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死亡フラグ破壊の第一幕
何処にでもいるものね
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巨体が大剣を振るい、それが起こした空気の流れが風となり首を撫でる。
その風を受けた時満身創痍の騎士達は地に倒れ伏す。
外傷は無い。
ただそれでも、苦しくなった呼吸は酸素を肺に取り込む為に暴走し、視界を黒に染める。
気が付いた時には目に見えているのは地面で、重くなった身体は指一つ動く事はない。
こうなってしまえば自分を待つのは死の運命のみ。
隊長はその時が来るのを、ただ待つだけしかできなかった。
「ふむ、こちらはこれでよし、次は」
そう呟いて振り返るドランの目には
「やはりこうなるか」
ため息を吐きながら呆れるように呟く。
「全く、この不良なロクデナシ共は」
その目線の先に居たのは死に体となった騎士隊を殺して武勲としようという者達。
彼らはハイエナと言われまともな感性を持つ者達から忌み嫌われている存在である。
それでも国民である事は間違いないので捨て置かれて居たのだが。
「貴様ら、悪い事は言わぬ、疾く去れ」
そう忠告するドランに素直に従うのなら苦労はない、その事はドラン本人もわかっているのだが、どうしてもその反応には溜息が出てしまう。
「んだと!てめえ!俺らの武勲を邪魔しやがるのか!」
呆れたものである、それは周りの皆の態度を見てもわかる事である。
「これは陛下の指示だ、貴様らが何を言おうとこの者達に手を出す事はまかりならん」
そう言ったところで下がる者達でもなく、武器を抜いて此方に進んでくる。
「痛い目に遭わねば分からぬか、本当に此奴らは」
そうぼやきながら剣を縦に一閃。
その剣圧がハイエナ部隊の間に空いた隙間を通り抜ける。
それは微細な真空の刃を放ち、男達に微細な切り傷を作り、男達の肝を冷やす。
「それ以上来るならば命懸けと心得よ!」
その言葉に一瞬止まった男達の頭に血が昇る。
「しゃらくせえ!やっちまえ!」
こうして魔王の意を受けた守護者と、荒くれ者部隊の人間の騎士隊を巡る場外乱闘が開始された。
激しくものがぶつかる音と、大地が砕ける音、そして男達の雄たけびと悲鳴と痛みに悶える声が聞こえて来る。
深く沈んだ身体が少しずつ浮上していくような、そんな感覚でまどろんでいる。
酷く気持ちがいい、そんな時間はすぐに終わりを告げる。
まどろみの中、突然金属の大音響が聞こえる。
それによりハッと目が覚めた騎士隊長は全身を走る痛みに苦痛を盛らす。
「おう、気がついたか、人間」
「な!?」
目の前に移った光景は彼を驚かすには十二分のものだった。
3メートルはあろうという巨体の皮の部分鎧を纏った龍人が、5メートルはあろうかという巨人の振り下ろした剣を受け止めているのだ。
しかもそれだけではない。
「ほうら、若造!おぬしの力はそれだけか!だから甘いといっておる!」
そういうとその力の向きをずらして身体を浮かせる。
そうしたかと思うと次の瞬間轟音が鳴り響く。
その一撃は爆発大気の爆発を起こし余波が頬を撫でる。
未だ手足を動かせない隊長は目を閉じて耐えるしかない。
そうして風が収まったところで開けた目に飛び込んできたのは驚愕するというだけでは足りないものであった。
開いた目に飛び込んできたのは龍人の前にいたはずの巨人が10メートルは先にまで飛ばされて頭から地面に刺さっている。
そしてその手に持っていたはずの大剣は柄の部分を残して刀身が全てなくなっている。
それがどこに行ったのかといえば先っぽだけ龍人の足元にあるかと思えば他の部分は見つけることが出来ない。
ただ細かくキラキラと光る粒子が辺りを漂うばかり。
「全く、これでよくあのような事をほざけたものよ、ほうら、来るならさっさと掛かって来い」
獰猛に笑うドランの覇気にあてられ、隊長は再び暗闇のそこに沈むのだった。
それが終わりを告げたのはどれくらいたったころか。
四半時とも言われているがその辺りはどうでもいいことなのかもしれない。
大事なのはドランの前に立ち、襲い掛かってきたもの達は全て半殺しの状態で地面に転がっている事。
平らであった地形が彼方此方に穴が開き荒れ果てている事。
そしてそれを成した男が未だ幼いといえる男とそれについてきた女性の前で跪いているということであった。
「ドラン、何があった?」
「はっ!私がこの場に来たときには一触即発の様相を呈し、人間の部隊が決死の特攻をかけようと味方を鼓舞しておりました、私はその衝突を防ぐ為にこの場に降り立ち彼らに圧をかけました。恐らく消耗しきっていたのでしょう、立っていられる者はいませんでした。しかしながら、衝突は回避でき、死者はなく、彼らは今はあちらから動いていません」
そう言って全滅したかのように倒れる騎士隊のほうに手を向ける。
「そうか、良くやった、してそちらは分かったが、お前の後ろの惨状はなんだ?」
「はっ!それについても報告致します、奴等はハイエナになります」
「ハイエナ?そうか、奴等が」
「左様に御座います、彼らは力尽きたこの人間達を危険がなく遊べる獲物としてしかみておりませんでした、陛下の命といえども引かず、人の首級を求めたのだと思われます。」
「そうか、浅ましい事だな」
「誠に、嘆かわしいことです」
そういって頭痛を抑えるように頭を抑えるカリウスは少しこめかみを揉むと口を開く
「とりあえず命令違反で牢に繋いで置け、処遇は後で決める」
「はっ!おい!おまえら!」
命令が下ると、その辺に散らばって伸びている巨人達を引き抜いたりして一箇所に投げ集め出す魔王軍の面々。
めんどくさそうにしているのは気のせいじゃ……あ、今めんどくせーなこの餓鬼共はって言ってる、やっぱり面倒くさいんだね。
「うちの国に限らず、こういう人達ってどこにでもいるものね」
それを見ていた私にカリウスが声をかける。
「恥ずかしながらね。エリー、とりあえず大丈夫だとは思うけど、君の家臣たちのほうを頼めるかい?流石に事情が分からず困惑しているみたいだから。」
「分かったわ、少し待っててね」
そう苦笑いしているカリウスに返すと私は既に立ち上がった者もいる騎士隊の元に歩き出した。
そして彼らと和解するから敵対は終わりにすると宣言し、今回の作戦行動を労う。
その後は騎士隊全員を搬送して治療するという大仕事が待ち受けてたんだけどね。
カリウスの指示で魔王軍の人が手を貸してくれて助かったわ。
死者はなし、本当に嬉しい結果だ。
彼らの武装は預けたので私達は既に無力化されたも同然で、表向きには虜囚の身となった。
こうして私達の魔王討伐の任務は失敗に終わった。
失敗するように仕向けた私が言うのもなんだけどね。
損害は奇跡的に死者1名と負傷者500名余りという事を知った私は珍しく神に感謝したし、私の家の騎士達を誇りに思うわ。
これでお互い後腐れなく手を取り合えるもの。
勿論カリウスの守護者のドランさんにも感謝しているわ。
だって彼がいなかったらこの結果は望めなかったんだから。
因みに負傷者の半分は決着がついた後のあれこれで起きたと聞いたときには私とカリウスは引きつった笑いをこぼすしかなかったわね。
ドランさんはちょっと申し訳なさそうだったけどよくやったとカリウスに言われて救われてたからよかったわ。
やっぱり、魔王国はいい国だったわね、人間の国なんかとは比べ物にならない。
この人達と一緒なら、私は今度は守りきれる、そう思わせてくれる何か暖かい物を感じたのだった。
ここまでが私の生存作戦の第一幕。
準備の時間がなくて本当に大変だったけど何とか出来て本当によかったわ。
ここから第二幕になるのだけれど、それには少しだけ時間を置かないといけないわね。
大事な物が増えたんだから、守れるように頑張らなきゃね。
その風を受けた時満身創痍の騎士達は地に倒れ伏す。
外傷は無い。
ただそれでも、苦しくなった呼吸は酸素を肺に取り込む為に暴走し、視界を黒に染める。
気が付いた時には目に見えているのは地面で、重くなった身体は指一つ動く事はない。
こうなってしまえば自分を待つのは死の運命のみ。
隊長はその時が来るのを、ただ待つだけしかできなかった。
「ふむ、こちらはこれでよし、次は」
そう呟いて振り返るドランの目には
「やはりこうなるか」
ため息を吐きながら呆れるように呟く。
「全く、この不良なロクデナシ共は」
その目線の先に居たのは死に体となった騎士隊を殺して武勲としようという者達。
彼らはハイエナと言われまともな感性を持つ者達から忌み嫌われている存在である。
それでも国民である事は間違いないので捨て置かれて居たのだが。
「貴様ら、悪い事は言わぬ、疾く去れ」
そう忠告するドランに素直に従うのなら苦労はない、その事はドラン本人もわかっているのだが、どうしてもその反応には溜息が出てしまう。
「んだと!てめえ!俺らの武勲を邪魔しやがるのか!」
呆れたものである、それは周りの皆の態度を見てもわかる事である。
「これは陛下の指示だ、貴様らが何を言おうとこの者達に手を出す事はまかりならん」
そう言ったところで下がる者達でもなく、武器を抜いて此方に進んでくる。
「痛い目に遭わねば分からぬか、本当に此奴らは」
そうぼやきながら剣を縦に一閃。
その剣圧がハイエナ部隊の間に空いた隙間を通り抜ける。
それは微細な真空の刃を放ち、男達に微細な切り傷を作り、男達の肝を冷やす。
「それ以上来るならば命懸けと心得よ!」
その言葉に一瞬止まった男達の頭に血が昇る。
「しゃらくせえ!やっちまえ!」
こうして魔王の意を受けた守護者と、荒くれ者部隊の人間の騎士隊を巡る場外乱闘が開始された。
激しくものがぶつかる音と、大地が砕ける音、そして男達の雄たけびと悲鳴と痛みに悶える声が聞こえて来る。
深く沈んだ身体が少しずつ浮上していくような、そんな感覚でまどろんでいる。
酷く気持ちがいい、そんな時間はすぐに終わりを告げる。
まどろみの中、突然金属の大音響が聞こえる。
それによりハッと目が覚めた騎士隊長は全身を走る痛みに苦痛を盛らす。
「おう、気がついたか、人間」
「な!?」
目の前に移った光景は彼を驚かすには十二分のものだった。
3メートルはあろうという巨体の皮の部分鎧を纏った龍人が、5メートルはあろうかという巨人の振り下ろした剣を受け止めているのだ。
しかもそれだけではない。
「ほうら、若造!おぬしの力はそれだけか!だから甘いといっておる!」
そういうとその力の向きをずらして身体を浮かせる。
そうしたかと思うと次の瞬間轟音が鳴り響く。
その一撃は爆発大気の爆発を起こし余波が頬を撫でる。
未だ手足を動かせない隊長は目を閉じて耐えるしかない。
そうして風が収まったところで開けた目に飛び込んできたのは驚愕するというだけでは足りないものであった。
開いた目に飛び込んできたのは龍人の前にいたはずの巨人が10メートルは先にまで飛ばされて頭から地面に刺さっている。
そしてその手に持っていたはずの大剣は柄の部分を残して刀身が全てなくなっている。
それがどこに行ったのかといえば先っぽだけ龍人の足元にあるかと思えば他の部分は見つけることが出来ない。
ただ細かくキラキラと光る粒子が辺りを漂うばかり。
「全く、これでよくあのような事をほざけたものよ、ほうら、来るならさっさと掛かって来い」
獰猛に笑うドランの覇気にあてられ、隊長は再び暗闇のそこに沈むのだった。
それが終わりを告げたのはどれくらいたったころか。
四半時とも言われているがその辺りはどうでもいいことなのかもしれない。
大事なのはドランの前に立ち、襲い掛かってきたもの達は全て半殺しの状態で地面に転がっている事。
平らであった地形が彼方此方に穴が開き荒れ果てている事。
そしてそれを成した男が未だ幼いといえる男とそれについてきた女性の前で跪いているということであった。
「ドラン、何があった?」
「はっ!私がこの場に来たときには一触即発の様相を呈し、人間の部隊が決死の特攻をかけようと味方を鼓舞しておりました、私はその衝突を防ぐ為にこの場に降り立ち彼らに圧をかけました。恐らく消耗しきっていたのでしょう、立っていられる者はいませんでした。しかしながら、衝突は回避でき、死者はなく、彼らは今はあちらから動いていません」
そう言って全滅したかのように倒れる騎士隊のほうに手を向ける。
「そうか、良くやった、してそちらは分かったが、お前の後ろの惨状はなんだ?」
「はっ!それについても報告致します、奴等はハイエナになります」
「ハイエナ?そうか、奴等が」
「左様に御座います、彼らは力尽きたこの人間達を危険がなく遊べる獲物としてしかみておりませんでした、陛下の命といえども引かず、人の首級を求めたのだと思われます。」
「そうか、浅ましい事だな」
「誠に、嘆かわしいことです」
そういって頭痛を抑えるように頭を抑えるカリウスは少しこめかみを揉むと口を開く
「とりあえず命令違反で牢に繋いで置け、処遇は後で決める」
「はっ!おい!おまえら!」
命令が下ると、その辺に散らばって伸びている巨人達を引き抜いたりして一箇所に投げ集め出す魔王軍の面々。
めんどくさそうにしているのは気のせいじゃ……あ、今めんどくせーなこの餓鬼共はって言ってる、やっぱり面倒くさいんだね。
「うちの国に限らず、こういう人達ってどこにでもいるものね」
それを見ていた私にカリウスが声をかける。
「恥ずかしながらね。エリー、とりあえず大丈夫だとは思うけど、君の家臣たちのほうを頼めるかい?流石に事情が分からず困惑しているみたいだから。」
「分かったわ、少し待っててね」
そう苦笑いしているカリウスに返すと私は既に立ち上がった者もいる騎士隊の元に歩き出した。
そして彼らと和解するから敵対は終わりにすると宣言し、今回の作戦行動を労う。
その後は騎士隊全員を搬送して治療するという大仕事が待ち受けてたんだけどね。
カリウスの指示で魔王軍の人が手を貸してくれて助かったわ。
死者はなし、本当に嬉しい結果だ。
彼らの武装は預けたので私達は既に無力化されたも同然で、表向きには虜囚の身となった。
こうして私達の魔王討伐の任務は失敗に終わった。
失敗するように仕向けた私が言うのもなんだけどね。
損害は奇跡的に死者1名と負傷者500名余りという事を知った私は珍しく神に感謝したし、私の家の騎士達を誇りに思うわ。
これでお互い後腐れなく手を取り合えるもの。
勿論カリウスの守護者のドランさんにも感謝しているわ。
だって彼がいなかったらこの結果は望めなかったんだから。
因みに負傷者の半分は決着がついた後のあれこれで起きたと聞いたときには私とカリウスは引きつった笑いをこぼすしかなかったわね。
ドランさんはちょっと申し訳なさそうだったけどよくやったとカリウスに言われて救われてたからよかったわ。
やっぱり、魔王国はいい国だったわね、人間の国なんかとは比べ物にならない。
この人達と一緒なら、私は今度は守りきれる、そう思わせてくれる何か暖かい物を感じたのだった。
ここまでが私の生存作戦の第一幕。
準備の時間がなくて本当に大変だったけど何とか出来て本当によかったわ。
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