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番外編
バレンタイン
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クローズ作業を終えてフロアに戻ろうとしたら応接室の扉が開き、明かりがついていたので中を覗いてみる。
窓が開いており、カーテンが靡いてよく見えなかったが口を動かしている那由多が居た。
「お疲れ様。那由多、何食べてるの?」
「んー?お客さんからもらったポッ○ー」
応接室の机に山のように置かれているチョコレートの横を通って、那由多の傍まで歩いていく。
チョコレートのお菓子が入った四角い箱が目に入った。
不意に悪戯な思考が浮かんで那由多を覗き込むように質問を投げかける。
「今日はなんの日か知ってる?」
「知ってるも何も、お前もいっぱいもらってただろ……」
「貰ってないよ?」
「は?」
「那由多からは貰ってないよ」
「────ッ!!!?……用意してねぇよ」
ニッコリといつもの笑みを浮かべて事実を告げると那由多は驚いたように目を見開いた。
そして直ぐに少しだけ罰が悪そうに視線を逸らしながら言葉を綴る。
用意されてないことなんて百も承知なので俺は那由多が持っていたチョコ菓子の箱を指差す。
「それでいいよ」
「は?これでいいのかよ。貰ったやつだぞ?」
「うん。1本貰うね」
那由多がその箱の開いている面を俺の方へと向けてくれる。
既に袋が開いているものの中から1本取り出すとチョコでコーティングされている部分の先を那由多に向ける。
「はい、那由多、あーんして?」
「あ?……あ、お、……ん!」
“あーん”と言ってくれるのを待つことはせず那由多の魅力的な唇が開いた瞬間に、その口の中へとチョコ菓子の先を突っ込む。
自然と咥えるように口を閉じるとすかさず身を寄せて、言葉を足していく。
「顔背けたり、途中で折ったり、口離したら罰ゲームだからね」
「たつ……!!!」
某お菓子ゲームのルールを早口でまくし立て、逆側のビスケット部分からパリッと音を立てて食いついて行く。
慌てて後ろに体を引こうとする那由多の後頭部に手を置いて結んである髪を避けながら掴む。
「ん!…ん~~~ッ♡♡」
勿論ギリギリでなんて止まるはずもなく、最初から目的としていた唇を奪う。
自分の口内で齧った分は早急に嚥下し、ビスケットでざらついた舌を刺しこむと、那由多の咥内に残ったチョコ菓子をゆったりと舌で転がして那由多の舌に当てる。
咥内体温でチョコが溶けて甘い味わいが舌を満たしていく。
何度も舌を絡め吸い上げて、くちゅッ…と卑猥な音を立てながら深い口づけを続けていると那由多の呼吸が引き攣ってくる。
フニャフニャになったビスケットを舌で拾い上げると同時に唇を離し、那由多に見せつけるように咀嚼した。
「は…、ごちそうさま。那由多の舌、チョコ味で美味しかったよ」
「っ、はぁ……、お前のもめっちゃ甘かった…し…な」
腕で口許を覆いながら恥ずかしそうに告げられた言葉に一度目を見開いたあと自然と細くなり笑みを湛えた。
happy valentine's day
窓が開いており、カーテンが靡いてよく見えなかったが口を動かしている那由多が居た。
「お疲れ様。那由多、何食べてるの?」
「んー?お客さんからもらったポッ○ー」
応接室の机に山のように置かれているチョコレートの横を通って、那由多の傍まで歩いていく。
チョコレートのお菓子が入った四角い箱が目に入った。
不意に悪戯な思考が浮かんで那由多を覗き込むように質問を投げかける。
「今日はなんの日か知ってる?」
「知ってるも何も、お前もいっぱいもらってただろ……」
「貰ってないよ?」
「は?」
「那由多からは貰ってないよ」
「────ッ!!!?……用意してねぇよ」
ニッコリといつもの笑みを浮かべて事実を告げると那由多は驚いたように目を見開いた。
そして直ぐに少しだけ罰が悪そうに視線を逸らしながら言葉を綴る。
用意されてないことなんて百も承知なので俺は那由多が持っていたチョコ菓子の箱を指差す。
「それでいいよ」
「は?これでいいのかよ。貰ったやつだぞ?」
「うん。1本貰うね」
那由多がその箱の開いている面を俺の方へと向けてくれる。
既に袋が開いているものの中から1本取り出すとチョコでコーティングされている部分の先を那由多に向ける。
「はい、那由多、あーんして?」
「あ?……あ、お、……ん!」
“あーん”と言ってくれるのを待つことはせず那由多の魅力的な唇が開いた瞬間に、その口の中へとチョコ菓子の先を突っ込む。
自然と咥えるように口を閉じるとすかさず身を寄せて、言葉を足していく。
「顔背けたり、途中で折ったり、口離したら罰ゲームだからね」
「たつ……!!!」
某お菓子ゲームのルールを早口でまくし立て、逆側のビスケット部分からパリッと音を立てて食いついて行く。
慌てて後ろに体を引こうとする那由多の後頭部に手を置いて結んである髪を避けながら掴む。
「ん!…ん~~~ッ♡♡」
勿論ギリギリでなんて止まるはずもなく、最初から目的としていた唇を奪う。
自分の口内で齧った分は早急に嚥下し、ビスケットでざらついた舌を刺しこむと、那由多の咥内に残ったチョコ菓子をゆったりと舌で転がして那由多の舌に当てる。
咥内体温でチョコが溶けて甘い味わいが舌を満たしていく。
何度も舌を絡め吸い上げて、くちゅッ…と卑猥な音を立てながら深い口づけを続けていると那由多の呼吸が引き攣ってくる。
フニャフニャになったビスケットを舌で拾い上げると同時に唇を離し、那由多に見せつけるように咀嚼した。
「は…、ごちそうさま。那由多の舌、チョコ味で美味しかったよ」
「っ、はぁ……、お前のもめっちゃ甘かった…し…な」
腕で口許を覆いながら恥ずかしそうに告げられた言葉に一度目を見開いたあと自然と細くなり笑みを湛えた。
happy valentine's day
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