十の加護を持つ元王妃は製菓に勤しむ

水瀬 立乃

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ホワンの看板商品

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洋菓子店ホワンが豊穣祭で販売する看板商品『ホワンシフォン』は、米粉で作ったシフォンケーキ。
見た目もさわり心地もふわふわなのに、食べるとしっとりと重みがあって食べごたえがあると人気のケーキだ。
パウンドケーキやマドレーヌと比べてそれほど甘くないので、村人の中にはパンの代わりにホワンシフォンを食べるという人もいる。
クッキーは、四角いクッキーと絞りクッキーの2種類。
四角い方は、プレーンとギニギル産のチーズ、紅茶、レモン、木の実の5つの味を詰め合わせにした『ギニギルデイムズ』。
絞りクッキーの方は、真ん中にギニギル産のベリーで作ったジャムを乗せて焼いた『プリンシア』。
お祭りを見て歩きながら食べられるように、ホワンシフォンは紙で包んで、クッキーは小さめの紙袋に入れた。
その他に贈答用の化粧箱入りクッキーもいくつか用意した。
豊穣祭に来た時にしか買えないからと、欲しがるお客さんが時々いるのだ。
ホワンは従業員を雇わず2人で切り盛りしているので、お祭りの間は店を閉めている。
マロアが店頭に立って販売し、私は店でひたすらにケーキとクッキーを焼く。
これが毎年変わらない豊穣祭の過ごし方。

私が会場からお店に戻ってきて数時間、お祭りの賑やかな音楽や声が風の神の加護によってお店まで運ばれてくる。
おかげで私もお祭りを楽しみながらお菓子が作れる。

(感謝します、風の神様。今日も美味しくできますように…)
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