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街へ戻る道中〜説明編〜
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「はぁ~……。試練はあくまでこの地に神界からデュランダルを降臨させる為の儀式みたいなものです。確かに、試練をクリアしたヨハンさんは"女神リリー"から直接デュランダルを受けとったかもしれません。しかし、ヨハンさんに所有権が確約したわけではないんですよ。大体、試練自体は勇者以外の誰だって受けれるものですし。デュランダルを渡されたとき、女神リリーもそう言ってたでしょ?」
「あぁ~……言ってたような、言ってなかったような……」
正直、嬉しさのあまりデュランダルを手にいれた事に舞い上がっていて、デュランダルを渡された後の事は覚えていない。
仕方がないよね。誰だってそういう時くらいあるよ。
試練は凄く大変だったし、人の話を聞けないくらいに舞い上がるのも無理はないよね。ウンウン。
脳内で自分にそう言い訳を言い聞かせている最中、ラックは別の質問をしてきた。
「ところでヨハンさん。この"キャビネット王国"に勇者が何人いるかご存知ですか?」
「えっ?」
突然の質問に、俺は一瞬戸惑う。
「え~っと……。結構いるって聞くよね……。100人くらい?」
「3000人です」
「そんなにいるの!?勇者って選定された上でなれる特別な職業なんじゃないの?」
まるで勇者のバーゲンセールだな。勇者より人数が少ない冒険職もありそうだ。シーフとか案外見ないし。
「まぁ、キャビネット王国の人口が3000万人くらい?だとしたら1万人に1人の割合ですから、勇者に選ばれる確率は高いという事は無いです。しかし、年によって差はありますが、毎年5、60人前後は選定の儀で勇者が誕生しています」
年の始めになると、自治体の教会にて勇者選定の儀が行われる。16歳以上であれば男女問わず自由に参加でき、お祭り感覚で沢山の人が毎年参加する。
選定の儀は簡単なもので、教会にある『女神の水晶』に触れ、水晶が光れば''女神リリーの加護''を生まれながらに受けている事の証明となる。そして、晴れて勇者として認定されるのだ。
俺も16歳の時に選定の儀で勇者に選ばれている。
「はぁ~……。俺ってそこまで特別じゃねえのな……」
「当たり前じゃない?あんたが特別?ゴミでも人間様のような冗談が言えるのね?」
ミネルバから容赦のない毒舌が矢のように飛んでくる。どうやらミネルバからは勇者どころか人間でも無く、''ゴミ''に認定されているようだ。
クソッ!布地が少ない淫乱服を毎日着ている痴女の癖に……この露出狂が!!……っと、デュランダルを失くしたという負い目が無ければそう言い返している所なのだけど……
苦虫を潰すように顔を歪めている俺を無視をして、ラックは淡々と話しを続ける。
「まぁ、あくまで認定され、国に勇者登録をされているのが3000人なだけで、実際にちゃんと活動をしているのはヨハンさんの言うとおり100人くらい、もしくは多くても200人てところでしょうか?勇者になれば活動支援金として無条件に毎月25万Gを滞在している自治体から貰えますからね。お金だけ貰って活動をせず、安寧に暮らしてる勇者の方が多いというのが実状ですよ」
ラックの話を聞き、ミネルバが俺に見下した目を向けながら「本当にゴミね。国民の税金をなんだと思っているのかしら?」と毒舌を吐いてきた。
俺は「いや、俺はしっかりと活動をしている方の勇者なのだけど……」と低姿勢なツッコミを入れるが、ミネルバはそれを無視して俺から顔をそらし、何事もなかったような振る舞いを見せた。
どうやらゴミの声は人間様には届かないようだ。
ラックはそんなゴミに対して更に話を続けてくれる。なんだかんだでラックは優しいね。
「何にしてもデュランダルを使える勇者はそんなにいるんです。……もし、他の勇者が失くしたデュランダルを手にして魔王を倒してしまったりしたら、ヨハンさんの人生お先真っ暗ですよ?」
「えっ、なんで!?」
「魔王を倒してない"元勇者"に需要があると思いますか?民から讃えられる真の英雄は魔王を倒した勇者1人のみです。只でさえ税金を穀潰している勇者達のせいで、国民からそんなに良いイメージを抱かれていないのに、魔王がいなくなった世の''元勇者''なんてなんの役にも立たないゴミとしか認識されません。」
どうやらラックも俺の事を"ゴミ予備軍"くらいには認識してそうだな。
「正直、再就職は厳しいでしょうね。勇者なんてデュランダルが使えるのと、とある"特性《スキル》"を女神の加護により与えられている以外はただの人間と変わりありませんしね。魔王が死んだら魔獣もいなくなり、冒険者ギルドも縮小して多くの冒険者稼業の人間が廃業に追い込まれるでしょう。活動資金として渡されていた25万ゴールドも当然打ちきりでしょうし、盗賊かゴロツキくらいになるしかないんじゃないですかね?職歴のない元勇者の末路なんて」
「マジかよ。なんて世知辛い……」
「ヨハン可哀想……」
「勇者様……」
黙って話を聞いていたヨウランとメリッサが、哀れむような目をして俺を見つめてくる。
「そんな未来が確定した訳じゃないから!今から哀れむのは止めて!なんだか悲しくなるから!」
「ハハハ、ゴメン、ゴメン。でも、戦ってみたら魔王って凄く弱かったし、他の勇者にデュランダルが渡ったら本当に魔王を退治されるかもね。ってか、魔王があんなに弱くていいの?配下達は結構強かったのに?」
今ヨウランが言った通り、魔王はそんなに強くなかった。と言うより弱すぎた。各地にいる魔王軍の幹部達の方が圧倒的に強い。
魔王城にいた魔王の配下達も強く、魔王に辿り着くまではそこそこ苦戦を強いられた為、いざ魔王と対決した時には拍子抜けであった。
ヨウランの話を聞いたラックが、魔王の弱さについて推察を始める。
「魔王は"邪神"により、3つの加護を与えられていると聞きます。1つは"不死身"。2つめは"魔獣を生み出す力"。そして、3つめは"魔族を生み出し隷属させる力"です。その力があればどんなに強い魔族でも魔王に逆らう事は出来ませんし、不死身の体と強い配下がいれば、魔王自身の戦闘能力はそこまで必要では無かったのかもしれませんね」
ふむふむ。説明係のラックがいると本当に便利だな。
ヨウランも「なるほどねぇ~」と言って感心をしているようだ。
「ヨハンさん。僕としてはヨハンさんの人生なんてどうでもいいんですけど、そんな感じで他の勇者にデュランダルが渡ったら魔王なんかすぐ倒されるかもしれないんで、自分の余生を大事に思うのであれば必死でデュランダルを探してください」
ラックの物言いは生意気でトゲがあるが、言葉の節々に優しさを感じる。なんだかんだで俺の事を心配してくれているのだろう。
「あぁ、血眼になって探すよ。ありがとな、ラック」
「はい、せいぜい頑張ってください」
「とにかく、まずは情報集めからだな!もしかしたら『ミーティアの街』でデュランダルを失くした可能性もあるし、ミーティアの街へ戻ったら聞き込みを開始しよう!」
ミーティアの街へは魔王城での戦いで消費した魔力の回復をする為に、数日滞在して休む予定だ。皆に体を休めてもらっている間に、出来る限りの情報を集めよう。
よし……頑張るぞ!!
そんな決意を固める俺に、メリッサが気まずそうな顔をして「あのぉ~……勇者様……」と細々とした声で尋ねてきた。
「ん?どうしたメリッサ?」
「え~っと……凄く言いづらいんですけど……。まずは服を着てください……。目のやり場に凄く困ります……」
おや?どうやら俺は拘束を解かれてからまだ服を着ていなかったようだ。つまり、この車には露出狂の痴女だけではなく痴漢も居るという事だな。
うっかりしていたよ。てへぺろ♪
「あぁ~……言ってたような、言ってなかったような……」
正直、嬉しさのあまりデュランダルを手にいれた事に舞い上がっていて、デュランダルを渡された後の事は覚えていない。
仕方がないよね。誰だってそういう時くらいあるよ。
試練は凄く大変だったし、人の話を聞けないくらいに舞い上がるのも無理はないよね。ウンウン。
脳内で自分にそう言い訳を言い聞かせている最中、ラックは別の質問をしてきた。
「ところでヨハンさん。この"キャビネット王国"に勇者が何人いるかご存知ですか?」
「えっ?」
突然の質問に、俺は一瞬戸惑う。
「え~っと……。結構いるって聞くよね……。100人くらい?」
「3000人です」
「そんなにいるの!?勇者って選定された上でなれる特別な職業なんじゃないの?」
まるで勇者のバーゲンセールだな。勇者より人数が少ない冒険職もありそうだ。シーフとか案外見ないし。
「まぁ、キャビネット王国の人口が3000万人くらい?だとしたら1万人に1人の割合ですから、勇者に選ばれる確率は高いという事は無いです。しかし、年によって差はありますが、毎年5、60人前後は選定の儀で勇者が誕生しています」
年の始めになると、自治体の教会にて勇者選定の儀が行われる。16歳以上であれば男女問わず自由に参加でき、お祭り感覚で沢山の人が毎年参加する。
選定の儀は簡単なもので、教会にある『女神の水晶』に触れ、水晶が光れば''女神リリーの加護''を生まれながらに受けている事の証明となる。そして、晴れて勇者として認定されるのだ。
俺も16歳の時に選定の儀で勇者に選ばれている。
「はぁ~……。俺ってそこまで特別じゃねえのな……」
「当たり前じゃない?あんたが特別?ゴミでも人間様のような冗談が言えるのね?」
ミネルバから容赦のない毒舌が矢のように飛んでくる。どうやらミネルバからは勇者どころか人間でも無く、''ゴミ''に認定されているようだ。
クソッ!布地が少ない淫乱服を毎日着ている痴女の癖に……この露出狂が!!……っと、デュランダルを失くしたという負い目が無ければそう言い返している所なのだけど……
苦虫を潰すように顔を歪めている俺を無視をして、ラックは淡々と話しを続ける。
「まぁ、あくまで認定され、国に勇者登録をされているのが3000人なだけで、実際にちゃんと活動をしているのはヨハンさんの言うとおり100人くらい、もしくは多くても200人てところでしょうか?勇者になれば活動支援金として無条件に毎月25万Gを滞在している自治体から貰えますからね。お金だけ貰って活動をせず、安寧に暮らしてる勇者の方が多いというのが実状ですよ」
ラックの話を聞き、ミネルバが俺に見下した目を向けながら「本当にゴミね。国民の税金をなんだと思っているのかしら?」と毒舌を吐いてきた。
俺は「いや、俺はしっかりと活動をしている方の勇者なのだけど……」と低姿勢なツッコミを入れるが、ミネルバはそれを無視して俺から顔をそらし、何事もなかったような振る舞いを見せた。
どうやらゴミの声は人間様には届かないようだ。
ラックはそんなゴミに対して更に話を続けてくれる。なんだかんだでラックは優しいね。
「何にしてもデュランダルを使える勇者はそんなにいるんです。……もし、他の勇者が失くしたデュランダルを手にして魔王を倒してしまったりしたら、ヨハンさんの人生お先真っ暗ですよ?」
「えっ、なんで!?」
「魔王を倒してない"元勇者"に需要があると思いますか?民から讃えられる真の英雄は魔王を倒した勇者1人のみです。只でさえ税金を穀潰している勇者達のせいで、国民からそんなに良いイメージを抱かれていないのに、魔王がいなくなった世の''元勇者''なんてなんの役にも立たないゴミとしか認識されません。」
どうやらラックも俺の事を"ゴミ予備軍"くらいには認識してそうだな。
「正直、再就職は厳しいでしょうね。勇者なんてデュランダルが使えるのと、とある"特性《スキル》"を女神の加護により与えられている以外はただの人間と変わりありませんしね。魔王が死んだら魔獣もいなくなり、冒険者ギルドも縮小して多くの冒険者稼業の人間が廃業に追い込まれるでしょう。活動資金として渡されていた25万ゴールドも当然打ちきりでしょうし、盗賊かゴロツキくらいになるしかないんじゃないですかね?職歴のない元勇者の末路なんて」
「マジかよ。なんて世知辛い……」
「ヨハン可哀想……」
「勇者様……」
黙って話を聞いていたヨウランとメリッサが、哀れむような目をして俺を見つめてくる。
「そんな未来が確定した訳じゃないから!今から哀れむのは止めて!なんだか悲しくなるから!」
「ハハハ、ゴメン、ゴメン。でも、戦ってみたら魔王って凄く弱かったし、他の勇者にデュランダルが渡ったら本当に魔王を退治されるかもね。ってか、魔王があんなに弱くていいの?配下達は結構強かったのに?」
今ヨウランが言った通り、魔王はそんなに強くなかった。と言うより弱すぎた。各地にいる魔王軍の幹部達の方が圧倒的に強い。
魔王城にいた魔王の配下達も強く、魔王に辿り着くまではそこそこ苦戦を強いられた為、いざ魔王と対決した時には拍子抜けであった。
ヨウランの話を聞いたラックが、魔王の弱さについて推察を始める。
「魔王は"邪神"により、3つの加護を与えられていると聞きます。1つは"不死身"。2つめは"魔獣を生み出す力"。そして、3つめは"魔族を生み出し隷属させる力"です。その力があればどんなに強い魔族でも魔王に逆らう事は出来ませんし、不死身の体と強い配下がいれば、魔王自身の戦闘能力はそこまで必要では無かったのかもしれませんね」
ふむふむ。説明係のラックがいると本当に便利だな。
ヨウランも「なるほどねぇ~」と言って感心をしているようだ。
「ヨハンさん。僕としてはヨハンさんの人生なんてどうでもいいんですけど、そんな感じで他の勇者にデュランダルが渡ったら魔王なんかすぐ倒されるかもしれないんで、自分の余生を大事に思うのであれば必死でデュランダルを探してください」
ラックの物言いは生意気でトゲがあるが、言葉の節々に優しさを感じる。なんだかんだで俺の事を心配してくれているのだろう。
「あぁ、血眼になって探すよ。ありがとな、ラック」
「はい、せいぜい頑張ってください」
「とにかく、まずは情報集めからだな!もしかしたら『ミーティアの街』でデュランダルを失くした可能性もあるし、ミーティアの街へ戻ったら聞き込みを開始しよう!」
ミーティアの街へは魔王城での戦いで消費した魔力の回復をする為に、数日滞在して休む予定だ。皆に体を休めてもらっている間に、出来る限りの情報を集めよう。
よし……頑張るぞ!!
そんな決意を固める俺に、メリッサが気まずそうな顔をして「あのぉ~……勇者様……」と細々とした声で尋ねてきた。
「ん?どうしたメリッサ?」
「え~っと……凄く言いづらいんですけど……。まずは服を着てください……。目のやり場に凄く困ります……」
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