うちの鬼上司が僕だけに甘い理由(わけ)

藤吉めぐみ

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初めての、夜。★3

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 匠の着ているものを全て脱がし、その体をあらわにする。予想はしていたが、匠の体は細く、その白い肌はキレイだった。けれど、足首と腿には細い圧迫の痕が残っている。蹂躙のしるしに、克彦はぐっと唇を噛み締めた。
「もう……こんな思いはさせないよ」
 克彦は匠の脚を持ち上げ、その痕にキスをした。内腿から舌を這わせ、きつく唇の痕を残す。
「ん……」
「痛くないか? 匠」
「くすぐったい……」
 くすくすと笑い出す、その顔もまた可愛くて、克彦はそっと脚を下ろし、匠の顔の傍に両手をついて、覆いかぶさった。匠がまだぼんやりと酔ったままの目でこちらを見上げる。
「主任……?」
「克彦だ。呼んでごらん」
「……克……彦……?」
「そう。匠、愛してるよ。だから、私にこのまま抱かれてくれ」
 克彦が言うと、匠はしばらくぼんやりと克彦を見上げていたが、ゆっくりと笑顔を見せ、その両手を克彦へと差し出した。
「はい。よろしくお願いします」
 匠のその言葉を聞き終わる前に克彦は匠の体を抱きしめた。その首筋に顔を埋めるようにキスをする。きつく吸い上げて、赤い痕をいくつも残した。
 縛られたものや打たれたものではない、愛した痕を体中に残したいと思った。
 上書きなんてできないかもしれない。けれど匠にとって、そんな痛みを伴う行為が愛情を感じるものだとしたら、その意識ごと変えたいと思った。
 だから、体中を愛したい。
「んっ……しゅ、に……そこ、や……」
「克彦だよ、匠。それに嫌じゃないだろ」
 匠の小さく艶やかな胸の先に唇を寄せると、匠が色づいた吐息を零した。感じてくれていると分かれば、こちらも嬉しい。
「克彦……そこだけ、じゃ……やだ……」
 胸にたくさんのキスマークを付けた匠が、こちらを潤んだ目で見上げる。その顔から下に視線を向けると、匠の中心が、小さく震えていた。
 まるで構ってもらえなくて寂しくて泣いてるようなその姿に、克彦が小さく微笑む。
「忘れてないよ。こっちもたくさん愛してやろうな」
 克彦が匠の中心に手を伸ばす。既に先走りでドロドロになっている中心を扱くと、匠が短く嬌声を上げた。鼻からぬけるような可愛らしい声に、克彦の支配欲が湧きおこる。
 この声をもっと聞きたい。自分のために啼かせたい――そう思った克彦は手の動きを止めることなく、再び匠の乳首を口に含んだ。飴玉でも転がすように舌で愛撫すると、匠の喘ぎは大きくなる。
「やっ、いっちゃ、う……克、彦……もっ、むりっ……!」
「一度いくといい。まだ匠を離す気はないよ」
 克彦はそう言うと、手の動きを速め、匠を絶頂へと導いた。
 匠が素直に克彦の手の中に白を吐き出す。
 肩で息をする匠の頬を撫で、克彦は深く口づけた。拙いながらも匠もそのキスに応じようと優しく舌を絡めてくれる。それがとても嬉しかった。
「……相手より先にいったの、初めて……」
「そうか。じゃあ、このまま相手よりも多く達することも経験してみようか」
 克彦はそう言って匠の後孔に手を伸ばした。入り口が赤くなっているのは、見なかったことにした。乱暴に扱われていたのなら、その倍優しくしてやりたい。けれど、今、匠をちゃんと自分のものにしたかった。ここを使わないという選択肢は今の克彦にはない。
 ゆっくりと中指を匠の中に忍ばせると、匠が少し辛そうな表情を浮かべた。
「痛いか?」
「平気……」
「痛かったら言いなさい。無理強いはしない」
 克彦はそっと匠の額にキスを落として言った。匠が頷く。それを見て、克彦は秘所を広げる指を増やした。くちゅくちゅと水音が響くようになると、それに匠の可愛らしい吐息が混ざる。
「あっ、そこ……も、擦らないで……」
 だめ、と言う匠の足の指はシーツを掴もうときゅっと縮こまっている。それを見て、克彦は微笑んだ。ちゃんと感じてくれていることが分かれば、もう不安はない。
「抱くよ、匠。もう、君は私のものだ」
 耳元で囁き、克彦は自身の中心を匠の中にゆっくりと埋め込んでいく。匠の腰が浮き上がり、背が弓なりになる。その細い腰を抱き寄せ、克彦はより深く匠の中へと突き刺す。
 あの男が触れたことないところまで自分のものにしたかった。
「あっ、かつ、ひ、こ……深いっ……!」
 匠が克彦の背中に腕を廻し、しがみつく。頼りないその腕を感じながら、この先は自分が匠を幸せにしようと思った。
「大事にするよ、匠」
 囁いた言葉は匠に届いたかは分からない。けれど、克彦の中でそれは誓いとなった。
 大事にする。幸せにする。それが、こうして奪った責任であり、克彦自身の願いでもある。
 匠の体を抱きしめたまま、克彦はただ、幸せをかみしめていた。
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