周りから化け物扱いされていた私を救ってくれたのは、狐のお面を付けた長髪の男性でした~つくものみとり~

YUKI

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 何も感じない。
 
 恐怖も。
 憎悪も。
 希望も。


 きっと私はよく笑い、遊び、話す。
 そんな人だった気がする。


 しかし、今は違う。


 怖いやつらに構われないように、顔を前髪で隠し、
 義父から暴力を振るわれないように、部屋の隅で縮こまり、
 義母から文句を言われないようにするために、必死に家事をこなす。


 私は、一生”人”としての人生は歩めないのだろう。



 私は、一般的な家庭に生まれたただの少女だった。
 しかし、ある時事故に巻き込まれ、両親を失い、大きな傷跡も残った。


 そして、事故で臨死体験をしてから奇妙なものが見え始めた。


 おそらく幽霊ーーーという奴だろうか。
 彼らは所かまわず見えるのが分かると襲ってくる。

 ひどいものだと学校でもだ。

 もちろん見えるのは私だけ。
 私は周りから「気持ち悪いやつ」というイメージを持たれた。


 当然だろう。
 何もないところで泣いたり、逃げ出したり、叫び声をあげたり。


 それがきっかけでいじめもうけた。
 そして、引き取り先の家族では……。
 


「おい! 緑、酒!」


 義父の怒号が私を叩き起こす。
 ふらふらとした足つきで、キッチンへと向かい、棚を漁る。


 と、



「は? あんた飯でも漁ろうって思ってんの?」


 一番会いたくない人に会った。
 義母だ。

 私は彼女からご飯をもらったことが指で数えれるくらいしかない。


 そのため、引き取られてからはずっと自分で自分の飯を彼女に見つからないうちに作り食べていた。


 こうしてキッチンで何かしているのを見つかるとすぐに突っかかってくるのだ。



「あ、……、いや、おさーーー」

「緑!てめぇは酒も持ってこれねぇのか!」



 義母に説明をしようとした瞬間、義父の怒号が再び響く。



「あぁ、あの人に持ってくのね」



 義母は私がキッチンにいる理由が分かったのか、私から視線を外し身だしなみをきらびやかな装飾で整えた後どこかに行ってしまった。


 きっと浮気相手のとこだろう。


 不機嫌な顔で待つ義父に酒を届けた後、つまみを要求されたのでつまみを作りながら、自分のご飯も作る。



 きっと私の一生はこれで終わる。
 そう思っていたーーー。
 この日までは。



「失礼。 ここに朝倉 緑様はいらっしゃいますか?」


「え、えぇ、いますが……。 もしかしてあの娘が何かご迷惑を!?」



 義父が仕事に出かけ、義母が家にいる時だった。
 その男が来たのは。


 男漁りが趣味の義母が、甘ったるい声を出していて対応をしている。


 艶やかな黒色の長髪。
 これでもかと詰め込んだイケメンの集合体のようなモノ。
 しかし、目元は狐の面で隠している。



「申し訳ございません。あの娘少々おかしい子でして……」


「おかしい……? 別に私は何も被害など受けてませんよ、ただーーー」



 男は、私が居間の隙間から見ていることに気が付いたのか、「フッ」と笑う。



「緑様をーーー買おうかと」




 そこからは面白いことに話がトントン拍子に進んでいった。
 君がわるいほど、家を出るまでの3日間は、義母と義父にやさしくされた。


 そして、家を出るときが来た。


 高校からは学校に行かなくなったので、約2年間ぶりの外。
 青空のにおいを胸いっぱいに吸っていると、あの男が近づいてきた。



「ごきげんよう、緑さん。 私は狐井。 あなたを買ったものです」


 この時までは思いもしなかった。
 この男にこの後さんざんな目に合わされることになろうとは……。
 
 

 
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