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死亡フラグに対抗するための第二幕
現状把握
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朝食を食べる時もアリアは立って待っていようとしたので無理矢理一緒に食べる。
これはもうこの子の癖みたいなものだから仕方ないけど寂しく思うから礼儀なんて関係ない。
少なくとも身内だけの時は絶対引きずり込んであげる!
そんな風に言っていたら皆に苦笑されたんだけど、嫌な感じじゃないからいいもんね。
朝食の後はちびっ子達は教育係のマダムに任せてカリウスとクリスちゃんと共に今後の方針を考える。
蛇足でしかないんだけど、このマダム凄く大きいのよね、縦にも横にも。
軽く私の3倍位の恰幅の良い身体にニコニコとした母性が溢れている。
子供達も懐いているんだけどあの人はきっと只者じゃない!私の勘がそう告げているから間違いないはす!
閑話休題
私、カリウス、クリス、アリアの4人で現場を整理することにした。
他の人がいないのは何でかって言うとなんと、クリスちゃんがカリウスの秘書役もしていると言う事なのだ。
カリウスの方も年齢よりも多くの経験をしているから多少の経験不足は何とかなるらしい。
と言ってもあくまでもその歳にしてはである。
目下のところ勉強中ということでまだまだ伸び代は大きいのは見ても分かる。
それ以上に転生したからか、魔王だからかなのか、色んなスペックがぶっ壊れなんだけどね。
そのおかげかどうかは分からないけど、カリウスは総合的な能力で言えば既に魔族の中でも五指に入る程の実力を持っているらしい。
この歳でそれは先代の魔王ですらなし得なかった程だとか。
それでもまだまだと日々鍛錬を続けているとか。
最強になれるように私も手伝える事をしてあげなきゃね。
それがこっちの最大の戦力で、その下に守護者の人とか隊長さんとか。
うちの騎士達は強くて隊長クラスみたい。
そして条件付きで私とアリアが守護者位でクリスちゃんは無条件で隊長さんクラス。
クリスちゃんもその歳にしては異常なレベルで今のカリウス位に成長するんじゃないかって言われている天才さんなんだって。
そう考えるとうちの戦力ってかなり歪なんだよね。
まぁそれが魔族と言われれば納得するしかないんだけどね。
それらのことを考えて私の実家の戦力を考えたところでは今の状況では勇者候補の主人公君にカリウスが殺されて、その後は数に押されてジ・エンド。
私の死亡フラグはおろかカリウスを始めとした私の家族は全員生き残れない。
その現実を理解した時に私は言葉を発する事ができなかった。
「エリー、どんな残酷な現実でも知らないと何も出来ないから、教えて、そしたら僕がなんとかするから、おねがい」
私の様子を見たカリウスが笑顔で私に微笑みかけてくる。
虚勢だと分かってるけど、自信があるようにみせかけて、皆の不安を消し去ろうしている。
そんな姿を見せられたら私が折れてなんていられないじゃない。
「わかったわ、凄く厳しい現状だけど、聞いて頂戴」
そう言って私は話し出す。
今の状況で戦えば私達が生き残る道は逃げるしかないけど私達は勇者候補からは逃げられない事を。
そして逃げなかった場合に起こると予想される未来を。
カリウスが殺され、ライ君リラちゃんは貴族の玩具に。
クリスちゃんや私、アリアは慰み物にされて私の家族も同様に。
そして兵達は死ぬか鉱山奴隷に。
民達は虐げられて奴隷のように扱われて生きているのか死んでいるのか分からないような状態に。
そんな未来を。
それを阻止するには力で勝つか和解するか。
しかし力では勝てず、和解も教会によって一丸となっている人間の国は応じない。
それが現状。
そんな絶望的な状況の中だからアリアもクリスちゃんもその表情は暗い。
でもそんな中にも可能性を見出す事は出来る。
私はそれに気がついたし、多分カリウスも気がついている。
「カリウス、私は一つだけ対応策を思いついたわ、貴方も何か思いついたのね?」
「うん、難しい事だけど、僕も一つだけね」
そう言ってカリウスは自信ありげに頷く。
「それじゃ私の方から話すわ」
「うん、お願いするよ」
微笑むカリウスに私は話始める。
魔族の国はこの最前線になっているカリウスの城以外に東と東南と北東にそれぞれの部族の城が。
そして更に東に海沿いの部族の縄張りがある。
南北は険しい山脈と森、そして大河が広がり人も魔族も進行する事ができない地形になっている。
その関係上、この魔王城以外は人間との交戦になる可能性は少ない。
この魔王城が防波堤になっているからだ。
そして、そこを治めているのは現在カリウスよりも強いとされている4人の魔族。
各々の部族を率いる、鬼、小鬼、海人、祈祷師の4部族である。
その部族にはそれぞれ特徴がある。
力に秀でた鬼、器用さとすばしっこさに秀でた小鬼、海の戦いに秀でた海人、そして魔法に秀でた祈祷師とそれぞれに特徴を持っている。
そしてその中でも強力な力を持つものは魔人となり、その容姿はそれぞれの特徴を残したままでカリウス達似た容姿になる。
二枚目だっていう話はあがってたけど、グラフィック見た事はないんだよね。
まぁ私には関係ないわ。
その彼らを引き込む事が出来れば私達の戦力は大幅に強化される。
総力を結集して当たる事が出来れば普通に2カ国位なら相手できるはずだ。
それが私の考えた対応策。
でもそれには一つだけ難点がある。
それは力を示して従えなければならないという事、今のカリウスには荷が重いのではないかと思うんだけど。
「うん、僕もそう思ってたところだよ、だから僕はそれに従うよ、だからエリー力を貸して」
胸を張ってそう断言するカリウスにドキッとした。
なになに!?なによこれ!
よく分からない事態に混乱するけど、そんなのを出したらダメよ!
「え、ええ!勿論よ!」
どぎまぎしながらそれに賛成する。
「うん、ありがとう!エリーの力を借りれるなら100人力だよ!」
笑顔でそう言ってくれているので誤魔化せたかとホッとする。
本当は誤魔化せてなかったんだけどね、女の勘って言うのは本当に鋭いから。
このときの私はまだ女になって2週間くらい、そんなの分からないもの。
ニコニコしてる皆の表情に気がつくことが出来ずに私は話を進める。
生き残るために。
これはもうこの子の癖みたいなものだから仕方ないけど寂しく思うから礼儀なんて関係ない。
少なくとも身内だけの時は絶対引きずり込んであげる!
そんな風に言っていたら皆に苦笑されたんだけど、嫌な感じじゃないからいいもんね。
朝食の後はちびっ子達は教育係のマダムに任せてカリウスとクリスちゃんと共に今後の方針を考える。
蛇足でしかないんだけど、このマダム凄く大きいのよね、縦にも横にも。
軽く私の3倍位の恰幅の良い身体にニコニコとした母性が溢れている。
子供達も懐いているんだけどあの人はきっと只者じゃない!私の勘がそう告げているから間違いないはす!
閑話休題
私、カリウス、クリス、アリアの4人で現場を整理することにした。
他の人がいないのは何でかって言うとなんと、クリスちゃんがカリウスの秘書役もしていると言う事なのだ。
カリウスの方も年齢よりも多くの経験をしているから多少の経験不足は何とかなるらしい。
と言ってもあくまでもその歳にしてはである。
目下のところ勉強中ということでまだまだ伸び代は大きいのは見ても分かる。
それ以上に転生したからか、魔王だからかなのか、色んなスペックがぶっ壊れなんだけどね。
そのおかげかどうかは分からないけど、カリウスは総合的な能力で言えば既に魔族の中でも五指に入る程の実力を持っているらしい。
この歳でそれは先代の魔王ですらなし得なかった程だとか。
それでもまだまだと日々鍛錬を続けているとか。
最強になれるように私も手伝える事をしてあげなきゃね。
それがこっちの最大の戦力で、その下に守護者の人とか隊長さんとか。
うちの騎士達は強くて隊長クラスみたい。
そして条件付きで私とアリアが守護者位でクリスちゃんは無条件で隊長さんクラス。
クリスちゃんもその歳にしては異常なレベルで今のカリウス位に成長するんじゃないかって言われている天才さんなんだって。
そう考えるとうちの戦力ってかなり歪なんだよね。
まぁそれが魔族と言われれば納得するしかないんだけどね。
それらのことを考えて私の実家の戦力を考えたところでは今の状況では勇者候補の主人公君にカリウスが殺されて、その後は数に押されてジ・エンド。
私の死亡フラグはおろかカリウスを始めとした私の家族は全員生き残れない。
その現実を理解した時に私は言葉を発する事ができなかった。
「エリー、どんな残酷な現実でも知らないと何も出来ないから、教えて、そしたら僕がなんとかするから、おねがい」
私の様子を見たカリウスが笑顔で私に微笑みかけてくる。
虚勢だと分かってるけど、自信があるようにみせかけて、皆の不安を消し去ろうしている。
そんな姿を見せられたら私が折れてなんていられないじゃない。
「わかったわ、凄く厳しい現状だけど、聞いて頂戴」
そう言って私は話し出す。
今の状況で戦えば私達が生き残る道は逃げるしかないけど私達は勇者候補からは逃げられない事を。
そして逃げなかった場合に起こると予想される未来を。
カリウスが殺され、ライ君リラちゃんは貴族の玩具に。
クリスちゃんや私、アリアは慰み物にされて私の家族も同様に。
そして兵達は死ぬか鉱山奴隷に。
民達は虐げられて奴隷のように扱われて生きているのか死んでいるのか分からないような状態に。
そんな未来を。
それを阻止するには力で勝つか和解するか。
しかし力では勝てず、和解も教会によって一丸となっている人間の国は応じない。
それが現状。
そんな絶望的な状況の中だからアリアもクリスちゃんもその表情は暗い。
でもそんな中にも可能性を見出す事は出来る。
私はそれに気がついたし、多分カリウスも気がついている。
「カリウス、私は一つだけ対応策を思いついたわ、貴方も何か思いついたのね?」
「うん、難しい事だけど、僕も一つだけね」
そう言ってカリウスは自信ありげに頷く。
「それじゃ私の方から話すわ」
「うん、お願いするよ」
微笑むカリウスに私は話始める。
魔族の国はこの最前線になっているカリウスの城以外に東と東南と北東にそれぞれの部族の城が。
そして更に東に海沿いの部族の縄張りがある。
南北は険しい山脈と森、そして大河が広がり人も魔族も進行する事ができない地形になっている。
その関係上、この魔王城以外は人間との交戦になる可能性は少ない。
この魔王城が防波堤になっているからだ。
そして、そこを治めているのは現在カリウスよりも強いとされている4人の魔族。
各々の部族を率いる、鬼、小鬼、海人、祈祷師の4部族である。
その部族にはそれぞれ特徴がある。
力に秀でた鬼、器用さとすばしっこさに秀でた小鬼、海の戦いに秀でた海人、そして魔法に秀でた祈祷師とそれぞれに特徴を持っている。
そしてその中でも強力な力を持つものは魔人となり、その容姿はそれぞれの特徴を残したままでカリウス達似た容姿になる。
二枚目だっていう話はあがってたけど、グラフィック見た事はないんだよね。
まぁ私には関係ないわ。
その彼らを引き込む事が出来れば私達の戦力は大幅に強化される。
総力を結集して当たる事が出来れば普通に2カ国位なら相手できるはずだ。
それが私の考えた対応策。
でもそれには一つだけ難点がある。
それは力を示して従えなければならないという事、今のカリウスには荷が重いのではないかと思うんだけど。
「うん、僕もそう思ってたところだよ、だから僕はそれに従うよ、だからエリー力を貸して」
胸を張ってそう断言するカリウスにドキッとした。
なになに!?なによこれ!
よく分からない事態に混乱するけど、そんなのを出したらダメよ!
「え、ええ!勿論よ!」
どぎまぎしながらそれに賛成する。
「うん、ありがとう!エリーの力を借りれるなら100人力だよ!」
笑顔でそう言ってくれているので誤魔化せたかとホッとする。
本当は誤魔化せてなかったんだけどね、女の勘って言うのは本当に鋭いから。
このときの私はまだ女になって2週間くらい、そんなの分からないもの。
ニコニコしてる皆の表情に気がつくことが出来ずに私は話を進める。
生き残るために。
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