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北部征伐の成功の報は直ちに皇都まで届けられた。
それを聞いた皇帝は鷹揚に頷いたのだが、続く報告を聞いたところで頭に手をやる。
それは疾風の英雄の裏切り、そしてその背景の報告であった。
裏切りに関しては既に鎮圧済み、それも娘であるアンジェリーナが直接対峙したということで皇族による討伐と面目は立つ。
それはよかったのだが、もう一つの報告が問題であった。
それを手引きした者がいる、そしてそれは疾風の英雄のパトロンである隣国の公爵であると自白したというのだ。
「宰相、足りるか?」
「今動かせる戦力では難しいかと」
「やはりか」
「はい、征伐の為に戦力を使いすぎました、これ以上は治安の悪化を招くかと」
その言葉に再び考え込む皇帝。
暫く悩んだ末に一つの結論を導き出す。
「本来なら、攻め込んで食い殺すところだが……」
「それをすれば民が持ちませぬな」
「分かっておる、外交ルートを使ってなんとかせよ」
「はっ!」
返事と共に文官を呼び指示を出していく宰相を見ながら皇帝は一人呟く。
「舐めた事をしてくれる、この借りは必ず返してくれる……」
そうして皇帝は屈辱を噛締める。
しかしそれは忘れ去られる事になる。
何故なら。
「な!何だと!?!?」
続く報告の書簡を読んだ皇帝が驚きに目を見開き全身を小刻みに震えさせる。
何事かと目を見開いた周りを余所に皇帝は目を血走らせ振るえるばかり。
それは一つの波乱の始まり。
波乱ではあるが、周りに何かを伝えない事に彼らは安堵していた。
数日後
廃墟となった街には領軍の一団を残して俺達は領都ラモンに凱旋した。
そう、それは凱旋。
鎮圧の報告を受けた領主はそれを速やかに上奏し布告した。
そして領都を警備していた警備隊の面々も一昨日には通常の警備体制に戻っていたという。
それは残党の暴走や痕跡の捜索を行う為に人手が必要であったというのが理由である。
それが終わり、ようやく通常の暮らしが戻ってきた。
そしてそれを成してくれた勇者達の帰還である。
自然と歓迎する空気が流れ、沿道に勇者達を見ようと人が詰め掛ける。
そんな中への帰還であるから凱旋に相応しい準備をするのにも少しの時間をかけたくらいだ。
ドイル侯爵の指示の元隊列が組みなおされて俺達は領都に入った。
入ったのだけど、どうしてこうなった!?
何がって?隊列だよ!
先ずは罪人として縛り上げられた疾風の英雄の四人からだ。
これは鎖に繋がれ荷台に乗せられて馬に曳かれている。
所謂晒し者というやつだ。
そしてその次に領軍の一隊である。
これは領民に顔の利くアルフレッドさんが乗馬して先頭を進む。
その姿に領民達が安堵し歓声を上げる。
そしてその次にドイル侯爵率いる本軍である。
ドイル侯爵が2頭曳きの戦車にのり、その周りを兵士達が固める。
そしてその次が問題だ。
アンジェとルイスが4頭曳きのパレード用の馬車に乗っている。
そして一緒にアンジェとクウが乗っている。そこまではいいんだ。
「どうして俺まで主役の乗る馬車枠なんだ」
そう呟いたところで不思議な顔をされるばかり。
「なんでって、ロイド様……」
「お兄ちゃんが敵の大将倒したりしなきゃ皆帰ってこれなかったんだから当たり前じゃん?」
「そうですよ?そして勇者に皇女と聖女が付き添ってる形なのですから」
「むしろお兄ちゃん以外をこの扱いには出来ないよ?」
「ん、ロイドお兄さん一番」
「すごかった」
そういわれてしまえば返す言葉は浮かばなかった。
その結果がルイスとアンジェに両脇を固められてリンとクウの後ろで引きつった笑みを浮かべる事になっていた。
「ロイド様、大丈夫ですか?」
「お兄ちゃん、笑顔が引きつってるよ?」
「あははは……」
まともに返す事の出来ない俺に溜息をつく二人。
悪かったな、人前に出るのが苦手で。
そう思うもつかの間、二人はアイコンタクト、そして同時に頷いたかとおもうと。
「「えい!」」
右腕にルイス、左腕にアンジェが抱きついてきたのだ。
「「「「おおおおお!!!!」」」」
沸き立つ観衆、対して俺は動揺して何も出来ない。
何も反応を出せずに居るうちに二人は観衆に向かって笑顔で手を降り始める。
その状態に居心地悪く挙動がおぼつかなくなってると怒られる。
「お兄ちゃん堂々としてて」
「私達のためにお願いしますね?」
「はい……」
反論などしようもなく、俺は胸を張って置物になる。
「さっそく尻にしかれてる」
「お父さんたちと一緒」
そんな声がきこえてきたとかこないとか。
いい天気だなぁ……
現実から逃げるように見上げた空は青く、2つの飛翔するものが見える。
あんな風に飛んで逃げたい……
そう思うも出来るわけも無く、そのままパレードが終わるまで居心地の悪い思いをすることになるのだった。
リリ「ようやく解決したわね」
アイ「ああ、それにしてもロイドの奴……」
アラ「男の夢を叶えておきながらこれとは……」
アイ「アラン、おまえのせいだぞ」
アラ「え!?俺!?」
リリ「貴方の背中を見て育ったからね」
アイ「その証拠にルイスはしっかりしてるからな」
アラ「いや、それとこれとは……」
アイ「私の旦那もあんな時には堂々としてたぞ」
リリ「貴方はその影で目立たないようにしてたわよね」
アラ「はい……」
リリ「ほら、その反応も一緒、やっぱり貴方の影響ね」
アラ「そりゃそうだけどよお、あれ恥ずかしいじゃないか」
アイ「それを言うお前がああいうなんてな」
アラ「はい……」
リリ「はぁ、まぁいいわ、それでこれで終わりなのかしら?」
???「一応エピローグ残ってるけど終わりだよ」
アイ「最初15話程度の予定だったのがずいぶん延びたな」
???「ハッハッハ!あいつらが動き回りすぎるから無理になった!」
アラ「なにいってんだよ、ただ無計画なだけだろうが」
???「ぐぅ……」
リリ「いまどきぐぅの音を上げるって珍しいわね」
アラ「ああ、確かに」
アイ「まぁこんな変人だが作者だしな」
???「一応要望とか多ければまだまだ続けれるけど、他もかいてみたいなーって」
アラ「ってことはワンチャンある?」
アイ「難しいんじゃない?」
リリ「やってみないと分からないけどね」
???「まぁ臨機応変にってことで」
アラ「ということで」
「「「「次回エピローグ!」」」」
それを聞いた皇帝は鷹揚に頷いたのだが、続く報告を聞いたところで頭に手をやる。
それは疾風の英雄の裏切り、そしてその背景の報告であった。
裏切りに関しては既に鎮圧済み、それも娘であるアンジェリーナが直接対峙したということで皇族による討伐と面目は立つ。
それはよかったのだが、もう一つの報告が問題であった。
それを手引きした者がいる、そしてそれは疾風の英雄のパトロンである隣国の公爵であると自白したというのだ。
「宰相、足りるか?」
「今動かせる戦力では難しいかと」
「やはりか」
「はい、征伐の為に戦力を使いすぎました、これ以上は治安の悪化を招くかと」
その言葉に再び考え込む皇帝。
暫く悩んだ末に一つの結論を導き出す。
「本来なら、攻め込んで食い殺すところだが……」
「それをすれば民が持ちませぬな」
「分かっておる、外交ルートを使ってなんとかせよ」
「はっ!」
返事と共に文官を呼び指示を出していく宰相を見ながら皇帝は一人呟く。
「舐めた事をしてくれる、この借りは必ず返してくれる……」
そうして皇帝は屈辱を噛締める。
しかしそれは忘れ去られる事になる。
何故なら。
「な!何だと!?!?」
続く報告の書簡を読んだ皇帝が驚きに目を見開き全身を小刻みに震えさせる。
何事かと目を見開いた周りを余所に皇帝は目を血走らせ振るえるばかり。
それは一つの波乱の始まり。
波乱ではあるが、周りに何かを伝えない事に彼らは安堵していた。
数日後
廃墟となった街には領軍の一団を残して俺達は領都ラモンに凱旋した。
そう、それは凱旋。
鎮圧の報告を受けた領主はそれを速やかに上奏し布告した。
そして領都を警備していた警備隊の面々も一昨日には通常の警備体制に戻っていたという。
それは残党の暴走や痕跡の捜索を行う為に人手が必要であったというのが理由である。
それが終わり、ようやく通常の暮らしが戻ってきた。
そしてそれを成してくれた勇者達の帰還である。
自然と歓迎する空気が流れ、沿道に勇者達を見ようと人が詰め掛ける。
そんな中への帰還であるから凱旋に相応しい準備をするのにも少しの時間をかけたくらいだ。
ドイル侯爵の指示の元隊列が組みなおされて俺達は領都に入った。
入ったのだけど、どうしてこうなった!?
何がって?隊列だよ!
先ずは罪人として縛り上げられた疾風の英雄の四人からだ。
これは鎖に繋がれ荷台に乗せられて馬に曳かれている。
所謂晒し者というやつだ。
そしてその次に領軍の一隊である。
これは領民に顔の利くアルフレッドさんが乗馬して先頭を進む。
その姿に領民達が安堵し歓声を上げる。
そしてその次にドイル侯爵率いる本軍である。
ドイル侯爵が2頭曳きの戦車にのり、その周りを兵士達が固める。
そしてその次が問題だ。
アンジェとルイスが4頭曳きのパレード用の馬車に乗っている。
そして一緒にアンジェとクウが乗っている。そこまではいいんだ。
「どうして俺まで主役の乗る馬車枠なんだ」
そう呟いたところで不思議な顔をされるばかり。
「なんでって、ロイド様……」
「お兄ちゃんが敵の大将倒したりしなきゃ皆帰ってこれなかったんだから当たり前じゃん?」
「そうですよ?そして勇者に皇女と聖女が付き添ってる形なのですから」
「むしろお兄ちゃん以外をこの扱いには出来ないよ?」
「ん、ロイドお兄さん一番」
「すごかった」
そういわれてしまえば返す言葉は浮かばなかった。
その結果がルイスとアンジェに両脇を固められてリンとクウの後ろで引きつった笑みを浮かべる事になっていた。
「ロイド様、大丈夫ですか?」
「お兄ちゃん、笑顔が引きつってるよ?」
「あははは……」
まともに返す事の出来ない俺に溜息をつく二人。
悪かったな、人前に出るのが苦手で。
そう思うもつかの間、二人はアイコンタクト、そして同時に頷いたかとおもうと。
「「えい!」」
右腕にルイス、左腕にアンジェが抱きついてきたのだ。
「「「「おおおおお!!!!」」」」
沸き立つ観衆、対して俺は動揺して何も出来ない。
何も反応を出せずに居るうちに二人は観衆に向かって笑顔で手を降り始める。
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「はい……」
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「お父さんたちと一緒」
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いい天気だなぁ……
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あんな風に飛んで逃げたい……
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リリ「ようやく解決したわね」
アイ「ああ、それにしてもロイドの奴……」
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リリ「貴方はその影で目立たないようにしてたわよね」
アラ「はい……」
リリ「ほら、その反応も一緒、やっぱり貴方の影響ね」
アラ「そりゃそうだけどよお、あれ恥ずかしいじゃないか」
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アラ「はい……」
リリ「はぁ、まぁいいわ、それでこれで終わりなのかしら?」
???「一応エピローグ残ってるけど終わりだよ」
アイ「最初15話程度の予定だったのがずいぶん延びたな」
???「ハッハッハ!あいつらが動き回りすぎるから無理になった!」
アラ「なにいってんだよ、ただ無計画なだけだろうが」
???「ぐぅ……」
リリ「いまどきぐぅの音を上げるって珍しいわね」
アラ「ああ、確かに」
アイ「まぁこんな変人だが作者だしな」
???「一応要望とか多ければまだまだ続けれるけど、他もかいてみたいなーって」
アラ「ってことはワンチャンある?」
アイ「難しいんじゃない?」
リリ「やってみないと分からないけどね」
???「まぁ臨機応変にってことで」
アラ「ということで」
「「「「次回エピローグ!」」」」
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