黒ギャルとパパ活始めたら人生変わった

Hatton

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SS 猫カフェ(前編)

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「はあえあ~」

「…よかったね」

目の前の光景に人生で一度も発したことない声を出す俺。

隣にいる黒ギャルJKが、やや引き気味に見えるのはきっと気のせいだ。

店内は広々としていて、ゆったり座れそうなソファ席がいくつかあり、奥には円形のワーキング用と思われる大きなテーブルある。

そして、いたるところに猫、猫、猫、猫。

丸まって昼寝していたり、店の真ん中にあるキャットタワーで遊んでいたりと、それぞれが思い思い気ままに過ごしていた。

かわえ…

「岩城さん、そんな猫好きだったの?」

「若い頃はそうでもなかったんだけどね…なんていうか…毎晩スマホで子猫の動画を漁って日々を乗り切ってたから…」

「ああ、そっか、なんかごめんね」

社畜時代の闇のを身に纏う俺の背を、今日もフレッシュな制服姿の杏子がポンポンと叩いた。

そうこうしていると、ベージュのエプロンをつけた女性店員がやってきた。

「いらっしゃいませ、2名様でしょうか?」

「はい」

「当店は初めてのご利用でしょうか?」

俺たちが頷くと、店員さんはシステムを説明した。

10分ごとに200円の席料と、別途で400円程度のドリンクバーが必要であること。

猫ちゃんと遊ぶのはもちろんアリだが、嫌がってるのに無理矢理触るような真似はダメで、安全のため抱っこも基本はNGだそう。

なんかキャバクラみたいなシステムだなと、第一印象で感じたのだが、それはたぶん俺の心が汚れているだけだ。

席は自由らしいので、とりあえず、奥側のソファ席を選んだ。前のテーブルに真っ白なアメリカンショートヘアの子が鎮座していたからだ。

目の前にやってきた俺を、品定めするようにジッと見つめる白猫。体つきはなかなかのわがままボディだが、そこがまたいい。

「お、お触りしてよろしいでしょうか?」

彼?彼女?に尋ねつつも、おそるおそる首回りに手を伸ばし、優しくマッサージするように撫でた。

「苦しゅうない」

とでも言いたげに、白猫は目を細めた。

「わりゃわりゃわりゃあ、可愛いなあ、え?そんなにふくふくになって~」

やや理性のタガが外れた俺は、両手で彼?彼女?を存分に愛でた。

猫は気に入ったのか、机の上で横たわり、マッサージを楽しむかのように身を委ねる。

「楽しそうでなにより」

杏子がドリンクバーのカップを二つ持って戻ってきた。

「みなよ杏子、この子オッドアイだよ、可愛いよな?」

「うんうん、そうだねえ」

杏子はアルカイックな微笑を浮かべながら、俺にカップを手渡した。

対面に椅子がないので、彼女は俺の隣に腰をおろし、メニューを数十秒眺めたところで、手を挙げて店員を呼んだ。

その間、猫には見向きもしていない。もしかしたら、動物にはそこまでまだ関心がないのかも。

なにせ今日、猫カフェに行きたいと言い出したのは俺の方なわけだし。

前から興味はあったが、「男ひとりで入る勇気が…」と日和る俺に、杏子は快く付き添ってくれたのだ。

さっきシステムを説明してくれた店員が席まできた。

「えっと、この肉球パンケーキと、ポテトください」

「はい、かしこまりました」

「岩城さんは?なんかいる?」

杏子に水を向けられ「俺は別にいいかな」と続けようとしたところ、注文をとっていた店員が蓋を被せるように言った。

「あら?ニイナちゃん、ご機嫌みたいですね~」

「あ、ニイナっていうんですかこの子?」

「はい、うちでも重鎮の子で、好みにうるさいので、なかなかこんなにリラックスしないんですけどね~」

机の上の白猫は溶けるように寝そべり、俺に撫でられていた。たしかにリラックスしているように見える。

「ほ、ほんとうですか!?」

「はい!きっとお客様と相性が良いんだと思いますよー」

この子は、ニイナは、俺に懐いている、俺だけに懐いている(そこまで言ってない)…なんだろう、この気持ち。

「ちなみにそろそろオヤツの時間なんですけど、あげてみますか?有料なんですけど…」

「ぜひ!!」

「あー、でもニイナちゃんグルメなんでー、普通のやつだとガッカリしちゃうんですよねえ」

「いちばん高いやつでお願いします!」

「ありがとうございまあす;」

こうしてやり手の店員は去っていった。

杏子は呆れと哀れみの入り混じった視線を俺に向ける。

「岩城さんさあ…ぜったいに自腹でキャバとかガルバとか行かないでね」

やっぱりキャバクラとよく似た場所なのかもしれん。



俺がニイナにオヤツをあげ、我ながらキモすぎる嬌声をあげていたとき

「ん?」

「お?」

小柄な三毛猫がいつの間にか、俺と杏子の間にやってきていた。俺には見向きもせず、ジッと杏子を見つめている。

そこでちょうど店員が席にやってきて

「お待たせしましたー、肉球ホットケーキです」

彼女のかけ声に合わせるように、三毛猫はピョンと軽く飛んで、杏子の膝に着地した。

「あら?」

「あ、すんません、抱っこはダメでしたっけ?」

「いえ、猫ちゃんの方から乗ってきたなら大丈夫ですよ」

あくまでも猫ファーストということらしい。

「それにしても、驚きました…ロクくんはあんまり自分から人に近寄らない子なのに…」

店員は目を丸くして、本当に驚いているようだ。

対比でさっきの俺への言は、ただのリップサービスだったと判明してしまったが、それは置いておこう。

「はあ」

杏子は戸惑いながらも、膝にのってもなお彼女の顔を見つめるロクくんの首回りを優しく撫でた。

「なー」

ロクくんは気持ち良さげに目を細め、甘えた声で鳴く。

「…」

杏子はなぜか、眉間に皺をよせ、口元をギュッと締めた。やっぱり苦手なのか?

それはそれとして、なんなんだよ…俺はこんだけ貢いでもただの専属マッサージ係どまりだってのにさ…

醜い嫉妬の憎悪に駆られる俺を尻目に、ロクくんはますます杏子に甘えた。

そして前脚が彼女の豊かな双丘に伸びた。

「こらこら、やめい」

ボール遊びをするように、ロクくんは杏子の胸にちょっかいをかけ始める。

弄ばれるソレは、ムニュんムギュんと形を変え、そのたしかな弾力性が視認できた。

よっぽど遊び甲斐があるのか、ロクくんは引き剥がそうとする杏子の手を避け、頑なに胸に脚を伸ばす。

くそ…羨ましい…

いつの間にか、嫉妬の対象が横にズレでいた。
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