1 / 1
水に浮かぶ月を蹴る
しおりを挟む
明日がどうにも寂しくて、来てほしくなくて、そんなことばっかり願ってて
手元にあった金魚鉢を目的もなく指先でいじっている
そんなとある黄昏時、暗夜浮かぶ月を蹴るために私は海辺へと裸足で出かけた
波風落ち着く夕凪の中ただ1人荒れた感情を抑え込む私と強く抱いた金魚鉢
中の金魚はやけに落ち着いていて
それが私の神経を更に逆撫でしてくる
あぁ腹が立つ
世界が夜暗に包まれだした頃、今にも爆ぜそうなくらいに満ちた月が顔を覗かせた
悲しいくらいに世界は無音で様相を変えていく
何も変わらないように、ただひたすらに表情を変えず
姿だけが変わっていく
何が悲しいのか
何がさみしいのか
私にはいまだに分からない
音が無いのが悲しいのだろうか
私の手の及ばぬところで世界が変わるのが悲しいのだろうか
私は何もできずただこの享受した生を生き抜くしか無いことが悲しいのだろうか
金魚ですら私より楽しそうに揺蕩っていることがさみしいのだろうか
ひたすらに気温を奪われていくこの夜がさみしいのだろうか
ただ、ただ私の心がさみしいのだろうか
私にはもうわからない
かつて彼が言った 死んだら姿を変えてまた会いに来るね
前の彼と変わってしまった彼の姿を分かれないのが悲しいのだろうか
変わってしまった彼の姿が分からないからさみしいのだろうか
水に浮かぶ月の上に金魚鉢を重ねて置く
私は一息に水に浮かぶ月を蹴った
遠くに飛んでいく私の月
遠くに飛んだ私だけの月
中の水も花も水草もすべて溢れ
金魚はすでに見当たらなかった
だから私は金魚鉢に海水と花だけを入れて持ち帰った
何も特徴のなかった花は赤黒く染まり
彼氏の座右の銘を思い出した
『徒花の待ち合わせ』
「死んだら地獄で待ち合わせ」
手元にあった金魚鉢を目的もなく指先でいじっている
そんなとある黄昏時、暗夜浮かぶ月を蹴るために私は海辺へと裸足で出かけた
波風落ち着く夕凪の中ただ1人荒れた感情を抑え込む私と強く抱いた金魚鉢
中の金魚はやけに落ち着いていて
それが私の神経を更に逆撫でしてくる
あぁ腹が立つ
世界が夜暗に包まれだした頃、今にも爆ぜそうなくらいに満ちた月が顔を覗かせた
悲しいくらいに世界は無音で様相を変えていく
何も変わらないように、ただひたすらに表情を変えず
姿だけが変わっていく
何が悲しいのか
何がさみしいのか
私にはいまだに分からない
音が無いのが悲しいのだろうか
私の手の及ばぬところで世界が変わるのが悲しいのだろうか
私は何もできずただこの享受した生を生き抜くしか無いことが悲しいのだろうか
金魚ですら私より楽しそうに揺蕩っていることがさみしいのだろうか
ひたすらに気温を奪われていくこの夜がさみしいのだろうか
ただ、ただ私の心がさみしいのだろうか
私にはもうわからない
かつて彼が言った 死んだら姿を変えてまた会いに来るね
前の彼と変わってしまった彼の姿を分かれないのが悲しいのだろうか
変わってしまった彼の姿が分からないからさみしいのだろうか
水に浮かぶ月の上に金魚鉢を重ねて置く
私は一息に水に浮かぶ月を蹴った
遠くに飛んでいく私の月
遠くに飛んだ私だけの月
中の水も花も水草もすべて溢れ
金魚はすでに見当たらなかった
だから私は金魚鉢に海水と花だけを入れて持ち帰った
何も特徴のなかった花は赤黒く染まり
彼氏の座右の銘を思い出した
『徒花の待ち合わせ』
「死んだら地獄で待ち合わせ」
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる