イケメン幼馴染の執着愛が重すぎる

さくらんこ

文字の大きさ
68 / 88
過去編(三角関係・攻めが片想いで鬼畜なので注意)

歪んだ感情②

しおりを挟む
【千星那由多】

淫乱と言われたが言い返すことができなかった。
勃起していることは事実だったからだ。
とにかくこれでもうやめてくれるだろう。
後はセックスが終わるまで待てばいいだけだ。

また、俺はこいつから逃げることができなかったんだ。
顔をあげれずにずっとシーツへと顔を埋めていると、勃起していたペニスを撫でられる。

「ひッ…ぅ…!!」

それだけでもゾクゾクと身体が震えた。
本当に俺はどうしてしまったんだろうか。
もう、身体は完全にこの後の事を期待してしまっている。

唇を噛みしめその快感に耐えていると、巽は俺の両手に何かを嵌めだした。
手を丸められ無理矢理押しこめられると、締め付けられてかなり痛い。

「な、……に…?」

これはどこかで見たことがある。
確か今日馬術部で馬の蹄に嵌められていたような気がする。
それを確信した途端に、嫌な予感で胸が騒ぎ始める。
なんでこんなものを付ける必要があるんだ。

「おまえ…なにしようと……っ」

その時携帯が鳴り、心臓が跳ねた。
着信音でわかってしまったが、これはメールではなく電話で…しかも相手は晴生だ。
なんでこのタイミングにかかってくるんだ。

そして鳴り止まない携帯をポケットから取り上げられると、巽が俺の耳元で囁いた言葉に目を見開いた。

「那由多、オナニーしてるって、日当瀬に言って?」

そんなことできるわけない…と目で訴えたが、巽は笑っているだけだった。
俺の小さな抵抗も空しく、携帯から晴生の声が聞こえた。

『千星さん?』

その声を聞いて泣きそうになったが、喉から漏れそうになる嗚咽をぐっと我慢する。
何度も俺の声を呼んでくるので、小さく返事を返した。

「…はい……」

『あ、…こんな遅くにすいません…今大丈夫ですか?』

「………」

『千星さん?』

「……い……」

言えない。
やっぱり言るわけがない。
そもそもオナニーじゃないんだ、今してることは。

押し黙っていると、巽は俺の背筋に指を這わせてきた。

「ひっ……!!」

このまま黙っていてもどうせ何かしてくるにちがい無いんだ。
涙が目尻から零れ落ちた。
引き攣るような声を整えるように息を飲んだ後、小さく電話の向こうの晴生へと言葉をかけた。

「いっ…い…今……オナニー……してる…っ……」

顔が青ざめていくのがわかった。
助けを求めて、泣き叫びたくてまたらない。
それなのに、俺の下半身は熱を失うことは無かった。

    

【日当瀬晴生】

こんな夜遅くに電話するのは気が引けたが、俺はうっかり呑み所「あまや」のエプロンを持ってきちまった。
天夜に電話するのは嫌なので千星さんにどうしたらいいか聞こうと思い電話した。
勿論、それは口実で声が聞きたいと言うのも有ったが。

数コール目で直ぐに千星さんは電話に出られた。
しかし、様子がちょっとおかしい。
あちらからの声が殆ど聞こえてこない。
俺は挨拶を済ませてから要件を伝える為に彼の名前を呼んだ。

「千星さん?」

矢張り返答は無い。
もしかしたら、電波が悪いのかもしれないと一度確認してみたが、こっちは五本立っていた。
先に用件を伝えた方がいいのだろうか?
もしかして、寝てらっしゃったかな…。

「あの、俺、エプロン持って帰ってきてしま―――」

『いっ…い…今……オナニー……してる…っ……』

電話口から聞こえた言葉に俺は制止する。
今、なんて聞こえた。
た、確かに聞こえたよな。
お、オナニーって。
え、千星さん、今自慰してんのか!?
俺ってすげー邪魔してんじゃねーのか…。
いや、そんな問題ではない、オナニーの最中でも彼は電話に出てくれたってことだ。
ここは、男らしく、相手をしてあげなければならない。

俺は思わず口元を押さえた、それからゆっくりと唇を開いた。
大丈夫、テレフォンセックスだって知識くらいはある。

「破廉恥ですね、千星さん。今、どこ触ってたんですか?天夜のとこ、泊まってんじゃないんですか?」

なるべく冷静を装った声を受話器へと落とした。
なんだか、俺の股間も熱くなってきそうだ。

   

【千星那由多】

正直、俺が「オナニーしている」だなんて言えば、晴生は慌てて携帯を切ってくれるかと思っていたが、予想は完璧に外れてしまった。
そのうえ言葉で攻め立ててこられたので、下半身が反応しゾクリと身体が震えてしまう。
受話器から聞こえてくる晴生の声はいつもと同じなはずなのに、かなりいやらしかった。

どこを触っているのかと聞かれたが、手はこんな状態だし、巽の家に泊まっていることもバレているので、どう言えばいいのかと言葉を探す。

「……ち、ちんこ触って……るッ……た、巽んち、だけど…あいつ風呂入って……て……―――んッ!!!」

俯きながら喋っていたのが気に食わなかったのか、急に巽に髪を掴み顔をあげられると小さい叫びがあがった。
このままなにかされるのかと思ったが、腹の上に枕を入れられただけだった。

もしかして、自分で枕にペニスを擦り付けろってことか?
枕に向かって腰を振っている自分を想像するとかなり惨めで間抜けだったが、促されるようにまた陰嚢を足で擦られる。
こんなことをされているとは晴生は知る由もない。

『それじゃ、天夜に見つからないように、はやく済ませましょうね。』

その本人は後ろにいると言うのに。
けれど、こんな状態で晴生の声を聞くと興奮してしまう自分がいた。
ペニスは完全に勃起し、枕に埋もれているのがわかる。

だめだ、今すぐに扱きたい。擦り付けたい。
晴生に言葉で攻められながら、腰を振りたい。

「ぅ……………ッ」

気づへば、俺はゆっくりとペニスを枕に擦り付けていた。

「う……ん……ッ……ぁ…ッ…………はっ…」

ダメだ。ダメだってわかってんのに止められない。
枕に深くペニスを抑えつけながら、惨めに腰を振り続ける。
物凄く気持ちがいい。

『こっちまで、すごい音聞こえてきますよ?ほら、もっとはやく。』

その声に身体がビクリと跳ねた。
ゆっくりだった腰の動きが早くなり、徐に枕でペニスを扱いて行く。
室内に俺の喘ぎと布を擦る音だけが響いていた。
後ろの巽のことは既に頭になかった。
脳内が熱を持って身体が熱くなっていく。

「はる……きッ……!きもち……っい……」

受話器の向こうの晴生を想像した。
あいつの身体を、あいつのペニスを。
会いたい。抱かれたい。キスをしたい。

『…?千星さん、腰振ってます?本当にエッチですね。』

更に言葉を投げかけられると、アナルがきゅっと締まったのが分かった。
やばい、物凄い興奮してる。

「そんなはずかし……ッ…言うな……っ」

身体をのけ反らせながら、晴生に抱かれていることを想像し、必死で腰を振り続けた。
そろそろ限界が近くなり、息がどんどん荒くなっていき額から汗が噴き出てくる。

「ン……ッ、はる…はるき……っ……イっちゃう、…かも……ッ」

もう俺には受話器の向こうの晴生しか見えていなかった。

   

【天夜巽】

気に食わない。
初めは俺の事を気にしていたようだが今や那由多は俺をそっちのけで日当瀬とテレフォンセックスをしている。
もう、これ以上那由多にきっちり言葉を言わせるつもりは無かった。
行為途中で俺は那由多に口枷をする。
口枷と言っても、馬用のハミと言うものだった。
細長い一本の棒が那由多の口に収まる。
猿轡の棒バージョンの様なものだ。
その、両サイドには丸いリングがついてるので本当の馬と同じように手綱を作って行く。

「もういいよ。…本当、直ぐにノリノリになっちゃうんだから。
ほら、さっき僕は九まで数えちゃったからね。後、九回。
ちなみに馬の言葉以外言ったら追加だからね。」

那由多に聞こえる様に耳元で告げる。
それから、携帯のスピーカを消し、こちらからの音の感度を悪い設定に変えて置く。
そうしないと今から那由多が叫ぶ声がそのまま相手に伝わってしまうからだ。
スピーカ機能を消しても日当瀬の声は少し聞こえていた。

「舌噛む心配は無いからね、精々楽しんでよ、お馬さんごっこ。」

机に拘束していた手錠を外す。
手綱をグッと握ると那由多の背が撓る。
ペニスが枕に付かない位まで背中を曲げさせた。

俺は乗馬用の鞭を手に取った。
これはあの馬の硬質な皮膚の上から叩いても痛みを与えるものだ。
それを人間に使うとどうなるか。
言わなくても分かる結果だ。
俺はゆっくりと手を振り上げた。
勿論、多少は加減してやるつもりだ。
それから、徐に那由多の尻に向かって鞭を振り下ろす。
鈍い音が部屋に響きわったった、少し力を入れすぎたかもしれない。
それほど日当瀬と那由多の行為は俺の心に闇を齎した。

それから、那由多が叫ぼうが喚こうが九回、一定のリズムで打ち付けた。

   

【千星那由多】

イきそうになった瞬間だった。
急に口に何かを付けられてしまい、俺は我に返った。

「ふっ…、ぅぅう―――!!!??」

訳が分からずに混乱していると、耳元で囁かれた言葉に血の気が引いていくのがわかった。
晴生が聞いているこの状態で尻を叩くというのだろうか。
……ありえない、いやだ、いやだ、やめてくれ。
汗がどっと噴き出すと、身体が硬直していく。

手錠を外され手綱のようなものを引っ張られると、口ごと顔を引き上げられ、身体が痛いほどに反り上がった。
晴生の声が遠くなる。
何かを言っている様だったがまったく届いてこない。

「ふッ…!はめほッ……!!はッ…はめ…ッ」

顔を横に振り抵抗したが聞き入れてくれるはずもなく、鈍い音と共に尻に激しい痛みが走った。

「―――――――ッッッ!!!!」

皮膚が焼かれたのかと思うぐらいの痛みだった。
先ほどの物とは比にならない音と、激痛で息が引き攣り意識が一瞬飛びそうになる。
一定のリズムで叩かれる度に、身体は大きく反り上がり、悲痛な叫びが上がった。
馬のような声などあげれるわけもない。
痛い、ただただそれだけの感覚しか伝わってこない。

「ふあ゛ッはべッ…!!!――――んあ゛ッッッ!!!!」

閉じることのできない口からだらだらと唾液が流れ落ちた。
痛みに痛みが重なり、叩かれた尻は電気が走っているかのように痺れる。
晴生に声が聞こえてるかもしれないのに、叫びを抑えることができなかった。

しかし、晴生との電話でイきそうだった俺のペニスは、自分でもわかるほどに脈打っている。
一度も止まることなく、5回…6回……と容赦なく巽は尻を叩き続けた。
そして最後の9回目。俺は目をひん向きながら、声無き声をあげ、意思とは関係なく射精していた。
ビクンビクンと大きく身体が痙攣し、全身の汗が酷い。
尻が自分の物でないような気さえした。

「あ゛……ッあ゛……ふっ…あぁ……」

顔の穴全てから体液が流れ出ているのがわかる。
息は乱れ、伸ばしている腕がガクガクと震えた。

   

【日当瀬晴生】

「千星さん……?千星さん!」

携帯の向こうの様子がおかしい。
千星さんの声が聞こえなくなった。
いや、かすかに小さな悲鳴のようなものが聞こえる。
気持ちいいことに集中し過ぎているのか。

それとも、俺がちょっと意地悪なことを言い過ぎてしまったのかと慌てたその時、想像していなかった声が携帯から聞こえた。

「ああ、日当瀬?ごめんね、勝手に。
那由多寝ちゃってるよ?よっぽど気持ち良かったんだろうね、日当瀬とのテレフォンセックスが。」

ま、拙い、ばれてやがる。
つーことは千星さんはイくと同時に携帯をほっぽり出して寝てしまわれたのか?
さて、この後どう切り出すべきかと悩んでいる間にまた天夜は話し始める。

「二人って、そういう関係だったんだね。
あ、邪魔するつもりはないよ。
ごめんね、今日母さんが無理矢理那由多泊めちゃってさ。
那由多には気づいてないふりしとくから、じゃあね。」


それだけ告げられるとブチっと一方的に電話を切られてしまった。
なんだか、俺の中では煮え切らなかったが、どうにも出来なかった。
とりあえず、この話題には変に触れることができなくなったのは事実だ。

悶々とした感情を持ったまま俺も携帯を切った。
結局エプロンもどうすればいいか聞きそびれたと思ったが後の祭りだ。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ヤンデレだらけの短編集

BL
ヤンデレだらけの1話(+おまけ)読切短編集です。 【花言葉】 □ホオズキ:寡黙執着年上とノンケ平凡 □ゲッケイジュ:真面目サイコパスとただ可哀想な同級生 □アジサイ:不良の頭と臆病泣き虫 □ラベンダー:希死念慮不良とおバカ □デルフィニウム:執着傲慢幼馴染と地味ぼっち ムーンライトノベル様に別名義で投稿しています。 かなり昔に書いたもので芸風(?)が違うのですが、楽しんでいただければ嬉しいです! 【異世界短編】単発ネタ殴り書き随時掲載。 ◻︎お付きくんは反社ボスから逃げ出したい!:お馬鹿主人公くんと傲慢ボス

ヤンデレBL作品集

みるきぃ
BL
主にヤンデレ攻めを中心としたBL作品集となっています。

俺の指をちゅぱちゅぱする癖が治っていない幼馴染

海野
BL
 唯(ゆい)には幼いころから治らない癖がある。それは寝ている間無意識に幼馴染である相馬の指をくわえるというものだ。相馬(そうま)はいつしかそんな唯に自分から指を差し出し、興奮するようになってしまうようになり、起きる直前に慌ててトイレに向かい欲を吐き出していた。  ある日、いつもの様に指を唯の唇に当てると、彼は何故か狸寝入りをしていて…?

お酒に酔って、うっかり幼馴染に告白したら

夏芽玉
BL
タイトルそのまんまのお話です。 テーマは『二行で結合』。三行目からずっとインしてます。 Twitterのお題で『お酒に酔ってうっかり告白しちゃった片想いくんの小説を書いて下さい』と出たので、勢いで書きました。 執着攻め(19大学生)×鈍感受け(20大学生)

BL短編まとめ(現) ①

よしゆき
BL
BL短編まとめ。 冒頭にあらすじがあります。

姫ポジ幼馴染の貞操を全力で守っていたのに、いつの間にか立場が逆転して伸し掛かられた件

イセヤ レキ
BL
タイトル通りのお話しです。 ※全七話、完結済。

【創作BL】溺愛攻め短編集

めめもっち
BL
基本名無し。多くがクール受け。各章独立した世界観です。単発投稿まとめ。

【BL】SNSで出会ったイケメンに捕まるまで

久遠院 純
BL
タイトル通りの内容です。 自称平凡モブ顔の主人公が、イケメンに捕まるまでのお話。 他サイトでも公開しています。

処理中です...