれど」
「だから、なぜ、このようなこと…」
男の声には猜疑心が含まれている。ただ弄ばれているようにしか思えないのだろう。
「医者からは、どこも悪くないと言われたのですよね。本気で治したいと思ったから、民間療法と眉唾ながらも、私共の所へ来た。だったらつべこべ言わずに、やることをやってください」
「……」
少しきつい言い方だったが、アネカならきっとこう言うだろう。
(家に居た時も、これくらい言えたら何かが違っていたのかしら。いいえ、それはないわね)
アネカの元で色々と知識を得て、認められたからこその、今の自分だ。あの家族と共にいたなら、こうならなかった。
「…わかった」
暫くの沈黙の後、男は小さい声でそう言った。意外に素直に意見をきいてくれることに、彼女は驚いた。明らかに高い身分だとわかる。普通平民で女の言う事など、鼻で笑ってきく耳を持たないものだ。
(教えを乞うということを理解している。柔軟な考えを持っているのね)
イヴォンヌの中で、彼への評価が上がった。客であるからには、自分が気に入らないというだけで態度を変えるのはよくない。だが、相手が女で平民だということで、どうしても見下してくる者はいる。
「少し言い方がきつかったかもしれませんが、性行為を経てでなければ生命は実らないのに、世間ではそれを恥ずかしいこと、忌避すべきこととしてきました。しかし、主が『房中術』を知った国では、それを研究し、実際にその国の後宮で実践しているそうです」
話をしながらも、イヴォンヌは男のペニスを撫で続けた。それは元から立派だったが、次第に血管が浮き出て固くなってくる。
『あれ、勃たないって言ってたのに、とうして固くなってるの?』
奇妙な違和感に気づく。
ちらりと上目遣いに男を見ると、ぎゅっと目をつぶり、頬を紅潮させ唇をきつく噛み締めている。
明らかにイヴォンヌの手で感じているのがわかる。
「その…お相手とは普段、どのように床入りをされているのですか?」
これは普段の行為に問題があるのではと思い、質問した。
「ふ…普通だ」
素っ気ない答えが返ってくる。
「普通とは?」
「だから、普通だ。床に入って愛撫し、挿入する」
「どれくらいの時間をかけて、愛撫しますか?」
「そ、そんなこと、関係があるのか」
潤む目で男がイヴォンヌを見返す。言いたくないのか、男ははっきり言わない。
「では、床入り以外でのその方との交流は、どうですか?」
「お互い節度をもって接している」
今度は壁側の男が答えた。
「節度…それは一定の距離を保っている。ということでしょうか」
振り返ってイヴォンヌが質問すると、男はそうだと答えた。
「それで閨を一緒にしているのですか?」
「それの何が悪い。人目も憚らずに、くっつき合うことに何の意味がある?」
男の言うことは、何も間違っていない。それがこの国での夫婦の閨の事実だ。
「普段の触れ合いもなく、いきなり寝台で親密な関係を築くなど、無理な話です。昼間の関係を深めておき、 一緒にいる時間を増やして、相手との感覚をあわせておきます。 不安や怒りなどの感情を捨てて普段から、相手を慈しみ愛する心を持って接することが大事なのです」
ため息と共にイヴォンヌが話す。
「疲れてる時は無理に行わない。疲れている時には、性行為をせずに休息をとることが大事です。 疲労感があるときに行為は避けてください。義務感だけでしようとしてもうまくいきません」
「……ク」
話しながらも、彼女は男の陰萎を扱き続ける。先端から白濁した液が湧き出てきて、下へ流れていく。
「行為前に食事は控える。食事後すぐあとには、性行為は行わない。消化のために、胃に血液が集中しており、技法がうまくいかなくなります。 行為前にお酒を摂取しない。お酒により、脳の機能が抑制されたり、血流の移動がうまく行えません」
「随分注意事項が多いのだな」
背後と男性が不満を漏らす。
「もちろん、すべて頭に叩き込んで置く必要も、必ず遵守しなければならないこともありません。ですが、心の動きひとつで不能になることもあります。それほどに繊細なものなのです」
「わかった。他にはあるのか?」
もう一人の男性も、不承不承ながらもイヴォンヌの話を聞くつもりになってくれたらしい。
「そうですね。あとは排泄は済ませておくことでしょうか。膀胱に尿があると、技法に集中することが難しくなります」
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