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死亡フラグに対抗するための第二幕
どこに向かう?
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今後の方針を決めるに当たって私達は自分達の力とそれを取り巻く状況を整理した。
その結果は他の魔族を仲間に引き込まないといけないという結論なんだけど、それぞれ特徴があって、そこでカリウスが魔王として相応しいと示す必要がある。
簡単に言うと彼らの指導者を倒さないといけないということなのだけど、彼らは強い。
今のカリウスだと勝てるかと言うと分が悪い。
あと5年あれば間違いなく勝てるんだけど、そんな時間もないからね。
彼らを倒さないと私達は勇者相手に磨り潰されて終わっちゃう事になる。
一応そっちの方も手は打ってるんだけど、気休めにしかならないと思う。
だってこれ、死亡フラグだもん。
これをへし折るのは非常に大変。
でもそれで負けてたら皆酷い目に会うしかないからね、あきらめる事なんてできるわけもない。
それに、前世で死に別れた妹をもう二度と殺されてたまるものですか。
そういうわけで私はどうやってもそのフラグをへし折るしかない。
時間も限られている、消去法で勝てるところから行くしかない。
「ねえカリウス、現実的な問題として今の貴方の攻撃は鬼の族長に通るかしら?」
これが一番最初の問題。
鬼はパワーと共に筋肉の鎧を纏っている。
それは重量を上げ攻防に大きな恩恵をもたらす。
デメリットとしてはその重量故のスピードの遅さだが、鬼の族長ともなればその辺りにも対策は万全だろう。
恐らく攻撃を当てる事は出来るが、それが有効打になるか、通らなければ勝ちの目は薄い。
「鬼の族長、鬼王のオグマさんか、昔一度手合わせした時には全く通らなくて軽く捻られたね、あれは確か3年前だっけ、あの頃よりは確実に良い勝負が出来るけど、それでも勝てるかどうかといわれれば厳しいね」
カリウスの正確な分析を聞く限り現状も厳しいのが分かる。
私の予想ではこの鬼の王というのが4種族の中では一番強いし隙がない。
「なら小鬼の王はどう?有効打を入れれるかしら?」
次に上げたのは小鬼の王、この種族は特性として器用で敏捷なのが特徴である。
ありがたい事にご多聞には漏れて性欲が特別旺盛とか不潔という事は無い。
それどころかアクセサリー等の細工物が得意という事で奴隷にされている者も居ると聞いたことがある。
領地にも何人か居る為私の身柄の安全に引き換える名目で引き渡させる予定だ。
その人達の里帰りを兼ねて交易も出来ればいう事がないのだけど。
「アルドさんか、あの人凄く早くて攻撃当てられなかった記憶があるよ、こっちも3年前の事で多分当たれば有効打にはなると思う、けどあの人ちょっと苦手なんだよね、オネエだし……」
ぞぞぞと背筋に何か通ったように震えるカリウスを見て察する。
ああ、そういう人か……
「殺ってもいい?」
おっと口が……可愛い妹をおさわりしようなんていう輩に人権なんて……
「えっと、いいけど、気をつけてね?」
何をとは言われない。
昔付きまとってきた男をぼこぼこにして病院に叩き込んで警察に怒られたあの時の事を思い出しているだろうけど気にしない。
可愛い妹は私が守る、あ、今は妹じゃないけどね!
「さて次は、祈祷師の族長ね、どうにか出来そうかしら?」
気を取り直して次の種族。
魔法に長けているだけあって生活に魔法を上手く組み込んでいる種族だ。
その中の器用な人が魔法具を作ったりもしてるらしく、この種族にも奴隷として連れて行かれた人はいる。
まぁ同じ様に帰還してもらうんだけどね。
身体はそこまで強くないらしいんだけど魔力が非常に強い。
軍勢相手にすると近付くまでが非常に大変な相手である。
通常の軍ではその前に全滅するレベルなので加わってくれれば数にまける事は減りそうだけど……
「祈祷師はルードさんだね、あの人の魔法の連射速度と精度は僕じゃ追いつけないね、3年前魔法で手合わせしたけど稽古をつけてもらう感じになっちゃったくらいだし、今も魔法じゃ勝てないかな」
「魔法以外は?」
「流石に近づければ負けないとは思うけど、一筋縄じゃいかないと思うな」
となると接近できなかったら勝ち目なしか。
丁度この3人は3すくみになってるみたいね。
「それじゃ最後の海の部族はどうかしら?」
「海の部族というとマリンさんか、無理!」
きっぱりと無理と断言する。
論ずる間もない位に、なんでだろ?
「なんで?」
「えっとね、マリンさんって実はね、父さんの幼馴染でね、その……」
「ん?」
「産まれた頃からお世話になりっぱなしでとても剣を向けられないというか、えっと、二人目の母さんみたいな人なんだ」
「そうなんだ」
「うん、でも力を示さないといけないって言うなら、僕……」
「安心なさい、そこはなんとかするわ」
流石に母親みたいな人に剣を向けさせるわけにはいかないわね。
多分下の子達も懐いているし、母親をなくしたのに母親代わりの人まで危険にはね。
むしろそっちは私が力試ししなきゃいけないわね。
そうして力関係が出揃った所でどうするかを考える。
といっても最初にやる事は決まってるんだけどね。
その後まで計算して動かないと何があるか分からないから、その後のルートまで考えて……これでいけるはず。
「それじゃこれからの方針を立てたから先ず全部聞いて頂戴。その後に質問とか意見があれば言って頂戴」
多分これが最善のルート。
躓いたら不味いけど、なんとかなるはず。
そうして私は今後の方針を説明するのだった。
その結果は他の魔族を仲間に引き込まないといけないという結論なんだけど、それぞれ特徴があって、そこでカリウスが魔王として相応しいと示す必要がある。
簡単に言うと彼らの指導者を倒さないといけないということなのだけど、彼らは強い。
今のカリウスだと勝てるかと言うと分が悪い。
あと5年あれば間違いなく勝てるんだけど、そんな時間もないからね。
彼らを倒さないと私達は勇者相手に磨り潰されて終わっちゃう事になる。
一応そっちの方も手は打ってるんだけど、気休めにしかならないと思う。
だってこれ、死亡フラグだもん。
これをへし折るのは非常に大変。
でもそれで負けてたら皆酷い目に会うしかないからね、あきらめる事なんてできるわけもない。
それに、前世で死に別れた妹をもう二度と殺されてたまるものですか。
そういうわけで私はどうやってもそのフラグをへし折るしかない。
時間も限られている、消去法で勝てるところから行くしかない。
「ねえカリウス、現実的な問題として今の貴方の攻撃は鬼の族長に通るかしら?」
これが一番最初の問題。
鬼はパワーと共に筋肉の鎧を纏っている。
それは重量を上げ攻防に大きな恩恵をもたらす。
デメリットとしてはその重量故のスピードの遅さだが、鬼の族長ともなればその辺りにも対策は万全だろう。
恐らく攻撃を当てる事は出来るが、それが有効打になるか、通らなければ勝ちの目は薄い。
「鬼の族長、鬼王のオグマさんか、昔一度手合わせした時には全く通らなくて軽く捻られたね、あれは確か3年前だっけ、あの頃よりは確実に良い勝負が出来るけど、それでも勝てるかどうかといわれれば厳しいね」
カリウスの正確な分析を聞く限り現状も厳しいのが分かる。
私の予想ではこの鬼の王というのが4種族の中では一番強いし隙がない。
「なら小鬼の王はどう?有効打を入れれるかしら?」
次に上げたのは小鬼の王、この種族は特性として器用で敏捷なのが特徴である。
ありがたい事にご多聞には漏れて性欲が特別旺盛とか不潔という事は無い。
それどころかアクセサリー等の細工物が得意という事で奴隷にされている者も居ると聞いたことがある。
領地にも何人か居る為私の身柄の安全に引き換える名目で引き渡させる予定だ。
その人達の里帰りを兼ねて交易も出来ればいう事がないのだけど。
「アルドさんか、あの人凄く早くて攻撃当てられなかった記憶があるよ、こっちも3年前の事で多分当たれば有効打にはなると思う、けどあの人ちょっと苦手なんだよね、オネエだし……」
ぞぞぞと背筋に何か通ったように震えるカリウスを見て察する。
ああ、そういう人か……
「殺ってもいい?」
おっと口が……可愛い妹をおさわりしようなんていう輩に人権なんて……
「えっと、いいけど、気をつけてね?」
何をとは言われない。
昔付きまとってきた男をぼこぼこにして病院に叩き込んで警察に怒られたあの時の事を思い出しているだろうけど気にしない。
可愛い妹は私が守る、あ、今は妹じゃないけどね!
「さて次は、祈祷師の族長ね、どうにか出来そうかしら?」
気を取り直して次の種族。
魔法に長けているだけあって生活に魔法を上手く組み込んでいる種族だ。
その中の器用な人が魔法具を作ったりもしてるらしく、この種族にも奴隷として連れて行かれた人はいる。
まぁ同じ様に帰還してもらうんだけどね。
身体はそこまで強くないらしいんだけど魔力が非常に強い。
軍勢相手にすると近付くまでが非常に大変な相手である。
通常の軍ではその前に全滅するレベルなので加わってくれれば数にまける事は減りそうだけど……
「祈祷師はルードさんだね、あの人の魔法の連射速度と精度は僕じゃ追いつけないね、3年前魔法で手合わせしたけど稽古をつけてもらう感じになっちゃったくらいだし、今も魔法じゃ勝てないかな」
「魔法以外は?」
「流石に近づければ負けないとは思うけど、一筋縄じゃいかないと思うな」
となると接近できなかったら勝ち目なしか。
丁度この3人は3すくみになってるみたいね。
「それじゃ最後の海の部族はどうかしら?」
「海の部族というとマリンさんか、無理!」
きっぱりと無理と断言する。
論ずる間もない位に、なんでだろ?
「なんで?」
「えっとね、マリンさんって実はね、父さんの幼馴染でね、その……」
「ん?」
「産まれた頃からお世話になりっぱなしでとても剣を向けられないというか、えっと、二人目の母さんみたいな人なんだ」
「そうなんだ」
「うん、でも力を示さないといけないって言うなら、僕……」
「安心なさい、そこはなんとかするわ」
流石に母親みたいな人に剣を向けさせるわけにはいかないわね。
多分下の子達も懐いているし、母親をなくしたのに母親代わりの人まで危険にはね。
むしろそっちは私が力試ししなきゃいけないわね。
そうして力関係が出揃った所でどうするかを考える。
といっても最初にやる事は決まってるんだけどね。
その後まで計算して動かないと何があるか分からないから、その後のルートまで考えて……これでいけるはず。
「それじゃこれからの方針を立てたから先ず全部聞いて頂戴。その後に質問とか意見があれば言って頂戴」
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