夏雪の花に最後の恋をして。

美也

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1.夏雪の愛しい花芽へ(プロローグ)

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眩しい初夏の光をいっぱいに浴びて、
あなたのそばで咲いていた『夏雪の花』

海薫る爽やかな風が優しく頬をくすぐって、
ふわりと小さな花もさらってゆく

ひらひら…… ひらり……

くうを舞い風波に泳ぐ花は
――――――まるで初雪のよう

冬に降るはずの雪が、夏の光の下で輝いて、
宝物を見つけたみたいに心がときめいた

奇跡が……
舞い降りた、かもしれないと

小さな一花ひとはなが愛しいほど恋しくて
恋愛の一片ひとひらは切なく揺らめいて

この恋は私に大切なものを捧げてくれると
夢に描いた

幸せな未来が待ってると……
信じていたかった――――――


透きとおるようなきらめく笑顔で、
彼女が教えてくれた『夏雪の花』

真っ白な雪のように
彼女の柔らかな優しさみたいに

きらきら…… きらり……

美しく輝いて咲き誇る可憐な花は
――――――まるで君のよう

君が隣にいるのは、奇跡
かもしれないと……
心が幸福に震えた

この恋が……
花の命のように儚いと、思いもせずに

小さな一花《ひとはな》をそおっと撫でるみたいに
恋愛の一片《ひとひら》を離さず大切にできたなら

君は運命のひと
誰にも奪われたくないと

永遠の愛を
誓うことができただろうか――――――


―――――― 奇跡よ


小さな小さな

生命いのちの愛しい芽を。


声も

息も

まだ知らない

宿ったばかりの二人の愛の証しを。


たったひとつのかけがえのない宝物を

失ってしまった
守れなかった


俺たちに――――――
私たちに――――――


愛している
と、

離したくない
と、

今でも
あなたに会いたい
と……


『 願うことは許されるのでしょうか 』

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