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奈義、つまりはガキが好きになった大人。
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奈義、つまりはガキが好きになった大人。
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『なんで泣いてたの』
深夜の駅ビル。奈義と初めて会った夜、あのままなんとなく別れられなくて、無言で二人して駅前のファッションビルまで歩いた。自販機で奈義が缶コーヒーを買って、二人で回し飲みしながら、いいかげん沈黙に堪えられなくて俺から口を開いた。
『……さあ』
自分でもよくわからん、と奈義は呟いた。
『じゃあ、なんでお前は突っ立ってたんだよ』
『それは────よく、わかんないけど……』
あの人の音に魅せられたから、とは言い出せなかった。たった数十秒の音楽に心臓ぶち抜かれて勝手に救われた気になってくだらない自分の生き様が恥ずかしくてああいう風に自分の誇れる何かが自分にもあればいいのに、なんて都合のいいこと考えてた、なんて、さ。
『……CM』
『は?』
『あのCM、曲な……本当は俺の曲、流れるはずだったんだよ』
『────なにそれ』
『俺、ギター弾きなんだけど昔から誰かの曲じゃなくて自分のオリジナルの曲を発表するのが夢で、それでようやくオファー取ったのがあのCMの仕事でさ。なのに「今回の話はなかったことに」されて、さっき初めて聴いたんだ、あのCM曲』
……凄かっただろ?
力なく、へらりと笑う奈義が今までの自分の姿と重なって見えた。
『さすが土屋真幸だよな。疾走感のあるリズムと耳に残る旋律。……俺には届かねえ音楽だった』
高みにあるんだ、あの音。
頭の中でまだあの音が鳴っているのは、俺も奈義もおんなじだった。だから、下らない話はしたくなかったし、言葉にすればするほど片っ端から、あの音が零れていくみたいでもったいなかった。
『……それで?』
『ん?』
『街中で、それで泣いてたの? 悔しくて? 感動して? それで、あんたはこれからどうするつもりなの』
『どうするもなにも、変わらないさ。ギターを弾くだけだ』
『なら、あんたも同じだよ』
『……?』
俺は、自分でもよくわからないくらいに頭に来ていた。自分に。
これといってなんの取り柄もない自分に。
(この人たちはちゃんと自分が生きていく道を知ってるし、そのための術もわきまえてる。才能とか、生き様とか、俺がまだもってないもの、もってる)
『俺は、何も持ってないし、楽器も弾けない素人だけど、あの音にすごく感動して、何か今までの自分のダメさ加減に気付いたけど。それでもどうしようも出来ない人間から見たら、あんただって、ちゃんと自分にしか出来ないもの見つけてそうやって生きて行けてるってことは、あの土屋真幸って人とおんなじくらい、高みにいる人だよ』
捲し立てるように一息で言う。
『────慰めてくれてんの』
ぷ、と笑いを堪えるみたいに吹き出して、ありがとな、と奈義は兄が弟にそうするように、俺の頭を力強くグシャグシャと掻き乱した。
『なんか、元気出た。お礼に一曲弾いてやろう。……リクエストは?』
肩に担いでたギターケースからギターを取り出して、奈義はチューニングを始める。しばらく考えても、自分がリクエスト出来るほど音楽を知らないことに気付いた。少し困りながら、俺はしかたなくぼそっと呟く。
『……じゃ、あんたが作った曲がいい』
奈義は驚いたように俺を見つめ、少し黙った後、ギターの弦を爪で弾いた。
────そして俺は、その日初めて、奈義の音を知った。
力強く。
真っ直ぐな。
胸に刺さる、
不器用な音。
もがいて
あがいて
まだ自分を赦せないで
もっと上を、
もっと上に行ける自分を
確かに信じている。
そういう、
音。
鳥肌が立った。
寒気がした。
頭がズキズキ疼いて、どうして、と思った。
(これはこれで完成されててなんで)
(埋もれたんだろう)
(そりゃ、あの人の音はずば抜けてるけど)
(奈義が、奈義の音が負けてるわけじゃない)
そうか。音楽って、才能と才能がぶつかりあうんだ。競合って、削れあって、磨かれて、輝いて。
(だからこんなに、まぶしい)
(妥協しないで)
(積み重ねてく、音の連なり)
(メロディー)
足が震えて、馬鹿みたいに泣きたくなった。
体温が下がる。
頭がくらくらする。
胃の奥、せりあがる衝動が俺に奈義の腕を掴ませた。ぷつり。途切れる音。余韻。不審な奈義のまなざし。
『……どうした?』
まだ、途中なんだが。
続きを弾こうとする奈義を押し止どめて、俺は、もういい、と喉の奥から声を搾り出す。
『あんた、なんなの』
『は?』
『音楽やってるやつって、みんなそうなの? 簡単に、俺みたいなのが背伸びしても届かないような場所にいけるの? それでもまだ、欲しがるの? 憧れるの? 高みを望むの?』
『……なに、興奮してんだ……』
『ねえ!』
すがりつくように、俺は奈義の手首を掴んだ。
『俺も、音楽やったらあんたたちみたいな「高み」に近付ける?』
出会って一日も経ってない相手に絡まれて、奈義は相当困ったと思う。でも、俺を見つめ返す奈義の目は、蔑むものではなかった。
俺は、ただ必死だった。
今までの自分をどうにかして捨て去らないと、前に進めない気がした。自分を変えるチャンスだと思った。これ以上ダメになりたくなかった。きらきらした、光が、欲しかった。
『……本気で音楽やりたいのか?』
『やりたい』
『楽器は?』
『……出来ない』
奈義が溜め息をつく前に、でも、と慌てて続ける。
『……歌う、ことなら俺にだって出来る!』
────そんなの誰だって出来るだろうが。
俺はそういわれると思ったのに、奈義は少し考え込んで、わかった、と言った。
『だったら、俺と二人でやるか? 音楽』
『……え?』
『お前、面白いよ。そういうの、俺は嫌いじゃない』
そう言って奈義は歯を見せて笑った。なにか、面白いことを思いついたような無邪気な笑みに俺は呆気にとられる。
『一緒にやろう、音楽』
『………え』
戸惑って奈義を見上げる。
話が、見えない。
『待って。だって、あんた。俺の歌も聞かないで……そんなこと言っていいの?』
『ん? なんか問題あるか』
『いや、歌。歌、聞かないと一緒にって出来ないでしょ。う、上手くないっていうか、あの……音痴だったりしたら、まずいしさ』
『はあ? お前、本気で音楽やりたいんだろ。だったら別に上手いとか下手とか始める前に気にしてどうすんだよ』
『────だって』
『誰だって最初は素人だし、俺だってギター始めたときは下手くそだったんだ。それにさ、さっきから聞いてるから、まあ、相性はいいと思うんだよな』
『は? 聞いてるって?』
『お前の声』
すっ、と奈義の目が細くなる。優しい眼差しに俺は息を呑んだ。
『いい声してるよ』
♯
最近、この夢を繰り返し見る。
俺と奈義が出会った頃の懐かしい夢。俺が歌うきっかけになった、あの日。
寝ても覚めても奈義のことばかりを考えてしまうのは、よほど重症なんじゃないだろうか。終わりなら終わりで、早く切れてしまいたい。奈義がいなくても生きていく強さを持たなくては、俺は今以上にダメになる。
(そんなこと……分かってるんだよ)
なのに、駄目だ。
俺が駄目だ。
奈義のいない世界を考えるのさえ、怖い。
(……俺が女だったら、全然問題ないのに)
女々しさではそこらの女より勝っている自負はある。
(……そんなん、あってもしょーもな……)
枕に顔を押し付けて、ぎゅっと目を閉じる。
ぬるま湯に浸かっているみたいな今の生活の終わりが迫っていることは、俺が一番知っていた。
奈義、つまりはガキが好きになった大人。
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『なんで泣いてたの』
深夜の駅ビル。奈義と初めて会った夜、あのままなんとなく別れられなくて、無言で二人して駅前のファッションビルまで歩いた。自販機で奈義が缶コーヒーを買って、二人で回し飲みしながら、いいかげん沈黙に堪えられなくて俺から口を開いた。
『……さあ』
自分でもよくわからん、と奈義は呟いた。
『じゃあ、なんでお前は突っ立ってたんだよ』
『それは────よく、わかんないけど……』
あの人の音に魅せられたから、とは言い出せなかった。たった数十秒の音楽に心臓ぶち抜かれて勝手に救われた気になってくだらない自分の生き様が恥ずかしくてああいう風に自分の誇れる何かが自分にもあればいいのに、なんて都合のいいこと考えてた、なんて、さ。
『……CM』
『は?』
『あのCM、曲な……本当は俺の曲、流れるはずだったんだよ』
『────なにそれ』
『俺、ギター弾きなんだけど昔から誰かの曲じゃなくて自分のオリジナルの曲を発表するのが夢で、それでようやくオファー取ったのがあのCMの仕事でさ。なのに「今回の話はなかったことに」されて、さっき初めて聴いたんだ、あのCM曲』
……凄かっただろ?
力なく、へらりと笑う奈義が今までの自分の姿と重なって見えた。
『さすが土屋真幸だよな。疾走感のあるリズムと耳に残る旋律。……俺には届かねえ音楽だった』
高みにあるんだ、あの音。
頭の中でまだあの音が鳴っているのは、俺も奈義もおんなじだった。だから、下らない話はしたくなかったし、言葉にすればするほど片っ端から、あの音が零れていくみたいでもったいなかった。
『……それで?』
『ん?』
『街中で、それで泣いてたの? 悔しくて? 感動して? それで、あんたはこれからどうするつもりなの』
『どうするもなにも、変わらないさ。ギターを弾くだけだ』
『なら、あんたも同じだよ』
『……?』
俺は、自分でもよくわからないくらいに頭に来ていた。自分に。
これといってなんの取り柄もない自分に。
(この人たちはちゃんと自分が生きていく道を知ってるし、そのための術もわきまえてる。才能とか、生き様とか、俺がまだもってないもの、もってる)
『俺は、何も持ってないし、楽器も弾けない素人だけど、あの音にすごく感動して、何か今までの自分のダメさ加減に気付いたけど。それでもどうしようも出来ない人間から見たら、あんただって、ちゃんと自分にしか出来ないもの見つけてそうやって生きて行けてるってことは、あの土屋真幸って人とおんなじくらい、高みにいる人だよ』
捲し立てるように一息で言う。
『────慰めてくれてんの』
ぷ、と笑いを堪えるみたいに吹き出して、ありがとな、と奈義は兄が弟にそうするように、俺の頭を力強くグシャグシャと掻き乱した。
『なんか、元気出た。お礼に一曲弾いてやろう。……リクエストは?』
肩に担いでたギターケースからギターを取り出して、奈義はチューニングを始める。しばらく考えても、自分がリクエスト出来るほど音楽を知らないことに気付いた。少し困りながら、俺はしかたなくぼそっと呟く。
『……じゃ、あんたが作った曲がいい』
奈義は驚いたように俺を見つめ、少し黙った後、ギターの弦を爪で弾いた。
────そして俺は、その日初めて、奈義の音を知った。
力強く。
真っ直ぐな。
胸に刺さる、
不器用な音。
もがいて
あがいて
まだ自分を赦せないで
もっと上を、
もっと上に行ける自分を
確かに信じている。
そういう、
音。
鳥肌が立った。
寒気がした。
頭がズキズキ疼いて、どうして、と思った。
(これはこれで完成されててなんで)
(埋もれたんだろう)
(そりゃ、あの人の音はずば抜けてるけど)
(奈義が、奈義の音が負けてるわけじゃない)
そうか。音楽って、才能と才能がぶつかりあうんだ。競合って、削れあって、磨かれて、輝いて。
(だからこんなに、まぶしい)
(妥協しないで)
(積み重ねてく、音の連なり)
(メロディー)
足が震えて、馬鹿みたいに泣きたくなった。
体温が下がる。
頭がくらくらする。
胃の奥、せりあがる衝動が俺に奈義の腕を掴ませた。ぷつり。途切れる音。余韻。不審な奈義のまなざし。
『……どうした?』
まだ、途中なんだが。
続きを弾こうとする奈義を押し止どめて、俺は、もういい、と喉の奥から声を搾り出す。
『あんた、なんなの』
『は?』
『音楽やってるやつって、みんなそうなの? 簡単に、俺みたいなのが背伸びしても届かないような場所にいけるの? それでもまだ、欲しがるの? 憧れるの? 高みを望むの?』
『……なに、興奮してんだ……』
『ねえ!』
すがりつくように、俺は奈義の手首を掴んだ。
『俺も、音楽やったらあんたたちみたいな「高み」に近付ける?』
出会って一日も経ってない相手に絡まれて、奈義は相当困ったと思う。でも、俺を見つめ返す奈義の目は、蔑むものではなかった。
俺は、ただ必死だった。
今までの自分をどうにかして捨て去らないと、前に進めない気がした。自分を変えるチャンスだと思った。これ以上ダメになりたくなかった。きらきらした、光が、欲しかった。
『……本気で音楽やりたいのか?』
『やりたい』
『楽器は?』
『……出来ない』
奈義が溜め息をつく前に、でも、と慌てて続ける。
『……歌う、ことなら俺にだって出来る!』
────そんなの誰だって出来るだろうが。
俺はそういわれると思ったのに、奈義は少し考え込んで、わかった、と言った。
『だったら、俺と二人でやるか? 音楽』
『……え?』
『お前、面白いよ。そういうの、俺は嫌いじゃない』
そう言って奈義は歯を見せて笑った。なにか、面白いことを思いついたような無邪気な笑みに俺は呆気にとられる。
『一緒にやろう、音楽』
『………え』
戸惑って奈義を見上げる。
話が、見えない。
『待って。だって、あんた。俺の歌も聞かないで……そんなこと言っていいの?』
『ん? なんか問題あるか』
『いや、歌。歌、聞かないと一緒にって出来ないでしょ。う、上手くないっていうか、あの……音痴だったりしたら、まずいしさ』
『はあ? お前、本気で音楽やりたいんだろ。だったら別に上手いとか下手とか始める前に気にしてどうすんだよ』
『────だって』
『誰だって最初は素人だし、俺だってギター始めたときは下手くそだったんだ。それにさ、さっきから聞いてるから、まあ、相性はいいと思うんだよな』
『は? 聞いてるって?』
『お前の声』
すっ、と奈義の目が細くなる。優しい眼差しに俺は息を呑んだ。
『いい声してるよ』
♯
最近、この夢を繰り返し見る。
俺と奈義が出会った頃の懐かしい夢。俺が歌うきっかけになった、あの日。
寝ても覚めても奈義のことばかりを考えてしまうのは、よほど重症なんじゃないだろうか。終わりなら終わりで、早く切れてしまいたい。奈義がいなくても生きていく強さを持たなくては、俺は今以上にダメになる。
(そんなこと……分かってるんだよ)
なのに、駄目だ。
俺が駄目だ。
奈義のいない世界を考えるのさえ、怖い。
(……俺が女だったら、全然問題ないのに)
女々しさではそこらの女より勝っている自負はある。
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