婚約者を義妹に寝取られ、腹いせのために習った房中術でなぜか王弟殿下を虜にしてしまいました

七夜かなた

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第4章 新たな依頼

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 あの後、イヴォンヌはアネカの家に戻らず、マリーベルの口利きで近くの宿屋に泊まった。
 アネカもいない中、一人ではとても過ごすことは出来なかったからだ。
 しかし翌日も客の予約が入っているため、マリーベルの知り合いの腕自慢の男性に付き添ってもらって帰った。
 ちょうどそこに、アネカが帰ってきたのだった。
 イヴォンヌが見知らぬ男性に付き添われて帰ってきたのを見て、アネカはすぐに何かあったと察したようだ。

 送ってきてくれた男性にお礼を言って、中に入るとイヴォンヌはアネカに昨日あったことを話した。

「そんなことが…」
「はい」
「怖かったね。ごめん」
「え、なぜアネカが謝るのですか?」
「だって、あたしの店を探ってたんだろ? 誰がどう見ても、あたしの店関連じゃないか。イヴィはあたしの店で働いているから、そんな目にあったんだ」

 アネカは痛々しそうに、イヴォンヌの首に巻いた包帯を見る。

「謝るなら私もです。いただいた首飾りも壊されてしまって…」
「それもイヴィのせいじゃない。壊したのはその大柄な男だ。首飾りはまた作ればいいから」
「それならいいのですが…でもそのカインという名の男性は、首飾りの仕掛けについて気づいていました。そんなこと、あり得るのですか?」
「あたしの魔法も完璧じゃない。見破る方法はある。ただ、魔法を知らない人間には無理だけど」

 アネカは難しい顔をしてそう言う。

「じゃあ、あの人は魔法が使えるということですか?」 
「どうだろうね。魔法を使えなくても、魔法を検知する方法はある」
「そうなのですか?」
「ああ。でもそれも、魔法が廃れると共に、必要がなくなりつつあるけど…」
「え、じゃあ、昨日の人達は一体…」
「蛇の道は蛇ってことだろうねぇ。その二人のどちらかが、魔法と関係があるか、魔法使いの知り合いがいるってところかな。エーリヒと、カインって名前だったんだっけ?」

 アネカはイヴォンヌを襲った者達の名前を確認してきた。

「ええ、大柄で体格のいい男性がカインで、背は高いけどその人よりは細身の人がエーリヒってお互いを呼び合っていたわ」
「他には?」
「二人共フードを被っていたから、髪の色はわからないけど、カインという人は瞳は焦げ茶だったかしら。顔もいかつくて。もう一人は赤紫っぽい色だったわ。顔は…まあいい方かしら」

 脅されていたのに、思わず見惚れてしまった己の不謹慎さに、イヴォンヌは頬を染める。

「聞いたことありますか?」

 そんなイヴォンヌの様子には気を止めず、アネカは顎に手を当て深く考え込む。 
 
「いいや、その名前にも聞き覚えはないし、聞いた風貌の人間に心当たりはないから、知り合いじゃない」

 アネカは軽く首を振って答える。

「でも、剣を持ち歩いてあまつさえそれを突きつけるなんて、穏やかじゃないね」
「また来ると言っていました」

 去り際に捨て台詞を残して行った男の顔と、剣を突きつけられたときの状況を思いだし、イヴォンヌは恐ろしさに身が震えた。

「それは好都合。もしまた来たら、イヴィを怖がらせて怪我をさせたことを後悔させてやる」
「気持ちは嬉しいけど、無茶なことはやめてください。返り討ちにあったらどうするんですか」

 アネカなら本当にやりかねない。出逢っても間もないが、出来ないことは言わない人なのはわかる。

「わかっているよ。心配性だね、イヴィは」

 そう言ったが、どこまでわかっているのだろうか。イヴォンヌは不安しかない。

「とりあえず、首飾りは作り直す必要があるね。造るのは簡単だけど、ただ、今は石の在庫がなくて、すぐにはつくれないんだ。今から急いで石を取ってくるから、それまで我慢してくれる?」
「戻ったばかりですぐにまた出かけるのは大変じゃないですか」
「それは気にしないで。大したことはないよ」
「でも」
「でもはなし。あたしがいいって言っているんだから、いいんだ。でも、一日では帰ってこられないから、その間はまた一人になるけど。大丈夫?」
「…それは」

 迷うことなく「大丈夫」と言いたかったが、すぐにはそう言えなかった。

「わかるよ。でも大丈夫。そこは対策は取っておくから」
「対策?」
「そ、だから安心して。なるべく早く帰ってくるから」

 アネカはそう言って、ウィンクした。 
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