お荷物認定を受けてSSS級PTを追放されました。でも実は俺がいたからSSS級になれていたようです。

幌須 慶治

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52 伝えられなかった真実

 真剣な顔をした父さんと向かい合う。

 そして運命を変える言葉が紡がれる。

「ロイド、お前の事を俺達は息子だと思っている、それは何が合っても変らない、だけどな、お前は俺達の間に出来た子じゃなかったんだ」

 その瞬間をなんと表現したらいいか、一瞬何を言われたか分からなかった。

 それは横にいるルイスとアンジェも同じようで、目を大きく見開いて口に手を当てて言葉も出ずに驚いている。

 そんな俺達の驚きを察して少し間を置いた父さんが落ち着いてきたところを見計らって言葉を続ける。

「お前を産んだのはこっちのアイリスで、父親はその前に俺達を守って死んだリンドと言う男だ、アイリスは見た目の通り華奢でな、お前を生んだ産後の肥立ちがよくなかったんだ、リリーも精一杯のことをしたんだが、その甲斐なくな……」

 そう言って悲しげな顔をしている父さんの頭に拳骨が落ちる。

「いって!なにすんだ!」

「バカがいらん気を遣うからだ、そこからは私が話す」

 そういって俺の母親というアイリスさんが話しの主導権を握る。

「先ず勘違いの無いように言っておくが、ここにいないリンド含めて私達4人は幼馴染で冒険者パーティーを組んでいたんだ、それでAランクになったところでリンドの奴が私に求婚してきてな、この二人、お互い好きなのがバレバレでな、残った男女の私とリンドが一緒になったというわけだ」

「あら、アイリス?恥ずかしいからって貴方もリンドも両思いだったのを隠しちゃだめよ?告白された時の貴方の顔ったら、いつも澄ましている顔があの時だけは真っ赤で嬉しそうで泣き出しそうだったのを私は覚えているわよ?」

「記憶違いだ!」

「あらあら」

 そう言って説明するアイリスさんの説明に訂正を入れる母さん、どうにも言いくるめられているようで、非常に恥ずかしそうだ。

「それで暫くして私が身篭ってな、それが分かったので私達は引退してこの村で暮らす事を決めたんだが、その時には依頼をうけていてな」

 そこから悲しそうな顔になる。

「その依頼は何の問題もなかったんだ、通常通りの依頼で、その時の進行は順調すぎる位だった、だけどその帰り道にぶつかってしまったんだよ、モンスターパレードにな……」

 そこから説明を引き継いだ母さんによるとだ。

 父さん達は通常のモンスターパレードなら全員で戦う事で進行方向から外れる事で生き残る事ができたらしい。

 しかしその時のモンスターパレードは異常だった。

 一体一体の速度が速く、強力な個体が多かった。

 そのせいで進行方向から逸れようにも思うように後退できずに追い詰められてしまったという。

 そこで起きた事は忘れられないと。

 最初に力尽きたアイリスさんを守る為にリンドさんが囮になって森の中に消えていったという。

 思えばそれは当然なのだ。

 俺を妊娠していた彼女が万全なはずがなく、他の3人と同じペースで動けば同じだけの持久力などあるはずがないのだ。

 そして4人いたところが3人になれば全員飲み込まれる。

 その時に彼はこう言ったという。

「すまない、アイリスと子供を頼む、それと、お前ら、幸せになれよ!」

 その言葉が最後だったらしい。

 魔物寄せの薬を使い、派手に暴れる事で敵を引き付けて崖から飛び降りて多くの魔物を道ずれにしたのが分かったのは3人が領都に戻って討伐が行われた後の事。

 報告がもう少し遅ければ迎撃も間に合わなかった、それは本当に数時間の差だったという。

 領都が無事だったのは3人と、命を賭して足止めを行ったリンドのお陰と認定され、彼らは領主との伝を得る事になる。

 そしてこの村に落ち着いて、その後は話したとおり。

 俺を産んで亡くなった彼女は幼馴染の二人に俺を託し、そして俺の世話をする間に二人は互いの気持ちを確認出来て結婚する。

 その結果産まれたのがルイスだっていうことだ。

 皆が皆を大事にして、その結果天涯孤独となった俺を両親が引き取ってくれた。

 それを伝えるには俺達が幼かったから伝え切れなくて、伝えられた今俺には産みの親が増えた。

 そういう結末なのである。

 そうなのだが。

「アラン、リリー、すまないがロイドを少し借りれるか?時間がない」

 アイリスさんが口を開く。

「ロイド、すまないが少し付き合ってくれ」

 そういって俺は彼女の墓前に連れ出される。

「確かこの辺に……あったあった」

 墓の中をゴソゴソと探る彼女が取り出したものは

「本?」

「ああ、これは私の記したレシピノートだよ、それと」

 そう言って彼女は俺の頭二手をやり背伸びをして抱きしめる。

「こうして大きくなったわが子を抱けるなんて私は幸せだね」

 そういいながら抱きしめた俺の頭に頭を合わせる。

「何も教えてやれなかったから、私の知識だけでも引き継いでおくれ」

 その言葉と共に様々な知識が、思い出が頭に流れ込んでくる。

 その情報量の多さに頭を激痛が走り眩暈を覚え膝をつく。




 どれ位そうしていただろうか、彼女の歩いてきた道筋が、行ってきた事が、思ってきた事が脳裏で再生され、記憶に刻まれた。

 それは色んな事があって、笑って、怒って、泣いて、色々な物を経て、そして辿り着く。

 最後に残った感情を感じ、目を開ける。

「急な事でごめんね、でも、これくらいしか私には残せないから」

 そう言って疲労の色の濃い中で浮かべた笑顔は綺麗だった。

 母さんが使ったのは命を削って自分の知識を共有する禁呪。

 それを使った者は寿命が50年は縮むと言われている、決して使われる事のないといわれているもの。

 知らないはずのそれが分かった。

 それだけじゃない、今まで知らないでやっていた事の意味、それを更に生かす方法。

 錬金術師として本格的な修行を積んでいた母さんの知識はそれを与えてくれた。

 そして

「そろそろ限界のようだね」

 そう言って俺から離れる母さんは近くに来ていたルイスとアンジェに顔を向ける。

「成長した息子だけじゃなく、未来の娘達まで見れるとは、世の中何があるかわからないわね、あの子をお願いね」

 その言葉に涙を流しながら頷く二人の頭を撫でる母さん。

 そして振り向いて一言。

「ほらロイド!この子達を幸せにしてやれよ!私みたいにするんじゃないぞ!」

 そう言ってニカっと笑うと父さんと母さんの元に戻っていく。

「ロイド、後は頼んだぞ」

「貴方なら大丈夫、お願いね」

「それじゃ3人とも幸せにな!」

 その言葉を最後に3人の身体が光に包まれていき……

 瘴気によって澱んでいた空が綺麗に晴れ、茜色に染まる。

「お兄ちゃん」

「ロイド様」

 呼びかける二人に向かって頷く。

「行こうか、母さん達にはまた報告にくればいいさ」

 そのときにはどうなっているか、それはまだ分からない。

 ただ今は、ここにあるものを守る為に目の前の事を一つずつ片付けていこう。

 そうして、故郷のライム村での戦いは終わった。

 そう思って離れていたリンとクウもつれて村に帰ろうと思ったら、まだこの村での騒動は終わりを告げさせてはくれなかった。
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