図書館の君

ハジメユキノ

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犬飼さんの馬鹿!

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何だ?この状況……。

「先生…。さすがにこれはどうかと……。」

午前様にはならないよっていう約束は守られた。
でも、ねぇ……。
先生の書斎に置かれた大きな書き物机。ウォールナットの一枚板で、割れを防ぐための千切がいいアクセントになっている。黒革のハイバックの椅子に座る犬飼守。
かっけぇ!
売れっ子小説家らしく、壁一面が本棚になっていて集めた蔵書は1万冊以上。本棚も特注で、同じくウォールナット。
好きだなウォールナット。いや、格好いいんですよ。
ほとんどマスコミに姿を現さないとは言え、美形イケメンで名高い先生がその空間にいると、ちょっとポートレート撮るのに写真家カメラマンを呼びたくなるくらい。
なんだけど。そこにちょっとした異物アクセントが混入している。

「もう眠っちゃってるんですから、布団に移動させたら……。」
「僕の発想インスピレーションの源ですよ?この温もりを片時も離したくないんですよ!」

うゎあ……。出た。
コレをわがままと言わずして何と言うのだ?

「でも……。さっきから船漕いじゃってて……首折れそうですよ?」

結構酔ってるんだろうな。すっかり先生の膝に跨って、抱きついたまま眠気と格闘している『図書館の君』。先生も抱っこしたまま平気でパソコンに原稿を打っている。捗っているかどうかは___先程から聞こえてくる小気味よいタイピングの音で分かる。
顔つきも出かける前の栄養不足な弱弱しい感じもなくなり、肌艶良く生き生きとしている。

「でもねぇ。……亮介が離してくれないんだよ?」

俺のせいじゃないんだよ?と麗しく困ったふり。
ラメが空中にばらまかれてますけど。よっぽど嬉しいんでしょうね。僕の『君』を手に入れたようですから。先生イケメンの大きな手が『君』の背中を優しく撫でる。その手付き……エロっ!
高嶺の花の『図書館の君ななせくん』。とうとう食われちゃいましたか___。



@@@


カッチコチなんだけど……。
亮介がおれんちに来てくれたのは嬉しいんだけど、明らかに緊張してますという姿にさすがの俺も可哀想になってきていた。

「亮介。大丈夫だよ。いちごでも食べる?」
「えっ?食べます!」

おっ!笑った(笑)。嬉しい♡
キッチンに立っていちごをザルに入れて洗っていると、亮介が怖怖といった様子でキッチンにやってきた。

「ヘタ取るの……手伝います。」
「ありがとう。じゃあ、お願いしようか。」

俺はフルートグラスを食器棚カップボードから取り出し、リビングのローテーブルに運んだ。ワインセラーからシャンパンを取り出すと、ちょうど亮介がいちごをガラスの器に入れて持ってきてくれた。

「うわぁ……。」
「何?格好いい?」
「……キザだなぁって思って(笑)」

言うなぁ……。でも正直、こんな風に自然体で向き合ってくれる人って少なかったんだよな。いや、でも自分の側にも問題あったかもな。

「確かにこの見た目に自分が合わせようとしてきたのも悪かったかもね(笑)」
「あっ……スミマセン。別に悪くなんかないですよ?」


ホント。この子はそのまんまで俺に相対してくれている。優しいとこあるし。

「でもね。キザだけど、やっぱり美味しいんだよ。いちごとシャンパンって(笑)」

ソファに座る俺の横に亮介は腰掛けてくれた。俺が少し動くたびにビクッとするけど。そんなに反応されると、何かしたくなっちゃうじゃないか(笑)。
緊張してるからか、キョロキョロと部屋を見渡していた。そんな珍しいもの置いてないと思うんだけど。
そんな落ち着かなくて緊張しいの亮介の様子をつまみに、俺はいちごを口に入れた。
亮介がヘタを取ってくれたいちご。美味しい♡

「亮介が緊張してるから、俺、横で仕事していい。亮介は喋りたかったら喋っていいからね?全然邪魔じゃないから。」
「僕、邪魔じゃないですか!これ食べたら帰ります。」
「邪魔じゃないって言ってるでしょ?いてよ。寂しいから。」

いい反応♡口パクパクして、顔真っ赤にして……。
亮介の髪にそっと触れた。目がウルッとしてて可愛い___。
髪に手を差し込んで頭を引き寄せた。そして、唇に触れるだけのキスをした。
でも、さっきみたいに文句も言わない。びっくりしてるだけで(笑)。

「……。しょうがないですね。そんなに寂しいなら…いてあげます。」

かっわいいーーー!!!こんなの可愛過ぎてちょっと理性吹っ飛びそう(笑)!
もう一度頭引き寄せてキスしようとしたら、思いっきり腕突っ張ってる(笑)。
分かったよ。身持ちが固いのね(笑)。そんな出会ってすぐには大事なものは渡さないぞって事?
大丈夫。俺、時間をかけてもりょうすけを堕とす!
それから亮介は、いちごを口に入れてシャンパンを飲んだ。飲んだ瞬間、目を見張って俺を見た。

「お、美味しい!」
「だろ?美味しいんだよ。亮介が気に入ってくれて良かった(笑)」


+++


「という訳なんだ。ちょっと飲みすぎちゃったんだろうね。そっからずっとこの状態。抱きついて離れないなんて……可愛いだろ?」

『でも、やらないよ。俺んだから。』って牽制された。
いや、俺、やっぱり女の子のほうが良いっす。こんな風にされたら可愛いだろうけど、されるならば女の子のフワフワの柔らかい体の方が………。

「何。想像してんの?」

いやいや……。その目、怖いですって。いくら可愛くても、もっと柔らかい体の……。

「それをされるなら、私は女の子のほうが良いです。良い匂いしそうだし。」
「イヤらしい!そんな事考えてたの!俺の担当編集おがたくんはそんな事考えながらお仕事してるんだぁ……。」
「いえ。先生ほどではありませんよ(笑)」
「君も言うね(笑)」

アハハハと笑い合う。何だこの茶番。

「とにかく、あと2時間ですよ。うちの編集長デスクがハゲそうだって泣きを入れてきたんですから!」
「分かってますよ。もう推敲したら渡せるから。」

キラキラ感増してますね(笑)!次の締切まで二人っきりですもんね。

「はいはい。お願いしますよ?終わったら先生の亮介くんと二人っきりですもんね。」
「そうなんだよ~♡おじゃま虫がいなくなると思うと……こっちに取り掛かれるから(笑)」
「スミマセンね。おじゃま虫は原稿をいただければ退散しますから(笑)」
「そうね。とっととお引取り願わないと(笑)」

食われちゃったかと思ったけど、案外誠実なんだな。まぁ……時間の問題だろうけど。
その後、30分ほどで原稿があがった。俺……感動した!

「せ、先生………。最高じゃないですか!!!」
「そう?緒方くんが褒めるのって珍しいよね(笑)」
「いや……人間、目の前に人参ぶら下げられると頑張るもんですねぇ………。」
「君も大概失礼だよね(笑)」

ちょっとムッとしていた犬飼先生。でも、何だか嬉しそう。

「失礼しました。でも、コレ……最高傑作ですよ!デスクの髪の毛生えちゃいます(笑)」
「そう?それは良かった(笑)」

売れるぞ、これ!ありがとう!図書館の君りょうすけくん!!!

「じゃあ私、早速帰って校正に回します。多分、先生あんまり直すことないからそのまま印刷所行きです!」
「よかったぁ……俺もそろそろ限界だったんだよ(笑)」
「へ?」
「____察してよ(笑)」

先生の色気エロ炸裂!だから!俺にまで振りまかないで下さいよ!

「どうした?緒方くん?」
「いえ……。」

ヤバい。ちょっと勃った。

「し、失礼します!先生も無理なさらないで下さいね!」
「それはわかんないな(笑)」
「で、ではし、失礼いたします………。」

慌てて原稿とコートを手に書斎せんせいのへやを出た。
変な性癖に目覚めたらどうするんだぁぁぁぁぁぁ!!!
心の雄叫びを胸に、俺は靴紐を結ぶのもそこそこに外に出た。ドアを閉めた瞬間、外で動悸が止まらない胸を押さえた。

「あれはヤバい人だ。狙われて堕ちない人なんかいないだろ。」




つづく……?

@@@

今回、堕とされちゃったかなと作者ハジメも思ったんですけど、亮介は真面目なので犬飼先生イケメンも大事にしてます。
モテ男なので寝てるとこ襲ったりはしません。服くらいは脱がせるかもしれませんが___(笑)。
エロを滲ませて一旦終わります♡
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