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Special episode.
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「おっ帰り~♪」
「ただいま」
「お風呂にする?ご飯にする?
それとも、ワ・タ・…」
「風呂(ツーン)」
「あーん、最後までさせてよぉ…!!」
「(ガシッ)ちゅっ」
(*´ω`*)デレ~
でこちゅー頂きました。
無表情で流すようにスキンシップをかます、ツンアマの旦那様。
絶賛、新婚ラブラブ中。
改めまして、永井裕子です。
新妻(←強め)裕子です。キャッ♪
苦節37年にして13歳年下の夫をゲットしました。
恥を忍んで求婚し、めでたく4月22日よい夫婦の日に入籍。輝人の実家近くの空き物件に、東京から勢いのままに飛び込んで。
捨て身のプロポーズだったけれど玉砕しなくて良かった~。
実家に戻っていた彼も一緒に新居で暮らすことに。
ロフトは付いていないけれど、東京と家賃同額で2LDK!
広々リビングに寝室とワークルーム。
なんと、エレベーターあり!
もう輝人が修行する羽目にはならないかな?
新しい環境はまだ不慣れで大変だけれど、彼の家族も町民も温かで生活は落ち着いている。
電車通勤はないし、ローカルライフ万歳
\(^o^)/
なによりも…
輝人が毎日帰ってくる安心感。…幸せ~。
つい頬が緩んじゃう…
いかん、いかん!ほうれい線がっ。
でも本当に “ お帰り ” を言えるこの生活が、幸福だと神様に感謝しています…
「豊かな町へと発展するよう尽力します。
若き期待のエース!未来開発本部長、
永井輝人!きゃあ♪カッコイイ~」
まったりと過ごす夕食後。
テーブルに来月号の町の広報誌を広げ、記事に酔いしれ~写真に惚れ惚れ~。
新任のインタビューを受けた輝人が掲載されている。
まるで若手社長のようなできる男感!!
満載の仕上がりにニコニコな私。
前の家から持ってきた卓上テーブルは、今も私達の憩いの場だけれど。彼の定位置は私の右側…ではなくて、私の背中にベッタリだ。
背後から抱きついて、肩に顎を乗せ私が広げた記事を覗き込んでいる。
チラッと横顔を見てみると、
安定のムスッと。
「額縁に入れて飾るね?」
「裕子は何でも記念にしすぎ。
これ、おかしいだろ?
“ 愛妻家の年上キラー ”って小見出し。
裕子なにか言った?」
「(ギクッ)な、なにもっ」
実は… インタビュー、ちゃっかり覗いていました。元祖家政婦さんバリに。
偵察は得意なんです。
輝人を見守るのが仕事の合間の日課になっております・・・
[ 回想 ]
そお~っとな…。
町長室のドアを開けて、隙間から中を拝見。(←悪質な覗き)
部屋の真ん中にある応接用テーブルでインタビューは始まっているようだ。
輝人が話す目の前でカメラを構えた男性記者が、頷きながらシャッターを切っている。
必殺!妖怪地獄耳!
手を耳元にあて、聞き耳を立てて盗聴する。
カシャカシャ
「―――夏までには事業案を議会に提出する
予定です」
「なかなかだろう?
私がスカウトしたんだよ。これからは
若いもんに世代交代しないとな」
塩顔で淡々と説明する輝人の隣で、3期目のベテラン町長はドヤッて記者に話す。
グッジョブ町長 (^-^)b!
多いに良きに計らえ~。
指先をビラビラさせて、町長に給料アップの念を送る。
「永井さん、ご結婚されたと。
姉さん女房だそうですね?」
「えっ?あぁ、はい…」
あら!私もネタに?(←家政婦なりきり)
「どんな奥様ですか?」
「あー、そー、ですね… ふっ。
幸運の女神みたいな人です」
まあ!輝人ったら!(←家政婦なりきり2)
ぐふふ、とニヤけながらのこっそりドアを閉めて退散。
役場の2階からスキップで1階に。
各種受付の前を通り抜けて、一番隅っこに間借りしている私の仕事場へ。
“ 保険のひろこ ” の立て看板を掲げたカウンター。パンフレットの陳列棚を横に備えて。
一坪ほどのスペースにパソコン機器と書類一式を持ち込んだ、私だけの小さな職場。
今日も旦那様の仕事っぷりを見守って満足した所、チラチラとこちらを見る町民のマダム達の視線をキャッチ。
「宜しかったらお話だけでも?
保険のご提案はタダ!ですから^^」
私も仕事頑張らなきゃね。
セールストークに増して、マダム達と世間話に盛り上がっていた折…
「あのう…永井さんの奥様ですか?」
「はい!?あ、記者さん?」
カメラを肩にかけた男性。さっき輝人をインタビューしてた。腰の低い感じでお願いしてくる。
「よかったら旦那さんの普段の様子について、
一言コメント頂けますか?」
「あ~私のコメント…」
輝人の株を上げておかなきゃ、だよね?
改まって咳ばらいを軽やかにコホンと。
そして意気揚々に捲し立てる。私に向けられた記者の手にあるボイスレコーダーに!
「ご覧の通りクールで生真面目ですよ。
冷たそうに見えますけど、
色白で黒縁メガネが似合いすぎて
男前感半端ないってゆうかぁ(てへっ)。
頭脳明晰で何事も卒なくこなす。
オレ失敗しないので(ドヤッ)みたいな。
Z世代若手の星?よっ、出世頭!
的存在ですよね!?(グイグイ)
その上、家族思いで優しいし、
私みたいなオバサンを乙女かのように
大事にしてくれて!!
仏様かな?尊い極みかな?
とにかく天下一品の珠宝ですぅ^^」
「そ、そう、ですか」
取って置きの営業スマイルマスクを被ってるところ、マダム達が合いの手を。
羨ましいわ~。私の夫にしたいわ~。
と援護射撃を受けて、とびっきりの笑顔を私も放つ。そういえば記者さんタジタジしてたな。
[ 回想終了 ]
思い出す、良かれと思った裕子砲。
やっちまったか?
輝人は一層ベッタリと私の肩に顔を埋める。
あれ?やっぱりご機嫌ナナメ!?
と思ったら…
「裕子のWEBインタビュー見たよ…
(ボソッ)」
「え?あぁ、ラブファイターのね。
結婚報告してたくさん祝福してもらって。
まさか、ネット記事になるなんてねw」
東京を離れ輝人を追いかけるにあたり、相談事をしようにも親友の貴子ひとりしかいなかった私。
幅広い情報を収集するためSNSの世界へ。
まずは自分を晒け出さねばと暴露した男性遍歴とアラフォーの悩み。
多くの共感と励ましを受けた。
おのれでガチガチに固めた殻を破ると決意したものの…不安で滅気そうな時。
背中を押して勇気をくれたのは、他でもないフォロワーさん達だ。
心の友よ…。
嫁入成功の報告に貰った温かなたくさんの祝福に、スマホ片手に夜通し嬉し泣き(T^T)
まさかの #アラフォーの星 がトレンド入りし取材が舞い込む経緯となった。
何かマズいこと答えたかな?
輝人がボソッと言う時は困ってるからだと思うんだよね… うーん?
「…毎晩抱き枕にされてます、て。
…なんでバラすの?恥ずっ」
そこ!?拗ねてたの!?
輝人的にはそれNGなのね。
そっかそっか。
甘えたがりなのは私だけの秘密にしておかなきゃいけなかったか…///。
きゅーん。愛しさがツライ。
「ご、ごめんね。
浮かれポンチで惚気過ぎちゃって?」
自信家の彼を慰めるつもりが、余計に輝人は決まりが悪い仕草をして言う。
「俺も。浮かれてるよ… 寝心地いいから」
「(ドキッ)!!」
寄せてきた!?デレ!?
どきゅーん。無理っ。
塩は何処に置いてきた?
一旦ウユニ湖に浸かった方が良くない?
今日も甘いぞ、甘過ぎる!
「ふぁ~」と大きなあくびをして、
コテッ?コテッ?と私の肩で、自分のおでこの収まりのいい箇所を探してる。
可愛すぎんだろコンチクショー///。
眠いくせに…
元気ハツラツゥ?なのよ、若いから!!
こっちは腰砕けよ!!
毎晩抱き枕にされてるってのはソフトな回答だったのに… 若者の熱量ハンパない///。
押し寄せる羞恥心…
「何で顔隠してんの?眠い?もう寝る?」
「(コクコクコク)///」
そして、就寝かと思いきや…
布団に入れば漂う熱気と色づいた吐息が心拍を昂ぶらせて―――
「裕子の負担にならないように
優しくするから、いい?」
と…おねだり囁いてくる。
どこまで私を溶かす気なんだ?
それでもって私は、どれだけ甘やかそうとしているのだ?
愛しさが振り切れて…
まだまだ甘えて欲しいと望んでしまう。
「いいよ…私が輝人の好きにして欲しいの」
新婚が夜な夜な熱いのは…
好きも大好きも言い足りないからかもね。
いつしか冷めてしまわないように、私は夢枕でも唱え続けようとキスの中で思うのだった。
☆
ほんのりした暑さを感じて目が覚めた。
じっとりと首に髪が絡んで、気怠さの中で体を起こすとモワッとした空気が流れる。
もうすぐ5月。
朝の光が覚醒を早めてくれた。
くっついて眠るのはもう暑いのかもしれない。隣からはぬくぬくの体温と小さな寝息。
少し汗ばんで湿った輝人の髪をそっと撫でた。
どうして目覚めてすぐに、こんなにも幸せな気分になれるかな?
眼鏡を外した素顔が…
可愛いくて仕方がない。
ふふっ、と…自然と微笑みが溢れる。
オバ声しか出ないのに、朝一番に笑顔が作れるなんてね。
私は緩んだ顔でそおっと布団を抜け出した。
カク… カクン… カク… カクン…
「イテテテ… 」
まずは洗面所で腰に湿布を貼りましょう。
「不思議だわ…。
足腰ガタガタなのにお肌は艶々♪」
洗面台の鏡に写した自分の顔をまじまじと見てうっとり。
日々老いていく… 決まりではないのね。
「人生も摩訶不思議の大冒険だったし...
ん?(キョロキョロ)」
♪~……
ドラゴン◯ールのオープニング流れてこなかった?(←お約束)
思い返せば1年前―――
まだ輝人にも出逢っていなかった。
私は別の出逢いを求めて…
婚活バスツアーに申し込んだのよ (๑•̀ㅂ•́)و✩
もう相談所は当てにできなかったしね。
春爛漫!期待いっぱいで出発進行!!
って寸前でさ…
「関さん!本当に申し訳ないんですがっ、
人数調整であちらのバス乗ってもらえ
ますか!?すみませんっ」
って・・・シニア組かよっ、おい!!
てな36歳の春の惨劇があった。
35のボーダーラインに要所要所で転げ落ちて……荒れたね。
やけ酒にやけ食い。
魔除けのご神仏に大金を叩いて、
しまいには痔ができる・・・痛恨の極み!!
でも、底からの怒涛の巻返し…
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
何が起こるかわからないものね。
今なら1年前の自分に、
「そんな焦らなくて大丈夫!」
って自信持って言えるけど…
本気で怯えた事も、泣いた事も…
惨めだと消えたくなった私も―――
忘れたりしない。
それがあってこそ…
ちゃんと自分と向き合えたし、大事なモノに気付けた。
苦しんでもがいたから、強くなれたのさ!
(裕子、心の談話)
「はぁっ!」
両手を天に掲げて祈りを捧げる。
「(みんな、オラに元気をわけ…)
っぴゃー!?」
「何やってんの?」
「ちょ、急に抱きつかないで!」
元気を集めているところ、輝人に後ろからぎゅっとされて心臓が跳び跳ねた。
「おいで、なのかと思って」
あぁ、今日も愛しいが止まらない…
まだ目が閉じたまま眠そうではないか。
甘えたがり、延長中。
「おいではこっち向きでしょう?」
私はくるっと身を返して輝人を抱きしめる。
だらんとした背中をポンポンとして。
両腕いっぱいに、いっぱいの幸せを包む。
神様… 私に宝物をありがとう―――
「さぁ朝御飯にしよう!眼鏡かけてきて♪」
私が集めた元気は、今日がツライ誰かの元へ
飛んでゆけ!
今日とゆう1日を大切に、
頑張ってる自分を褒めて、
愉快に生きようじゃあないか~!
*END*
お読みくださりありがとうございました。作者より
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