2 / 18
第1章 family
第1話 狂う
しおりを挟む
「…うるさいうるさいうるさいうるさい!!」
刃物で切り裂かれた母親の口を、さらに切り裂く少女…。少女の母は、数十分前から事切れていた。
だが、少女は止まらない…
白濱ひなおは、迷っていた。
家の中に入って手紙を渡そうか、否か。そして、決意して鍵穴に鍵を差し込み…回した…。
カチャっという音で、鍵が開いたことを確認すると、扉の取っ手に手をかけ、ゆっくり押した。
扉は案外、簡単に開いた。ひなおは前を向いて、少し辺りを見渡した。そして、
「…よかった。」
と、小さく呟いた。ひなおは、なるべく音を立てないように靴を脱いだ。
「あら…帰ったのね。」
ひなおはびっくりして、声のした方を見た。
「…お母さん…。」
そう呼ばれた声の主…ひなおの母親は、ゆっくりとした足取りで階段を降りてきた。
ひなおは、進路希望の手紙を持っていた右手を、そっと、自分の後ろに回し、手紙を隠した。
「ただいま…。」
「おかえり。…で?後ろに隠した手紙は何?」
母に言われて、ひなおの体は強ばった。
「手紙って…なんの……」
「さっき、カサって音がしたわよ?…それに、右手が見えてない。」
ひなおの母は、地獄耳で鋭い人だ。そんな小さな音まで聞き取り、細かいことまでよく見ている…。まるで探偵だ。
「早く出しなさい。」
母にそう言われ、ひなおは嫌々ながらも手紙を渡した。
「…進路希望。そう言えば、受験生だったわね。高校は白鶴高校ね。」
「…え?」
ひなおは耳を疑った。母がサラッと言った白鶴高校は、ひなおが目指しているところではない…。母の目指していた高校だ。
「私そこに行きたいんじゃ…」
「なにか文句ある?ないわよね。…じゃ、頑張って。」
母に言葉を遮られ、ひなおは俯き、肩を震わせながら立ち尽くした。
怖くなって泣いているのではない。たった今、自分の障害になった母に、怒っているのだ。
普段なら話を適当に流す母。でも、今日は違った。
今日は…ひなおを苛立たせた。
_思いどおりにならないなら…消せばいい。_
刃物で切り裂かれた母親の口を、さらに切り裂く少女…。少女の母は、数十分前から事切れていた。
だが、少女は止まらない…
白濱ひなおは、迷っていた。
家の中に入って手紙を渡そうか、否か。そして、決意して鍵穴に鍵を差し込み…回した…。
カチャっという音で、鍵が開いたことを確認すると、扉の取っ手に手をかけ、ゆっくり押した。
扉は案外、簡単に開いた。ひなおは前を向いて、少し辺りを見渡した。そして、
「…よかった。」
と、小さく呟いた。ひなおは、なるべく音を立てないように靴を脱いだ。
「あら…帰ったのね。」
ひなおはびっくりして、声のした方を見た。
「…お母さん…。」
そう呼ばれた声の主…ひなおの母親は、ゆっくりとした足取りで階段を降りてきた。
ひなおは、進路希望の手紙を持っていた右手を、そっと、自分の後ろに回し、手紙を隠した。
「ただいま…。」
「おかえり。…で?後ろに隠した手紙は何?」
母に言われて、ひなおの体は強ばった。
「手紙って…なんの……」
「さっき、カサって音がしたわよ?…それに、右手が見えてない。」
ひなおの母は、地獄耳で鋭い人だ。そんな小さな音まで聞き取り、細かいことまでよく見ている…。まるで探偵だ。
「早く出しなさい。」
母にそう言われ、ひなおは嫌々ながらも手紙を渡した。
「…進路希望。そう言えば、受験生だったわね。高校は白鶴高校ね。」
「…え?」
ひなおは耳を疑った。母がサラッと言った白鶴高校は、ひなおが目指しているところではない…。母の目指していた高校だ。
「私そこに行きたいんじゃ…」
「なにか文句ある?ないわよね。…じゃ、頑張って。」
母に言葉を遮られ、ひなおは俯き、肩を震わせながら立ち尽くした。
怖くなって泣いているのではない。たった今、自分の障害になった母に、怒っているのだ。
普段なら話を適当に流す母。でも、今日は違った。
今日は…ひなおを苛立たせた。
_思いどおりにならないなら…消せばいい。_
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
裏切りの代償
中岡 始
キャラ文芸
かつて夫と共に立ち上げたベンチャー企業「ネクサスラボ」。奏は結婚を機に経営の第一線を退き、専業主婦として家庭を支えてきた。しかし、平穏だった生活は夫・尚紀の裏切りによって一変する。彼の部下であり不倫相手の優美が、会社を混乱に陥れつつあったのだ。
尚紀の冷たい態度と優美の挑発に苦しむ中、奏は再び経営者としての力を取り戻す決意をする。裏切りの証拠を集め、かつての仲間や信頼できる協力者たちと連携しながら、会社を立て直すための計画を進める奏。だが、それは尚紀と優美の野望を徹底的に打ち砕く覚悟でもあった。
取締役会での対決、揺れる社内外の信頼、そして壊れた夫婦の絆の果てに待つのは――。
自分の誇りと未来を取り戻すため、すべてを賭けて挑む奏の闘い。復讐の果てに見える新たな希望と、繊細な人間ドラマが交錯する物語がここに。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる