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僕の初恋 〜前編〜
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何だかふわふわした気分で目を開けると、みたことのない天井が目に入った。
そして……。
「えっ?どこ?」
僕の部屋じゃないし、ベッドもこんなフカフカじゃない。それに、自分のじゃない寝息がすぐそばで聞こえる……。
「えっ?犬飼さん?」
上半身裸で、下は……穿いてる。
あれ?それに、僕……。こんなパジャマ持ってない。膝まで隠れるほど長く、それに___袖口が折り返されている。
下は……パンツは穿いてる。
「あれ?着替えた…の…?」
「んん……。まだ早いから……寝てなさい。」
犬飼さんに腕を掴まれ、フカフカのお布団に引きずり込まれた。がっちりと長くて案外筋肉質な腕にホールドされ、全然身動きが取れない。
「あの……ぼ、僕……帰ります……。」
「今日は月曜日だよ?……仕事休みでしょ?」
そんなことまで話したっけ?
焼き鳥屋さんで飲んでて、犬飼さんに家においでと誘われてフラフラと付いてきちゃって……。確か、一緒にいちごとシャンパンを飲んで色んな話をして___。
それから?なんで一緒に寝てる?それに……。
シャンパンにいちごが合いすぎて、止まんなくなってパクパクいちごを食べながらシャンパンをゴクゴク飲んだ。
僕は本当は大学に行きたかった事、でも図書館に犬飼さんが来るのが楽しみだった事、こうして一緒に時間を過ごすのが嬉しいって抱きついて離れなくなった自分___。
緊張してビクビクしてた僕をリラックスさせてくれて、抱っこするのも全然嫌がらずに優しい声で『嬉しいよ』って背中をポンポンって……。
そう言えば『締切がある』からって家に来てくれって言われてたはず___。
あれ?締切は?
「あ、あの……し、締切……。」
「ん?大丈夫。ちゃんと完成させて編集者に渡したから。」
「ぼ、僕……邪魔しちゃったんじゃ……。」
「ううん。おかげで捗ったよ♡」
犬飼さんの逞しい胸に顔が埋もれている僕は、心臓の音とテノールな犬飼さんの甘い声に心ごと解されて力が抜けていった。そして、僕は自分の腕を犬飼さんの背中に回していた。
「亮介は……わざとなのか?」
「えっ?」
犬飼さんのホールドが少し緩み、ほんのちょっとだけ体を動かせるようになった僕は顔を上げた。
すると、優しい顔で僕を見つめる犬飼さんがいた。
「俺は__。」
大きな手が僕の頬を優しく撫でて___。触れるだけの甘いキスが降ってきた。
「亮介が好きだよ?」
優しい目が返事を求めていた。甘いチョコレート色の瞳が僕の心の奥を見ていた。
多分、僕より色んな事を知ってるこの人には__バレちゃってるかな。
初めて犬飼守の小説を読んだ時、どうして僕の気持ちが分かるんだろうって不思議だった。それくらい心のど真ん中を撃ち抜かれて、しばらく他の何も手に付かない時期が続いた。
しょっちゅうボーッとして、学校では先生に叱られ、家でも母親に小言を言われていた。
それでも僕は犬飼守の事ばかり考え続けていた。純文学の犬飼守だけでなく、ペンネームを変えて書いているものまで全て、出版されていないものも図書館で探して、それこそ穴が空くほど読み漁った。もちろん、置いていない官能小説も___。
「僕は……。」
犬飼先生の背中に回していた腕に力を入れた。しがみついていないとどこかに行ってしまいそうで……。
「僕も……ずっと好きでした。犬飼さんに会う前からずっと……。」
◎◯◎
どうしよう……。自分が犬飼さんに触れられて、嬉しいって思うなんて……。
僕の告白の直後から、犬飼さんのキスの雨が降り続いていた。
額にかかる髪を撫で上げて、剥き出しのおでこに触れるだけのキス。
恥ずかしくて瞑る僕の瞼にも、両の頬にも、唇にも___。
大きくて優しい手に両頬を包まれて、甘い声が僕を呼んだ。
「亮介?俺を見てよ……。」
恐る恐る目を開けると、本当に嬉しそうに笑う犬飼さんがいた。チョコレート色の瞳が甘くて甘くて蕩けそうに僕を見ていた。
「本当に嬉しいんだ。亮介が俺の腕の中にいるって事が……。」
こんなに優しい目で見つめられた事がなかった僕は、このまま溶けてなくなっちゃうんじゃないかと思った。そしたら今度は本当に僕を蕩けさせる言葉が、吐息とともに僕の耳に流し込まれた。
「亮介を全部もらっていい?」
「……あ、あげたいけど……どうしたらいいの…?」
「も~……怖かったら、目、瞑ってて?」
@@@
首筋を這う唇と舌の感触。鎖骨に下りてきた唇がジュッと力を込めて肌を吸い、チリっとした痛みを僕に与えた。
「ごめん……。こんな事するつもりじゃなかったんだけど……。」
跡が付いちゃったね?と徴を指で丸くなぞる。その指先が熱を持っているような気がして、僕は体がふるっと震えた。
「亮介……怖い?」
怖くないって言ったら嘘になる。でも、ここで歩みを止めるつもりも無かった。
だから、僕は犬飼さんにしがみついた。
「好き」
一瞬、犬飼さんの動きが止まった。どうしたんだろう?と不思議に思って犬飼さんを見ると、顔が真っ赤になっていた。
「亮介。最後までするつもりじゃなかったんだけど……。」
「えっ?ま、待って!」
「だぁめ。痛くないようにするからね♡」
そこから僕は犬飼さんの技術に翻弄されることになる___。
そして……。
「えっ?どこ?」
僕の部屋じゃないし、ベッドもこんなフカフカじゃない。それに、自分のじゃない寝息がすぐそばで聞こえる……。
「えっ?犬飼さん?」
上半身裸で、下は……穿いてる。
あれ?それに、僕……。こんなパジャマ持ってない。膝まで隠れるほど長く、それに___袖口が折り返されている。
下は……パンツは穿いてる。
「あれ?着替えた…の…?」
「んん……。まだ早いから……寝てなさい。」
犬飼さんに腕を掴まれ、フカフカのお布団に引きずり込まれた。がっちりと長くて案外筋肉質な腕にホールドされ、全然身動きが取れない。
「あの……ぼ、僕……帰ります……。」
「今日は月曜日だよ?……仕事休みでしょ?」
そんなことまで話したっけ?
焼き鳥屋さんで飲んでて、犬飼さんに家においでと誘われてフラフラと付いてきちゃって……。確か、一緒にいちごとシャンパンを飲んで色んな話をして___。
それから?なんで一緒に寝てる?それに……。
シャンパンにいちごが合いすぎて、止まんなくなってパクパクいちごを食べながらシャンパンをゴクゴク飲んだ。
僕は本当は大学に行きたかった事、でも図書館に犬飼さんが来るのが楽しみだった事、こうして一緒に時間を過ごすのが嬉しいって抱きついて離れなくなった自分___。
緊張してビクビクしてた僕をリラックスさせてくれて、抱っこするのも全然嫌がらずに優しい声で『嬉しいよ』って背中をポンポンって……。
そう言えば『締切がある』からって家に来てくれって言われてたはず___。
あれ?締切は?
「あ、あの……し、締切……。」
「ん?大丈夫。ちゃんと完成させて編集者に渡したから。」
「ぼ、僕……邪魔しちゃったんじゃ……。」
「ううん。おかげで捗ったよ♡」
犬飼さんの逞しい胸に顔が埋もれている僕は、心臓の音とテノールな犬飼さんの甘い声に心ごと解されて力が抜けていった。そして、僕は自分の腕を犬飼さんの背中に回していた。
「亮介は……わざとなのか?」
「えっ?」
犬飼さんのホールドが少し緩み、ほんのちょっとだけ体を動かせるようになった僕は顔を上げた。
すると、優しい顔で僕を見つめる犬飼さんがいた。
「俺は__。」
大きな手が僕の頬を優しく撫でて___。触れるだけの甘いキスが降ってきた。
「亮介が好きだよ?」
優しい目が返事を求めていた。甘いチョコレート色の瞳が僕の心の奥を見ていた。
多分、僕より色んな事を知ってるこの人には__バレちゃってるかな。
初めて犬飼守の小説を読んだ時、どうして僕の気持ちが分かるんだろうって不思議だった。それくらい心のど真ん中を撃ち抜かれて、しばらく他の何も手に付かない時期が続いた。
しょっちゅうボーッとして、学校では先生に叱られ、家でも母親に小言を言われていた。
それでも僕は犬飼守の事ばかり考え続けていた。純文学の犬飼守だけでなく、ペンネームを変えて書いているものまで全て、出版されていないものも図書館で探して、それこそ穴が空くほど読み漁った。もちろん、置いていない官能小説も___。
「僕は……。」
犬飼先生の背中に回していた腕に力を入れた。しがみついていないとどこかに行ってしまいそうで……。
「僕も……ずっと好きでした。犬飼さんに会う前からずっと……。」
◎◯◎
どうしよう……。自分が犬飼さんに触れられて、嬉しいって思うなんて……。
僕の告白の直後から、犬飼さんのキスの雨が降り続いていた。
額にかかる髪を撫で上げて、剥き出しのおでこに触れるだけのキス。
恥ずかしくて瞑る僕の瞼にも、両の頬にも、唇にも___。
大きくて優しい手に両頬を包まれて、甘い声が僕を呼んだ。
「亮介?俺を見てよ……。」
恐る恐る目を開けると、本当に嬉しそうに笑う犬飼さんがいた。チョコレート色の瞳が甘くて甘くて蕩けそうに僕を見ていた。
「本当に嬉しいんだ。亮介が俺の腕の中にいるって事が……。」
こんなに優しい目で見つめられた事がなかった僕は、このまま溶けてなくなっちゃうんじゃないかと思った。そしたら今度は本当に僕を蕩けさせる言葉が、吐息とともに僕の耳に流し込まれた。
「亮介を全部もらっていい?」
「……あ、あげたいけど……どうしたらいいの…?」
「も~……怖かったら、目、瞑ってて?」
@@@
首筋を這う唇と舌の感触。鎖骨に下りてきた唇がジュッと力を込めて肌を吸い、チリっとした痛みを僕に与えた。
「ごめん……。こんな事するつもりじゃなかったんだけど……。」
跡が付いちゃったね?と徴を指で丸くなぞる。その指先が熱を持っているような気がして、僕は体がふるっと震えた。
「亮介……怖い?」
怖くないって言ったら嘘になる。でも、ここで歩みを止めるつもりも無かった。
だから、僕は犬飼さんにしがみついた。
「好き」
一瞬、犬飼さんの動きが止まった。どうしたんだろう?と不思議に思って犬飼さんを見ると、顔が真っ赤になっていた。
「亮介。最後までするつもりじゃなかったんだけど……。」
「えっ?ま、待って!」
「だぁめ。痛くないようにするからね♡」
そこから僕は犬飼さんの技術に翻弄されることになる___。
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