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第1章 悪夢の結婚式
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ー私は今、何を見せられているのだろう。
目の前で繰り広げられる光景を見ながら、イヴォンヌはそんなことを思っていた。
「ああん、パーシー、いい、いいわぁ、好き好きぃ、もっとぉ~もっと奥までちょうだい」
「ミランダ、ミランダ、最高だ、腰が止まらない」
パンパンとパーシーが腰を何度も前後に動かし、その腰にミランダがむき出しの脚を絡みつかせる。
ギシギシと二人が動くたびに、寝台が軋みを上げる。
男と女が裸で抱き合い、無我夢中で行為に及んでいる。
そんな光景を、部屋の入口からイヴォンヌは呆然と立ち尽くして眺めている。
他人のそのような行為は、見ていて気持ちのいいものではない。
しかもそれが明日自分が結婚する予定の婚約者と、自分の義妹であるという事実に、思考が追いつかない。
ここはイヴォンヌの生まれたダリアーニ家の客間。明日はイヴォンヌとパーシーの結婚式で、朝も早いからと、彼はここに泊まっている。
夕食後、明日のために早めに部屋に引き上げたイヴォンヌだったが、お休みの挨拶をしようと、彼が泊まっている部屋にやってきた。
そこで彼女は、パーシーとミランダの情事を目撃することになった。
「イク、イクわぁ~パーシーィィ」
「いいぞミランダ、俺もイクゥ」
男女の営みに無知なイヴォンヌは、二人がどこに行こうとしているのか、まったくわからなかった。
イヴォンヌが知らないうちに、二人はいつの間にこのような関係になったのだろうか。
ーいやだ。いやだ。こんなの見たくない。
あんな激しく腰を振って、獣のように発情している姿なんて。
イヴォンヌはぎゅっと目を固く閉じる。
「ミランダ、愛している」
「私も愛してるわ、パーシー」
「ああ、どうして僕はイヴォンヌより先に君に出会わなかったんだ。こんなに君を愛しているのに、明日僕は彼女と結婚しなくてはならない」
「パーシー、私は信じているわ。たとえ表向きの妻はお姉様でも、あなたと想い合っているのは私よね」
「もちろんだ。でも、あんな彼女でも明日は初夜だから『堅物淑女』のイヴォンヌを我慢して抱かなければならない。それを思うと今からすごく憂鬱だ」
「パーシー、可哀想に」
「仕方ないから君のことを想って我慢して抱くよ。だから、ミランダ。もう一回。僕が君を思い描いてイヴォンヌを抱けるように、もっともっと」
「ああん、パーシー、来て」
ーいやだ。いやだ。聞きたくない。
自分の婚約者だったはずの男が、別の女に愛を叫ぶ声なんて聞きたくない。
両手で耳を塞ぎ、その場に座り込む。
誰かの劈く耳障りな悲鳴が聞こえる。
それはイヴォンヌ自身の口から発せられる叫び声だった。
彼女は己が放つ叫び声を、まるで遠くで聞いている気がしていた。
イヴォンヌの叫び声は、睦み合っていたパーシーとミランダだけでなく、家中を驚かせた。
父たちが慌てて駆けつけ、廊下で座り込んで叫び続けるイヴォンヌを発見した。
「イヴォンヌ、お前、気でも…お、お前たち…何を」
父親のメイソン・ダリアーニ子爵が彼女のすぐ側まで来て、そして開け放った扉から、部屋の中を見て言葉を失った。
「あ、あなたたち何をしているの!」
「パーシー、お前、えええ、ミ、ミランダさん」
「パーシー、お前はな、なんてことを」
遅れてやって来た妻のエラと、パーシーの両親サットン夫妻もパーシーとミランダが裸でいるところを見て、驚いている。
「お、お父様、お母様…」
「父さん、母さん…」
「ごめんなさい、でも、私、パーシーを愛しているの」
「僕もです。僕もミランダを愛しています。イヴォンヌではなく。それに、彼女のお腹には僕との子供が…」
「こ、ここここ子供!」
「あなたたち、そんな前から」
「と、とにかく、ず、ズボンを履きなさい」
「ミランダ、あなたも服を着なさい」
豊かな胸を剥き出しにしているミランダと、驚いてすっかり萎えたイチモツを見せつけているパーシーに、親たちが注意する。
ー愛している? 誰が誰を?
パーシーは私の婚約者ではなかったの?
「イヴォンヌ、お前もいつまでそうしているつもりだ。とりあえず全員居間へ」
耳を塞いで涙を流し、ガタガタ震えて座り込むイヴォンヌに、父親が冷たい視線を向ける。
「お前たちも服を着たら来なさい」
親たち四人が一階へと向かっていく。
少し遅れてイヴォンヌたちが居間へ着いた時には、既に親たちの間でこの出来事についての対策案が練られていた。
目の前で繰り広げられる光景を見ながら、イヴォンヌはそんなことを思っていた。
「ああん、パーシー、いい、いいわぁ、好き好きぃ、もっとぉ~もっと奥までちょうだい」
「ミランダ、ミランダ、最高だ、腰が止まらない」
パンパンとパーシーが腰を何度も前後に動かし、その腰にミランダがむき出しの脚を絡みつかせる。
ギシギシと二人が動くたびに、寝台が軋みを上げる。
男と女が裸で抱き合い、無我夢中で行為に及んでいる。
そんな光景を、部屋の入口からイヴォンヌは呆然と立ち尽くして眺めている。
他人のそのような行為は、見ていて気持ちのいいものではない。
しかもそれが明日自分が結婚する予定の婚約者と、自分の義妹であるという事実に、思考が追いつかない。
ここはイヴォンヌの生まれたダリアーニ家の客間。明日はイヴォンヌとパーシーの結婚式で、朝も早いからと、彼はここに泊まっている。
夕食後、明日のために早めに部屋に引き上げたイヴォンヌだったが、お休みの挨拶をしようと、彼が泊まっている部屋にやってきた。
そこで彼女は、パーシーとミランダの情事を目撃することになった。
「イク、イクわぁ~パーシーィィ」
「いいぞミランダ、俺もイクゥ」
男女の営みに無知なイヴォンヌは、二人がどこに行こうとしているのか、まったくわからなかった。
イヴォンヌが知らないうちに、二人はいつの間にこのような関係になったのだろうか。
ーいやだ。いやだ。こんなの見たくない。
あんな激しく腰を振って、獣のように発情している姿なんて。
イヴォンヌはぎゅっと目を固く閉じる。
「ミランダ、愛している」
「私も愛してるわ、パーシー」
「ああ、どうして僕はイヴォンヌより先に君に出会わなかったんだ。こんなに君を愛しているのに、明日僕は彼女と結婚しなくてはならない」
「パーシー、私は信じているわ。たとえ表向きの妻はお姉様でも、あなたと想い合っているのは私よね」
「もちろんだ。でも、あんな彼女でも明日は初夜だから『堅物淑女』のイヴォンヌを我慢して抱かなければならない。それを思うと今からすごく憂鬱だ」
「パーシー、可哀想に」
「仕方ないから君のことを想って我慢して抱くよ。だから、ミランダ。もう一回。僕が君を思い描いてイヴォンヌを抱けるように、もっともっと」
「ああん、パーシー、来て」
ーいやだ。いやだ。聞きたくない。
自分の婚約者だったはずの男が、別の女に愛を叫ぶ声なんて聞きたくない。
両手で耳を塞ぎ、その場に座り込む。
誰かの劈く耳障りな悲鳴が聞こえる。
それはイヴォンヌ自身の口から発せられる叫び声だった。
彼女は己が放つ叫び声を、まるで遠くで聞いている気がしていた。
イヴォンヌの叫び声は、睦み合っていたパーシーとミランダだけでなく、家中を驚かせた。
父たちが慌てて駆けつけ、廊下で座り込んで叫び続けるイヴォンヌを発見した。
「イヴォンヌ、お前、気でも…お、お前たち…何を」
父親のメイソン・ダリアーニ子爵が彼女のすぐ側まで来て、そして開け放った扉から、部屋の中を見て言葉を失った。
「あ、あなたたち何をしているの!」
「パーシー、お前、えええ、ミ、ミランダさん」
「パーシー、お前はな、なんてことを」
遅れてやって来た妻のエラと、パーシーの両親サットン夫妻もパーシーとミランダが裸でいるところを見て、驚いている。
「お、お父様、お母様…」
「父さん、母さん…」
「ごめんなさい、でも、私、パーシーを愛しているの」
「僕もです。僕もミランダを愛しています。イヴォンヌではなく。それに、彼女のお腹には僕との子供が…」
「こ、ここここ子供!」
「あなたたち、そんな前から」
「と、とにかく、ず、ズボンを履きなさい」
「ミランダ、あなたも服を着なさい」
豊かな胸を剥き出しにしているミランダと、驚いてすっかり萎えたイチモツを見せつけているパーシーに、親たちが注意する。
ー愛している? 誰が誰を?
パーシーは私の婚約者ではなかったの?
「イヴォンヌ、お前もいつまでそうしているつもりだ。とりあえず全員居間へ」
耳を塞いで涙を流し、ガタガタ震えて座り込むイヴォンヌに、父親が冷たい視線を向ける。
「お前たちも服を着たら来なさい」
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