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4章 卑屈ルート、美紗の幸せルート、凱の超超超頑張りルート!

4話 卑屈ルート 4

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さぁて。どのようにフれば良いのか。前回はチキンな僕が逃げてしまったからなぁ。折角もらったチャンスだし、出来るだけ、真剣に向き合いたい。スッキリしてから死ぬ方が霊になる確率も低いと思うし。どこかでやっていた気がする。
「少し、寒いね」
そう言って息を手に掛ける美紗。
「そう?」
確かに、少し風が強いかもしれない。こればっかりは天候だから仕方がないか。
「手、繋がない?」
「ん?いいよ」
「ホント!?やった」
ん?そういえば、この頃の僕はあまり積極的じゃなかったなぁ。
それに色んな事をしたせいか、手を繋ぐことに何も抵抗が無い。
「美紗」
「ん?どうしたの?」
ルンルンとリズムを奏でながら歩く美紗。手を繋いだくらいでこの調子だ。とても上機嫌と言えよう。
「放課後………一緒に帰ろ?」
「……勿論だよ。シリアスな雰囲気になったからびっくりしちゃったよ」
「あははは。ごめんごめん」
前回はあんなど直球に言って、少し警戒されたところがあった。今回もそんな失態はしない。帰る途中で家に来ることを誘う。そして、家で別れるという主旨を伝える。チキンな僕でも家からは逃走できまい。まぁ、今誘っても良かったけど、急過ぎて逆に疑われそうだからね。少しでも警戒されるような言動は避けたい。
「わぁ、凄い大きいね」
「だねぇ。中学校も大きかったけど、こっちも中々大きいね」
「沢山人も居るし」
「迷子にならないでよ?」
「………そんなにおっちょこちょいに見える」
「そんなまさか。言動が少し子供だなんて思ってないよ」 
「もう……それはそう思ってるってことじゃん」
「ごめんごめん。さ、行こよ」
「話題、変えようとしてない?」
「そんなことするわけ無いよ」
もうそろそろ零が出てくる筈。
毎回登場が違うからもはや神出鬼没だね。
「さっきからチラチラと、どうしたの?」
「ん?何でもないよ。少し人の動きが気になってね」
「そうなんだ?良く分からないけど」
「まぁ、僕が気に掛けてるだけだからね」
ん?来る。しっかり見ると、あっちも誰かを探してるみたいだな。
「ん?」
一瞬目が合ったような。
こっちに来る。もしかして、僕らを探していた。じゃあ、今まで偶然だと思っていた接触は、必然だった?どうして?
「やぁ」 
「あ、あぁ。どうも」
なんか、馴れ馴れしいな。
「…………」
やはり、知り合いのようだ。
ここは、初対面の対応をしなければならないだろう。
「えっと……どなたで?」
「あぁ、紹介が遅れたね。俺は海藤零だよ。よろしく」
「僕は陽縞凱だよ、よろしく」
「うん。よろしく」
「…………」
「どうしたの?美紗」
「あっ……ううん。なんでもないよ、もう行かない?」
「ん?そうだね。じゃ、またね、零」
「あぁ」 
さて、この後の障害にならなければ良いのだけど……。
今、気にする事じゃないか。

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次回、解決して卑屈ルートも終わります。
面白いと思っていただけたらこれからもよろしくお願いします。
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